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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第59話 冷やし中華にはやっぱりゴマだれ

「「じゃーんけん、ぽん!!」」



 梅雨シーズン。


 今日は台風の関係で、外は嵐状態。


 覚は出勤せずに自宅待機。万智子は関係なく仕事を進めていたが、昼になれば当然休みもする。


 ということで、冒頭に戻るがじゃんけんをしていたのには、少し訳があるのだ。



「勝ったね」

「あ~、負けた……」



 今日の昼ご飯になにを食べるかについてだが。


 とある『こだわり』について、じゃんけんで決めていたのだ。


 夏も到来ということで、そろそろ気になる時期にもなった食べ物。


 そう、それは。



「冷やし中華はゴマだれに決定~~」

「……美味しいけど、また??」



 冷やし中華のシーズンになったので、合わせる『たれ』の味をノーマルかゴマだれにするかをじゃんけんで決めた。万智子は昔からノーマルの酸味が強いものしか食べてこなかったので、去年初めて食べたが『美味しいな』とは思ったものの。


 覚はどうしてもゴマだれが食べたいと、珍しく引かない姿勢をとったのでじゃんけんになった。



「じゃあ、マチちゃんに質問」

「うん?」

「棒棒鶏の味付けは?」

「……あんまり、覚えてない?」

「うーん。じゃ、ゴマドレの味くらいはわかるでしょう?」

「……わかるけど。去年のもそんな味付けだっけ??」

「近いね? 食べてみたくない??」

「まあ、ゴマドレなら……」

「というか、酢は使うから味わいはゴマドレっぽいんだよね~」

「あれぇ??」



 今回の材料は、


 すりごま

 味噌

 酢

 砂糖

 マヨネーズ

 豆板醬

 豆乳

 ごま油

 鶏がらスープの素



 家の冷蔵庫などで微妙に使っていない材料がほとんどだが、これらを混ぜ合わせるだけでゴマドレぽい、『ゴマだれ』が出来るらしい。



「おろしにんにく入れてもいいけど。今日はないから省略」



 ボウルに材料を入れて、スプーンでがちゃがちゃ混ぜていくのを見ていると……たしかに、ぱっと見だけならドレッシングのゴマのとそっくりだった。



「……冷やし中華って、チャーシュー入れてた??」



 今回の麺は、市販ので『水で戻す』タイプ。流水でほぐしたあと、ザルに切って少し置いていたが。


 その間に用意していた、トッピングを見て『おや?』と思ってしまったのだ。前回のサラダチキンじゃなくて、チャーシュー。錦糸卵ではなく、煮卵とか。



「店にもよるけど。バリエーションくらいはあるもんだよ?」

「コンビニでしか見たことないから」

「んじゃ、『冷やし中華はじめました~』で、中華屋とかラーメン屋で食べたことない?」

「ないねぇ?」

「前回と違う、俺のお気に入りの具材はゴマだれだとこんな感じ」



 野菜はきゅうりとトマトはいっしょだけれど、さっ、と、かけたタレの仕上がりを見るとよく見る冷やし中華ではなかった。


 美味しいだろうということはわかっていても、未知な食べ物を口にするようで不思議な気持ちになっていく。


 ほかにもおかずを何品か、ささっと作った覚の手際の良さに感心しながらテーブルを拭いてみたり、食器の用意をしていけば……昼ご飯の完成だ。



「「いただきます」」



 マヨネーズと豆乳を使ったことで、薄茶だが白っぽいタレが皿にのっかっている。ドレッシングとほぼ同じ味わいだとわかっているなら、これはサラダ風かと思ってひと口すすってみた。


 すると、豆板醬のぴりっとしたあと口を感じたあとに、咀嚼が止まらなく感じたのだ。酸味の強い通常のタレよりも、まろやかで食べやすく、かつ暑さで食欲が激減しているのに……美味しくて堪らないという味わいが広がったのだ。



「ほんとに、ゴマドレみたい!! 食べやすい!!」

「棒棒鶏も今度サラダチキンでそれっぽく作ってあげるよ。ほとんど似た感じになるけど」

「気になる! へぇ? 先入観で避けてただけかな? 去年のもだけど、こんな食べ易かったんだ~」

「西方面だと、マヨネーズ添えてあるからねぇ。愛知だなかった??」

「……ん~~? 家では特にたべてなかったし。学校給食だとでなかったしな~?」

「んじゃ、地域差というより食べ慣れてなかっただけかー」

「さっぱりしてて、するする食べれちゃう~」



 たしかに、先入観を持ち過ぎて避けていただけかもしれない。


 冷やし中華はすっぱいタレの食べ物。その思い込みで過ごしてきたのだから、違う味付けは想像がつかなかった。


 今日また、覚が振舞ってくれたおかげで新しい味を知れた。未知なものがそうじゃないと分かれば、逆に好物となるくらいに気に入ってしまう。


 実際、あっという間に完食してしまったので、おかわりが欲しくなるくらいに食欲不振がなくなったのだ。それくらいなら、と、今回は冷凍食品のチャーハンをレンチンで追加したが、十分に感じた。



「北と南でも食文化の差は大きいし。ざっくり、東と西でも味付けは違うからね~?」

「あーね? 出汁とか、上京してきたときに真っ黒過ぎてびびったもん」

「最近は西のが飲み易いからって増えてきたけど。そばは黒い方がうまいんだよな~ざるとか」

「あ。そんなこと言われると、そば食べたくなる~~」

「次の買い出しで買わないとなぁ? 冷やし中華みたいに流水で戻せるの売ってた気がする」

「いいねぇ?」



 食べているときに、また食べたいものを考えてしまう。


 それはそれで、楽しいことだ。外は大荒れで、外出もできないくらいだったがそんな楽しみ方があってもいいだろう。


 ちなみに、台風なのにコロッケを作らなかったのは……覚でも工程が多過ぎて時短しにくいから、と。今回は事前にお惣菜コーナーのを買っていたため、作らなかったのだ。

次回はまた明日〜

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