表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/62

第50話 相互フォロワー、また近況を聞く

「……ねぇ? 子育て、変わって」

「いや、無理でしょ。みぃたん」



 千郷との久しぶりのオフ会。


 お土産を渡すタイミングがなかなか作れず、直接渡す機会がやっと出来たら……近況報告をすると、そんな返答をもらってしまった。


 今もデカフェではなく、ホットのハーブティーを飲むくらい、カフェインを摂れないのが辛いのだろう。千郷は重度のカフェイン中毒者だったはず。


 現在、無事出産を迎えて……さらに、育休を取って子育てに奮闘しているらしいが。赤ん坊は最近保育園に入園出来たため、今日は比較的のんびり出来る。と言っても、熱を出したら迎えに行かなくてはいけないため、あまりのほほんとは出来ないそう。


 だから、万智子の近況を聞くと、甘々生活の連続で前のように砂糖を吐きそうな勢いで妬んでしまうらしい。本気モードじゃないので、さきほどの言葉も冗談だろうが。



「くっ。兄さんの手作りお菓子?? うちの旦那でもそんな労わりないのにぃ!」

「けど。赤ちゃんの送り迎えとかの協力はしてもらっているんでしょ? 産後のケアとかも聞いている限り凄いと思うけど」

「そこは、いいの! 私と、めぐたんのために自分の出来ることをしてくれるのは嬉しいけど!! 料理下手男子だから……さーやんとこの兄さんがうらやましいぃ!!」

「まあ、向き不向きあるらしいから」



 機械音痴ならぬ、料理音痴がすごいらしく。千郷の旦那はぎりぎり、トースターでトーストが焼けるかどうかの不器用さんだそう。ずぼらではないが、レンチンの感覚も危ういので迂闊に専用の離乳食も作れないらしい。


 なので、そこに関しては夜泣きで抱っこ交代くらいしか難しいとか。ミルクの温度設定も何度も失敗したと、DMで何度も聞いてはいたが。



「完全母乳で育てなきゃいけないとかそんな無理しないで、とか言ってくれるけどさあ? 正直、胸張るし痛いしで、適度に搾取しなくちゃいけないもん。けど、毎回めぐたん飲んでくれるわけじゃないしぃ」

「……お疲れ様です」

「ほんとね? けど、さーやも他人事じゃないわよ? ちゃんと結婚しているんだし、妊活のスケジュールとか管理も大変なんだから。そこんとこ、仕事とも併せて頑張んなさい?」

「……おっしゃる通りです」



 結婚二周目をスタートしたので、そこは本当に他人事ではない。


 今のところは、万智子のアシの仕事もあるため避妊で行為はあったりなかったりしているが。


 子どもが結構好きな覚は、たまに動画のショートショートで赤ちゃんの『にま~』な投稿を見ていたりもする。それくらい、赤ん坊が早くほしいのか。


 しかし、万智子はともかく、覚はもうすぐ三十路。別に子どもを持つのに遅い早いの風習は、今時とやかく言われたりはしない。両家の母たちからも、妊活についてうるさく言われたりしない。仕送りについては、義母の方からはよく連絡は来るけれど。



(子どもか~~。みぃたんとこのめぐちゃんも写真可愛かったけど……)



 いざ、自分のこととなると、どうしていいのかわからなくなる。


 自分の体内にいのちを宿すこと。


 そして、十月十日抱え、きちんと産むこと。


 この超難題を、千郷も乗り越えたのだ。産後のケアも大変らしいが、その先がもっと大変。


 家族、と呼べる新しい一員を、ちゃんと親として責任を持って育て上げることが出来るのか。


 SNSやニュースのみならず、体験談の漫画などを読んでも……全部が全部、きらきらした生活じゃないことくらい、万智子でも容易に想像が出来る。


 いのちある者。


 こころある者。


 自分の子どもだけど、他人。


 そんな相手と向き合い、ちゃんと独り立ちするまで育て上げられるか。


 千郷の愚痴をある程度聞き、帰宅してからも万智子はぼんやりとそんなことを考えていた。




「……でも。私ひとりじゃない」



 ひとりですることじゃない。


 万智子が母親になるのなら、父親になる覚だっているのだ。


 よく話し合うことで、その子のためになることを共に歩んでいける存在。


 今すぐに、どうこうして、赤ん坊を妊娠できるなんて可能性はないが。


 互いの今後を話し合う機会を、また考えていくのはいいのではないだろうか。


 ふたりは、夫婦なのだから。



「ただいま~」



 今日の夕飯は万智子の温そうめんパスタ風だと決まっているので、ゆっくり語り合えると覚の帰宅後に調理を始めたのだが。


 彼が手に持っていた、淡い青色の箱を見てなんぞや?と首を傾げるのだった。



「おかえり。それ、なーに?」

「あれ? 今日ホワイトデーだから、お返しに花買ってきたんだけど。プリザーブドフラワーアレンジ」

「へ!? ホワイトデー!!?」



 ひと月前の、14日と。壁掛けのカレンダーで確認しても、ちゃんとそうだったと認識した今。


 バレンタインにきちんとチョコは渡せたが、お互いに送り合ったのに……また、万智子は何も用意していないことに今気づいてしまった。しかも、万智子のあのチョコのお返しには少し高価なものだと断定できるプレゼントを持ち帰ってきたのだ。



「……忘れてたみたいだけど。ちゃんとチョコもらっているから、いいよ??」

「よくないよくない!! あ~~。なにか出来ない?? 今日みぃたんの愚痴聞いたあと考え込んでたからすっかり忘れてたぁああ」

「みぃたんと? なんかあった??」

「…………にん、かつ、について」

「あーね? まあ、それは追々考えるとして。そうめん、焦げるよ?」

「あ、それはいかん!!」



 と言うことで、本当に食事をしながら妊活についてきちんと話し合うことになったのだった。


 ちなみに、プリザーブドフラワーアレンジメントは、蒼で統一したドーム型で可愛らしく、壁掛けのインテリアとして使用することに。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ