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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第70話 結婚式内容を、サンドイッチで語る

「そろそろ、式について考えようと思う」

「……おぉぅ。そうだねぇ」



 夏も終わりに近づき、そろそろ秋。


 結婚記念日にもそろそろ近づき始める季節なので、覚の言いたいことも理解出来た。


 悪くはないが、三年も結婚式をしないままはよくないかもしれないこと。


 もちろん、家庭によっては入籍を済ませて両家で食事会とかもあるらしいが……覚としては、せっかくだからしたいと思っているようだ。


 万智子もウェディングフォトで終わるのはもったいないと思っていた節があったから、双方の意見が不一致なところもない。


 問題があるとすれば、費用について。


 引っ越し以上の買い物をするくらいの金額の見積もりが来るため、そう簡単には出せないのだ。だからって、覚だけに負担をかけたくはない。微々たるものでも、力にはなりたかった。



「今日一日は、それについて語り合いたいから……先に、軽食を作ろうと思うんだ」

「なになに?」

「色々サンドイッチ」

「いいね~。前作った巻いてるやつも美味しかったし」

「今回は普通に重ねるやつだけど。このために、パン屋で10枚切りの薄い奴を買ってきました」

「うっわ、うっす!!?」



 よくスーパーで見かける薄いスライスは基本的に8枚切りらしいが。それよりもさらに薄いスライスパンは初めて見た気がした。頼めば、パン屋によっては対応してくれるらしい。ちなみに、商店街のパン屋のひとつで購入してきたそうだ。



 具材は、


 ツナマヨ。

 卵サラダ。

 アボカド。

 トマト。

 スライスチーズ。

 レタス。

 きゅうり。



 これの組み合わせを自由に決めた、自分だけのサンドイッチを作るだけ。


 少しずつペティナイフでスライスから練習を始めている万智子は、トマトときゅうりを担当した。さすがに、アボカドはまだまだ上級向きらしく、覚には許可をもらえなかった。



「マスタードとバターを混ぜたものを、パンの内側にそれぞれ塗って」



 水分を弾くためと、コクを出すために必要な工程。


 マーガリンやマヨネーズでも全然いいらしいが、今日は時間をかけていいのでこの組み合わせにしたそうな。


 あとは分厚くなり過ぎないように、中央が軽く膨らむことを見越して具材を重ねていく。ツナマヨや卵サラダのみの場合は、山になるようにして塗るのがポイントだとか。



「映えもあるから?」

「それもだけど、重石を乗せれば広がっていくし。切り口がボリュームアップしたように見えるから」

「あーね?」



 軽食ひとつでも、手は抜かない。


 それに、大事なことを話し合うのだから余計に気を引き締めているのかもしれないのだ。


 万智子はコーヒーメーカーでふたり分のコーヒーを淹れ、覚がサンドイッチのカットをし終えたら……それぞれ、テーブルにセッティングしていく。


 出来上がったら、まずはいつも通りに。



「「いただきます」」



 これを始めないと、食事を始める気にはなれない。日本人らしい大事な食事の挨拶だ。習慣になったのは、世間でもそんなに大昔からではないようだがそれはいいとして。


 サンドイッチをひと口頬張れば、薄くてもしっとりやわらかなパンに挟んだ具材との組み合わせがマッチし過ぎて。万智子は蕩けそうになってしまう。これはあくまで軽食だというのに。



「あ~、美味し!」

「うん。市販のより高くて当然だけど、パンが美味い」

「ね! ……式場って、見学とか出来るんだよね?」

「そうそう。ブライダルフェアもあるらしいけど……そこまで大がかりな人数呼ぶかどうかも難しいから? 俺的に提案したいのは、パーティー風」

「パーティー風?」

「親族もだけど、友人くらいを集めた披露宴だけとか。式はそこで人前式って、皆の前でするってやつだと価格も抑えられそうな気がしてる」

「式場借りずに、大きなレストランとかでやるやつ??」

「そうそう。値段もそりゃかかるけど、披露宴会場押さえるくらいはマシだと思うんだ」

「……うん。なんか、現実的な感じ」

「マチちゃんは、華やかにしたい方じゃなかった?」

「いや。憧れはなくもないけど? 和装は写真で色々撮れたし、ドレスも何回かお色直しするのは……着替えが面倒だから、あんまりしたくないな。メイク直しも自分で出来る範囲でいいと思う」



 料理も美味しいものを食べたい気持ちはあるが、残すイメージの強いそれを無駄にしたくない気持ちが強かった。


 だから、逆にパーティー風の方が現実的で、しかもリーズナブルな価格の可能性があるのなら……費用も、覚に大きく負担がかからないはず。お色直しの回数が嫌なのも本当なので、わざわざ白だけのにこだわるつもりはなかった。



「無理してないなら、俺はその方向性でいきたいけど」

「私も、いいよ。親しい人たちとだけでも全然問題ないし」

「招待状の数も、ぐっと減るからね。そこは作業効率のいい方にしようか?」

「うん」



 目指すものが形になるのなら、次は時期とかについて。レストランを借りるのであれば、それなりに大きなところでないといけない。対応してくれる場所をタブレットを使って検索しながら、サンドイッチを食べ進めていくのが楽しい。


 重くない打ち合わせが、こんなにも楽しいとは思ってもみなかった。結婚祝いを決めるためのことだから、暗い雰囲気にはしたくなかったし、これくらいでちょうどいいだろう。


 用意したサンドイッチもふたりで食べれば、すべて完食できるくらいにネットサーフィンに夢中になれた。


 互いの仕事のことももちろんだが、この大切な打ち合わせだけはちゃんと自分たちの納得がいくことに仕上げたい気持ちが強かったから。これで、いいのだ。

次回はまた明日〜

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