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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第5話 お疲れ様にデトックススープを①

 推し活と同人活動が出来るのなら、昨日今日との二日間の苦悩は無駄ではない。


 そう思うことにしているし、覚の美味しい料理もこれから食べられるので幸せメーターが上がりっぱなしだ。包丁を持っていないか確認せずに、後ろからでも抱きつくのは少しばかり叱られたが。



「そうやって、俺をときめかすのはいいけど。火も使ってたらダメだからね?」

「矛盾してない?」

「してないしてない」

「ふーん。……今日は、何?」

「有給取ったって言ったでしょ? 少し凝ったスープ作ってみた」

「スープ??」

「侮るなかれ。まずは、マグカップに注いで」



 鍋の中身からスープだけを注いで渡してくれた。ほとんど透明な薄い黄色のスープ。鼻に匂いが届くと、ほんわかな野菜の香り以外に肉の匂いもした。鶏肉の匂いとみた。


 せっかくなので、ひと口飲んでみる。外はまだ寒さで上着が欠かせないくらいだったので、胃袋に到達するまでのほかほかした感覚が身に染みた。五臓六腑に染み渡るとはまさにこのこと。



「味が濃い! え? ポトフでもこんな味しない!!」

「今回は仕込みしとけば放置プレイのレシピだからね。時短は仕込みの方かな?」

「鍋見てもいい?」

「どーぞどーぞ」



 マグカップを持ったままコンロの前に立てば、IHコンロの大鍋用の箇所に……ホーロー鍋がひとつ。中にはこれでもかと野菜がごろごろ入ってるポトフに似たスープが。澄んだ色合いのスープの中で煮崩れもせずに柔らかそうな野菜たちが鎮座していたのだ。ただ、肉の姿はどこにもなかった。



「……お肉の味したのに、肉無し??」

「いや? 煮過ぎると固くなるから、途中で抜いた。食べるときに少し小鍋に移して温めるのがコツだよ。すぐ食べる?」

「ほかにもあるの?」

「いい値段のウィンナーもいっしょに茹でるから、メインはこれかな? 煮卵も作ってるから、飲めるよ」

「飲む!! めっちゃ飲む!!」

「はいはい。荷物片づけて、適当に着替えておいで~」

「ほーい」



 わざわざ、退職する日に合わせて有給を取ってくれただけでなく。お疲れ様の料理を振舞ってくれるなんて……惚れられた対象になっただけなのに、随分な甘やかしさんだ。これだけのスペックがあれば、顔はともかくそれなりにモテるだろうに。


 けれども、今は万智子と新婚だ。望んで今の生活を過ごしていたいのなら、万智子もなにも言うまい。こんなほわほわ思考も出来るようになったのは、友人の延長線のようなSNSの付き合いより……充実していると言える。ビバ、リア充と紹介してくれたフォロワーに事情を伝えたらそんな返答があったくらい。


 なら、このネタを同人にも活かせるのか。食事のあとに時間があれば、プロットを起こしてもいいか覚に聞くことにしよう。旦那以前に、作家の師匠でもあるからプライベート以上の関係なのは変わりないからだ。



「出来たよ~」

「は~い」



 着替えとメイク落としをし終えたくらいに呼ばれ、ダイニングテーブルに並べられたご飯たちと向き合う。メインだと言っていたポトフに近いようなスープにはたしかに、鶏もも肉と長いウィンナーが茹でたものがプラスされていた。それが、義母からあいさつのときにもらったスープ丼みたいな器にたっぷりと盛り付けられていたので……本当にご馳走のように見える。


 ほかのおかずは煮卵以外に、浅漬けなどが用意されていた。



「今日のスープは、身体というか心のデトックスをイメージしたんだ~」

「心のデトックス??」

「俺の理由にさせたけど。辞めれたけど……結構睨まれたでしょ? 例のお局さんとか」

「……めっちゃ、気まずかった」



 部長にきちんと結婚するから退職する旨は通ったものの。例の厭味ったらしいお局の先輩からは、隙あらば睨んでくるとかで精神的に辛かった。メンタルクリニックに通うほどではなかったものの、今日までくたくたになったことには変わりない。


 だからこそ、覚のケアは本当に有難かった。あとで、ほっぺにちゅーくらいはしてあげようと思うくらいには。出来たら、その分反動が大きいかもなのでしないかもしれないが。



「だからさ。俺の時間ちょっと使って。このスープで癒してあげたかったんだ。これ、バイト時代のまかないスープだったんだよね?」

「……こんな豪勢なのに?」

「煮崩れだけ気にしなきゃ、余った材料で作ってたんだよ。ブーケガルニとかも、その店のコツだったんだ」

「ほえー」



 覚は学生時代、料理屋のキッチン補助の仕事が長かったからこそ、自炊も上手になったという。高校までは出来ても出来合いのおかずで爆弾おにぎりくらいしか作れずで太っていたそうだ。今のスマートな体型を見ても信じられないが。



「「いただきます」」



 なにはともあれ、万智子は今日で社会人生活を一旦リセット。


 そして、心身ともにデトックス効果のある食事を摂れる毎日に切り替えて……趣味を仕事に出来ないか、覚とともに見出していくのだ。

次回はまた明日〜

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