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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第58話 プール帰りの味噌煮込みうどん?

「さとくん、ヘイ!」

「おっし、いくよ〜?」



 落合夫婦、結婚生活二年目の初夏。


 去年のGWは特別旅行とかはしなかったが、今年は出来るだけ出かけてみようということになり。


 盛夏のプール開きにはまだ早いが、温水プールを楽しもうと市内のレジャー施設に遊びに来たのだ。


 万智子もだが、覚も水着を着るのは久しぶりということで新しく買いに行ってからだが。互いに似合うものを選んだので、それなりに満足しあっている。万智子のはビキニではあっても、上がフリル多めなのでそこまで胸は強調されていない。


 というか、覚が周囲に見せたくないと言う気が大変わかりやすくも可愛らしいものを選んだのだ。ストレッチャーで隠してもよかったのだが、それだと良くない、と矛盾する言葉を言われたため……ちゃんと水着を着ているわけである。


 今は泳ぐのを一時中断し、ふたりだけだがビーチバレーを楽しんでいた。



「せいっ!」

「ほらっ!」



 体格差、年齢差はそれなりにあるのに。


 やはり、男女の違いというのが一番大きいので覚の方が有利なのは仕様がない。


 サーブやアタックもかなり加減してくれているのがわかりやすいが、少し強めにしないと万智子の方は届きにくかった。



「まだまだ!」

「どーか、なっ!」



 五歳差ではあるが、まだまだ覚は二十代を抜けたばかりなので、体力も気力も十分。


 もしくは、万智子の濡れた水着姿で元気に運動しているのが艶姿にでも見えるのか。変にきらきらした目で見られている気がしたため、万智子は強めにアタックしてみたものの。


 見事に弾かれたので、ここで終わりにしよう、と、戻されたボールを掴んだ。



「ちょっと、休憩~。てか、結構遊んだね~?」

「だね? そろそろ切り上げる?」

「賛成~~。フードコートのご飯もいいだろうけど、しっかりしたものが食べたい~~」

「じゃ、着替えてから買い物しよう。少し足りない食材あるし」

「なになに?」



 施設の近くにある、ちょっと大きめのスーパーに寄ることが決まり。


 シャワーでしっかり塩素を落とす勢いで身綺麗にした万智子は、今晩のご飯がなにかとてもうきうきしていた。


 仕事の方は、ネームの直しがまだまだ入ることが多いので……息抜きに、今日は覚と出かけていた。GWを仕事漬けにするのは大変よろしくないと、覚が言ってくれたから、健康運動がこうして出来たのである。


 その終わりに、英気を養えるご飯とくれば期待値が爆上がりになるのも無理はない。


 それくらい、旦那さんのご飯が美味し過ぎるのだから。



「あった。これこれ」

「……きしめん??」



 チルドコーナーの一角にある、麺部門のところに。


 ゆで、の、『きしめん』を発見してから、二人分のそれをカゴに入れたのだ。冷たいぶっかけうどんにでもするのかと思ったが、ほかの『足りない』食材を見てみてるとそうでないのが万智子にはわかった。


 帰宅して、ほかの材料を並べてみても……仕上げが冷たいものになるとは思えないものばかり。



「疲れたときこそ、あったかいもん。本場だと違うのは当然だけど、きしめんで味噌煮込みうどん風作ろうかなって」

「……そりゃ、あったかいものは嬉しいけど」

「おや? きしめん好きじゃん?」

「好きだけど、それはかけつゆとかの場合で」



 きしめんで、味噌煮込みうどん。


 邪道の邪道だと、地元では言われそうな組み合わせ。


 そもそも、味噌煮込みうどんは米とそろっての『おかず扱い』なので、何度か食べている『お好み焼き定食』とかと類似しているような粉モノ料理。


 麺が固く、噛み応えがあって熱々の料理が味噌煮込みうどんの醍醐味だが。


 きしめんでも、すでにゆで麺になっているのはぷよぷよしていてやわらかいタイプ。煮込みうどんとかには最適なのはわかっているが、味噌に合うかどうか。


 想像してみたが、合うかもしれない程度の認識しか出来なかった。



「まあ、とにかく作ってみるよ。今日はこれメインだから、おかずとかいる?」

「ん~~。味噌煮込みうどんなら、〆の米くらいかな?」

「んじゃ、雑炊前提で。そこは冷凍のご飯解凍するかはあとで決めよう」



 きしめんは、ボウルに開けてケトルの湯で軽くほぐす。


 具材は鶏肉、かまぼこ、ネギに……。椎茸は万智子にとってタブーなので入れない。


 だし汁に入れた具材の中で、肉に火が通ったらきしめんを投入。煮立たせたら、一旦火を止めて赤みそを溶く。そのあとにまた煮立たせたら、天かすと卵を入れて完成。



(美味しそうだけど。きしめんでかあ……)



 両親は関西からの転勤だったため、愛知ではよくある家での味噌煮込みうどんは作ってもらったことがほとんどない。味噌煮込みうどんは外食で。それが普通だったので、煮込みうどんも関西風の白だしばかりだった。



「「いただきます」」



 初夏と言えど、温暖化の進行により既に夏真っ盛りの外気温。


 温水プールでたくさん遊んでも、身体はまだ冷えてしまっている。そこに、熱々の味噌煮込みうどん風。


 やわらかい平打ち麵のきしめんをひと口すすると、ピーン、と、来たものを感じた万智子は続けて麺を豪快にすすった。



「おいひぃ!!」



 濃いだけの赤みそが、きしめんに絡んでいることでまろやかに感じるのだ。その分、食べ易くて箸を動かすのが止まらない。ほかの具材といっしょに食べても全然ケンカしてない気がするくらい。



「いや~。随分前に、インスタントの味噌煮込みうどん食ったじゃん?」



 半分くらい食べたあたりで、覚が思い出すようにしながら告げてきた。どうやら、今回のは実験的に思いついたものではなかったらしい。



「食べたね?」

「あれだと平打ちだったじゃない? なら、ゆでのきしめんでも合うんじゃないかなって。単純に、俺が食べたかっただけなんだけど」

「美味しいよ! これなら、ご飯のおかずより麺を楽しめるね~」

「けど、おじやは欠かせないな~」

「だねぇ?」



 汁も飲み干す勢いになってしまうので、そこは適量残すことにして解凍したご飯を投入。


 匙で食べると、さらにまろやかに感じて至福のひとときを味わえたのだった。


次回はまた明日〜

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