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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第52話 ミックス粉で作れるクレープパーリィー

 時短レシピが多い落合家では、最近特にハマっている料理があった。


 ホットケーキミックスでつくれる料理。


 それはホットケーキはもちろん、ドーナツに蒸しパンなどのお菓子にアレンジも出来るが。


 時短でかつ、満足のいく食事になると言えば。



「……さとくん。クレープパーリィー、したい……です」

「限界、かな?」

「先生の原稿は落としていない。けど、自分のはぁ……」

「はいはい。やろっか?」



 漫画家のアシスタントとしては、順調に給金を稼がせてもらっているくらいには信頼を置いてもらっている。


 だが、祭り以降の、同人活動はてんでなくらいに、『不発』なネームばかり出来上がってしまうのだ。不発過ぎて、覚に見せても没ネームになるばかり。


 今日も今日とて、休日だが少し打ち込んでいたいと自室にこもったものの……やはり、こもったとていいアイディアが浮かぶはずもなく。


 結果、昼過ぎに空腹に耐えかねたので、覚に応援要請を出したのである。少し前にもしたばかりの、クレープパーティー。つまりは、クレープ食べ放題のランチタイムのことだ。



「出来上がるまで、なにか手伝いいる?」

「ん~……じゃ、バターのレンチン頼んだ」

「ほいほい」



 生地作りに時間を描けたりする方が美味しいとも言われているが、手軽にたくさん食べたい方法として、覚はそこには時間をかけない。というか、料理スキルが高いので生地を寝かせなくてもきれいにクレープ生地を焼けるからだ。


 ホットプレートではなく、薄めのフライパンで。テフロン加工のだが、うすーく油を塗ってキッチンペーパーで拭いてから生地をおたまで流し入れる。均一になるように広げて乾く程度に焼く。


 菜箸などでゆっくり剥がし、表を数秒焼いたら完成。これを数枚どころか十数枚以上焼いていく。その間に、万智子は果物を洗って切ったり。覚の指示をもらいながら、野菜などの具の準備をしていった。


 いわゆる、おかずクレープを食べるためだ。チーズなどについては、小型のガスバーナーがあるので耐熱皿の上で炙るから問題なし。


 調味料も出せるだけ出しての準備が整うと、ようやく万智子にもギアがかかってきたのか食欲のエンジンがかかってきた。



「「いただきます」」



 いきなり甘いクレープもいいものだが、やはり昼ご飯も兼ねているのでおかずクレープを作ってみる。


 レタス、トマト、ツナにチーズ。そこにピザソースで味を決め、くるくる巻いたら手で持って豪快にかぶりつく。



「ん~~!!? これこれ、甘い生地だけど。おいし!!」

「本格派だと、もうちょい違うらしいけど。ふたりで食べるなら色々具材用意できるし。手巻き寿司っぽくていいよね?」

「お店だといい値段するのが、食べ放題!!」

「生地も小振りだし、満足感あるよな~」



 覚はチーズとアボカド。炙ったベーコンにコーンとかにしていたが。マヨネーズとピザソースで合うのか万智子も少し試してみたが……意外な組み合わせなものの、ソース同士がケンカしていなかった。オーロラソースほどではないものの、ピザのトッピングとしてはありなんじゃ?というくらいにはマッチしていた。



「食事は二個くらいにして……えへへ~」



 クレープはおかずもいいのだが、やはりメインはデザートとして。季節もののいちごから、オレンジにバナナと缶詰パイナップル。そこに、手づくりではないものの、市販のホイップクリームを好きなだけトッピングして……チョコソースをだばっとかければ。好き放題スペシャルなクレープの出来上がりなわけである。



「いや~、豪快豪快」

「そういうさとくんこそ~」

「まあ、デザートは別腹といいますか?」

「そのあとで、バイキングよろしくしょっぱいものにチェンジしてもいいし~?」



 パーティーなのだから、なんだっていい。


 ほかの目など気にせず、ただただ自分の食欲を満たしたいがために。普段は暴食しないふたりも羽目をはずしたりするのだ。


 そうでもしないと、気分転換にはならない。


 考えることが多過ぎて、目の前の壁が分厚くなってしまうのを……乗り越えられるとか薄くするかとかは今考えたくはないので。


 少しでも、癒されたい気持ちに傾け、すべてをリセットしたかった。



「「食べた食べた~~」」



 ふたりとも、最低五個くらいは作って食べたが、トッピングは適度に残ってしまった。それらを平らげる胃袋の隙間はさすがにないため、食後の軽い運動も兼ねて手分けしてタッパーなどに入れて冷蔵庫へ保存。


 明日また同じメニューにするかは気分次第ではあっても、片付けくらいはきちんとする意識くらいは残っていた。



「わがまま聞いてくれてありがと~」

「いやいや。スランプのとこに役立てればよかったけど」

「……忘れてた」

「ああ。言わん方がよかった?」

「ううん。ちゃんと、考える」



 没を繰り返すことで、いくらでもネタは降ってくるものだ。


 これまでの経験と知識をフル活用して、いいものが出来たときがちゃんと結果にも繋がっていたりする。今日のこともまた、その糧となっていくのだ。


 全部が全部、利用するわけではなくても……癒してもらえた、覚には感謝したい。


 なので、ちょっと食休みついでにと、コーヒーを淹れてくれたあと……自ら、ハグしに行った。



「……なに? いちゃいちゃしたいとか?」

「……それはダメ。まだネーム出来てないから」

「え? まさか、寝るのも?」

「どっちの意味で言っているとしたら……活動的なのは、お預け」

「え」

「ん?」



 新刊の締め切りもあったので、少し本気で告げただけなのだが……それなりにショックだったのか、振り返ってきた覚の表情は思いっきりがっかりしていた。


 仕方がないことだが、こればっかりは譲歩してほしかったので、そのあときちんと頼み込んだのだった。

次回はまた明日〜

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