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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第7話 なんてことなかった妹分には

 落合覚、二十九歳は新婚ほやほやである。


 普段は広告代理店、クリエイティブチームの主任補佐。簡単に言えば会社員。副業は商業作家を七年以上は続けている、ちょっと特殊な掛け持ち人間だ。


 WEB投稿サイトで打診が来てからデビューを果たし、冊数はそこまで多くないが一年に二冊くらいは書籍化をこなしているラノベ作家。そこから、コミカライズも出ているので副収入はそれなりにある。身内に税理士がいるため、格安で毎年の確定申告はお願いできるだけのコネクションもあるのでも生活面は潤っていると言っていい。


 そんな彼が、結婚。


 しかも、付き合って二ヶ月からのスピード婚だ。相手は五つ年下のOLで同人活動をしている万智子という女性。SNSで共通の相互フォロワーから紹介され、つぶやきからの返事などで何気ない会話が続いたりして意気投合していただけだったが。


 気が合うだけで、五年ものやりとりが続くと思わなかった。RINEの垢も教えたので彼女の拙いネームにもチェックを入れたりしていたが、本を出すのには当時受験生だった彼女のことを思えば趣味に付き合うくらいの気前の良さを見せていただけだろう。


 大学生になってからは、万智子も同人デビューを無事に果たして売れない洗礼も受けたがそれなりに楽しかったと話してくれたりもした。


 そう、最初はまったく意識していなかった。遠距離過ぎたこともあったし、彼女が大学の進学のために上京してきても、すぐに『オフ会』することも全然なかったのだ。


 しかし、五年近く経つので、大学を無事に卒業する祝いも兼ねて……と、なんとなく覚の方から提案すれば承諾があった。少しくたびれた格好の普通の女子。それがリアルでの第一印象。


 と思っていたが、ノリで向かったカラオケでそれなりの歌唱力を持っているのに少し興味を持ち。二回目もしたいな、と、自分からオフ会を誘うこととなった。二回目は時間を置いて、彼女が仕事終わりというタイミングだったが……正直言って、度肝を突かれた思いを感じたのだ。



(かっわ!? え、こんなしゅっとしてた?? 好み……)



 と、カジュアルフォーマルでも、きちんとOLのスタイルを着こなしていた万智子を見て……久々と言っていいくらい、覚の中の『ロールキャベツ男子』の顔が表に出てきたのだ。幸い、万智子は覚には前々からフリーなのは話してくれていたし、覚の方も数年前に別れていたから誰もいない。


 ちょっと年下だが男慣れしているというよりも、話しやすい意味で男との距離感は狭い。話題もコロコロ変えても付き合いやすいし、趣味のグルメもどこにだって文句も言わなかった。あと、ストレス発散も兼ねていたカラオケにもなんの抵抗感なくついてきてくれるのに加え、歌もそれなりに上手い。


 これは、好物件ではないかと、慎重にことを運んでいきたかった。


 相互フォロワーの縁。妹分。同人活動での師弟関係みたいな位置。


 それらを突き抜けていくような、『一目惚れ』とは本気であるもんだと自覚していくのは結構早かった。だからではないが、何回目かのオフ会でとうとう仕事の愚痴が出たときに……『いつまでもしないなら結婚込みで付き合わない?』のネタっぽくして、告白をしたわけだ。


 遠回しに結婚前提なくらいに本気で考えたからこその提案。


 普段はほんわか系に見られているかもしれないが、根っこは結構な策略家でいた覚としては狙った獲物は逃したくはなかったのだ。毎回、可愛い可愛い捕まえたいと虎視眈々と狙っている狼が目の前にいるのに……万智子は年の関係で兄のように慕ってくれている以上の様子はなかった。


 無理やり交際には繋がったが、互いの部屋を行き来しても、すこーし手を出しても恋愛初心者丸出しの万智子には刺激が強かったので……一夜以上を共にすることはなかった。


 だからか、スピード婚に持ち込みたくて、前々から用意していた『婚姻届』を出してプロポーズを切り出したのである。断れたら仕方ない言い出し方だったが、拒否感はあまりなかったのか……深々と腰を折られてきたときにはきちんと姿勢を正したけれど。


 とにかく、晴れて入籍をすることが出来たので新婚。


 新婚旅行してもよかったが、しばらくは寿退社ということで退職した万智子はゆっくりしたいとこぼした。だから、外食回りもいいが、覚が得意な時短レシピでさらに距離を縮めたいと意気込むくらいの毎日を過ごすことが出来る。


 きちんとゲットしたからには、大切に優しく接してやりたいから……初夜の日程にこだわるのも、少しは我慢したのは褒めていいかもしれない。恋愛初心者には、慎重にいかないと本気で逃げられそうで怖いのは苦い記憶の中にあるからだ。


 それにしても、同人活動再開には生き生きとした表情が出ていたため、可愛くてキスしまくりたいと我慢したのも自分を称賛してやりたかった。だから、翌日に口は際限なくするからとほっぺで終わらせたのである。


次回はまた明日〜

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