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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第74話 見積もりを受け止め、節約レシピか?

 少しだけ、現実的なものが見えてきた。


 コミカライズの原稿ではなく……もうひとつの一大イベントの方だ。


『結婚式風のレストランウェディング』。


 それを形にすべく、実は先日の話し合いから並行して動いていたのだが。



「……さとくん。この見積もりでもマシなの??」

「うん。俺の聞いた同僚の話だと、この三倍はかかったらしい」

「ひっ!?」



 げに恐ろしきは、催し物にかかる費用。


 貯蓄を一気に切り崩しても、万智子の場合はすっからかんになってもおかしくはない。


 かといって、覚に全部負担をかけるのは良くないと思っている。なので、プランナーに出してもらった見積書を交互に見ながらも、頭の中では口座の残高がいくらかだったかを思い出したりする。



「まあ、俺が全部出してもいいんだけど」

「それはダメ」

「って言うと思ったから。マチちゃんには衣装代とメイク代くらいでいいかな……と」

「ほんとに無理してない?」

「どうしたって、副業のレベルの差があるから。毎年の税金も払えているし、問題ないない」

「むむむ……」



 丸め込まれた気がするけれど、現実と向き合わないとこの問題は解決しそうにない。


 日程も組まないとスケジュールも迫っているため、決定をしたいところだ。覚の提案は、互いの『無理』をしない程度にはたしかに収まっている。万智子の少ない貯蓄を切り崩しても痛手があまりない範囲だ。


 それに甘えてもいいのか、数分悩んだが……ほかで、リカバリーしようと頷くことにした。


 一番はもちろん、覚の作品を漫画化にしたコミカライズ。売れっ子作家になれるとは思っていないが、覚の作品をより一層魅力的なものにしたい気力が上がってきた。


 すぐには無理でも、長期連載が出来るような作品にしていきたい。その気持ちを彼にもきちんと伝えれば、物凄い笑顔になってくれた。



「んじゃ。貯金枠もひとつ増やそう」



 普通の貯金箱をひとつ部屋に設置し。気が向いたら、財布の中身を確認して百円入れる。


 五百円だと少し額が大きいので、頻度も考えると百円の方が得に感じる……という、覚なりの節約術だそう。


 ある程度貯まったらそれを紙幣と両替して、貯蓄用の口座に預ける。


 この繰り返しを一定期間行ったら、それを食費などに回す。


 目から鱗が落ちるような、節約術に万智子は見えたのだ。実際にはじめてみると、少しずつだがその通帳の数字が上にあがっていくのが面白く感じるくらい。



「今までこんな手軽に貯金しようなんて思わなかった」

「毎月の貯蓄に比べたら微々たる額だけど。面白いっしょ?」

「うん。……今日は、なにつくるの?」

「厚揚げともやしで生姜焼き風な炒め物」

「おお! かさましイメージだけど、なんとなく節約してる感じ」

「同じく、きのこも安いからそっちでなめたけも作るよ~」

「……作れるんだ。なめ茸って」

「きのこ嫌いだった人からすると、市販のが思いつくもんね?」



 まだまだ包丁使いが怪しい万智子でも作れるらしいなめ茸。


 なめ茸二袋を、キッチンハサミで可食部を2㎝感覚の食べやすい大きさにカット。


 フライパンにえのきと調味料を入れて、中火で加熱。きのこは水分を多く含んでいるため、調味料は少なめで問題なしとか。



「水すっご!」

「汁気がなくなったら、好みで酢を入れてひと煮立ち」

「……だけ?」

「だけ。保存方法次第では常備菜にしてもいいね~」

「ご飯のお供で有名なのは知っているけど」

「お手軽レシピで作っただけだしね? 厚揚げの方ももう出来るから、セッティングよろしく~」

「はーい」



 醤油はかぶっていても、味付け方法が違うのでこれも問題なし。


 インスタントの味噌汁、ご飯などを用意して並べていけば……節約レシピとは思えないラインナップが出来上がった。厚揚げの生姜焼き風も、もやしが少し焦がしてあるのが香ばしくて美味しそうだ。



「「いただきます」」



 きのこを避けまくっていた万智子が挑む、初ご飯のお供の『なめ茸』。ぬめっとしたなめこもまだ克服しきれていないので、その手前のなめ茸はどんな仕上がりなのか。


 匙でご飯にちょんとかけてからいっしょに食べてみる。


 シャキシャキ、ぷりっ。


 軸の部分と傘の部分の食感の違いが面白くて、甘じょっぱい味付けが佃煮のように食べ易かった。



「どう? 初のなめ茸」

「意外……無味のきのことの相性抜群。美味しい……」

「えのきは食感が楽しいし、椎茸のように香りがそこまで強くないしね?」

「香り、あった?」

「ハサミで切っているときに、むわっとしなかった?」

「ん~? 言われてみれば??」

「んじゃ、これからハンバーグのソースに入れたりとかしても問題なさそうだね? 前に作った豆腐ハンバーグとか」

「あ。いいかも。食べれそう」

「いずれは、しめじにエリンギも頑張ろうか」

「……う、うん」



 まだ刻めば食べられるというふたつなので、食感がくにくにしていると食べにくいきのこではあるが。しいたけにくらべれば、まだ全然食べられる範囲。


 見た目と食感に騙されがちな万智子には、少しだけハードルが高かっただけなのだ。しいたけがきっかけで食わず嫌いがあったせいだろう。


 とりあえず、結婚式の日までは貯金箱形式の節約が続き。


 合間合間の節約レシピは、そこまで普段と大きな差がなかったのでとても満足できるご飯ばかりだった。

次回はまた明日〜

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