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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第69話 お土産ついでに、オフ会

 落合家で一家団欒を経験した万智子は、峰子らに色々入り用になるものを持たされたため……新幹線の荷物がそれなりに増えてしまった。


 中身は、ほとんどが食べ物や峰子が手掛けたマイバックなど。


 かなりの量になったので、これは万智子と覚だけでは消費し切れない。であれば、ひとつの手段だと……オフ会を開くことにした。



「さーやちゃん、お久~~」



 オフ会と言っても、相手はひとり。商業作家の先輩であり、師でもあるドミノ・パンだけだ。ほかにもみぃたんだったり、ふわふわたちにも声をかけても都合が悪かったのだ。みぃたんに関しては育児もあるので、土産は郵送予定でもあったので問題ない。



「お久しぶりです」

「帰省してたんだってね? 仕事もあるけど、そこは大事にしなくちゃだし」

「ドミノ先生は……帰省されてないんですか?」

「いんや、してるけど。どっちも近いから日帰りで横断な感じ」



 人それぞれというものの、商業作品を多く抱えていてもきちんとするところはしているのには感心するものだ。


 万智子は覚と生活していなかったら、少し以上にずぼらな生活をしていたため、見習わなくてはなと思わずにいられない。とりあえず、今日呼び出した理由の『お土産』を入れた袋を彼女の前に差し出した。袋は、紙ではなくて、峰子が手掛けたマイバックだ。



「どうぞ、お納めください……」

「じゃ、ありがたく~。へぇ? 手作りのマイバック?」

「お義母さんの手作りなんです。今もお針子さんらしくて」

「いいねいいねぇ! 下手に破れやすい市販のよりもしっかりしてる感じ!! 大事に使うね? 中身は……コーヒーパックにうどん?? あと、羊羹??」

「うどんは向こうの特産品なんですって。茹で時間が結構長いんです」

「ひみうどん? 秋田とかの稲庭うどんは知っているけど、また違うものも嬉しいなあ。暑いし、ぶっかけとかにしてみるよ」

「是非」



 お互い、普段は主婦であるから食事についてはいつも悩むのは同じだろう。万智子の場合は、朝夕は覚が作ってくれているので、昼は自分で適当に済ます程度でしかないが。


 それでも、食べ物で英気を養うのはどこの家庭でも同じだ。ドミノも家庭を持っている上で、在宅ワークの漫画家を続けているのだから……将来、その位置に自分も立てるように万智子も頑張らなくては。


 今はドミノのアシスタントは休止中であっても、彼女は気にせずに万智子との会合を楽しみにしてくれているのか……今回は食事だけのオフ会でも、話は盛り上がってきた。



「がっきーがご飯作ってくれるんだぁ? いいなあ……うちの旦那、そこまで興味ないからさ?」

「私の友人の旦那さんは、超不器用だそうです……」

「丈やんは一人暮らしだから自炊してるらしいけど。ほんと、超当たり引いた感じだね? さーやちゃんの場合。いや、がっきーが引き当てた言ってたから……料理はおまけか?」

「いつも……全部、美味しいです」

「うらやま~~」



 失敗なんて、ほとんどない。もちろん、覚とて最初の最初は失敗続きだっただろうが……万智子と暮らす前からの、自炊生活は今でも役に立っている。その生活がなければ、万智子も会社を辞めてまで結婚も考えなかったかもしれない。


 誇張ではなく、本気で。


 食事は日々の糧だから、とても大事なのだ。



「ただいま~」

「おかえり~」



 休日にオフ会にしたため、覚は家にいた。いっしょに行ってもよかったのに、たまには女ふたりでゆっくりしておいでと、辞退したのである。築城もいなかったせいもあるからだろう。彼には覚から土産は渡す予定でいるらしい。



「ゆっくり出来た?」

「うん。ドミノ先生、元気そうだった」

「たまには外でのんびりランチもよかったでしょ?」

「そだね? けど、さとくんのご飯が天下一品だよ?」

「……そりゃ、どーも」



 素直に言っただけなのか、軽く照れていた。そんな表情が可愛く見えて、なんとなくほっぺに吸い寄せられるようにキスしたら……色々お返しが来たので、あやうく倒れそうになったのである。興味本位で男心を煽ってはいけないと、再認識したわけで。


 お互いに落ち着いてから、キッチンの様子を見ると覚はなにかを仕込んでいるところだったみたいだ。大量の塩があるということは。



「塩麹……作ってたの?」

「ん。夏が終わる前にも、たくさん仕込んでおきたいしね。一週間で出来るから、大量生産のメリットは大きいし」

「サラダチキンがたくさん食べれる!!」

「ほかにも、調味料で使っているんだけど……」

「だけど、あれ美味しいし……」

「そりゃ、どーも」



 適温の湯と塩と麹を混ぜて、室温で一週間発酵させる。その間、一日一回はスプーンとかでかき混ぜる。消費期限は冷蔵庫に入れておけば、三ヶ月はもつそう。


 つくり方によっては、もっと発酵させれば可能とかあるらしいが。覚や万智子の消費量を考えれば、これくらいの作り方でも十分美味しい料理の調味料になるのだ。



「あと、唐揚げも美味しいよねぇ」

「と思って、もも肉も買ってきた」

「ジャスティス!! 原稿の続き頑張ってくる!!」

「ほどほどにね~~? 揚げたての頃には呼ぶから」

「うん」



 みぃたんも含め、今までの友人たちとは疎遠になったわけではないものの。


 新しく出会い、繋がっていく関係も大事にしたいと思えるようになったのは。


 間違いなく、覚と結婚してからだろう。ドミノたちとの出会いも、これから大切にしたいと素直に思えるようになったから。


 日々の潤いは、些細なことから積み上げていくのは本当だと改めて実感したのだった。


次回はまた明日〜

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