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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第46話 大掃除あとに年越しそば

 祭りが終わったら、即やってくるのはアシなどの仕事ではない。そちらは既に仕事納めを終えている。


 そうではなくて、同じく正社員の仕事納めを終えた旦那の覚といっしょに、『大掃除』をすることだ。


 普段から万智子が、こまめに電気掃除機をかけてはいても窓拭きや大きい家電裏とかのホコリ取りは不十分。


 なので、二十九日からそれぞれ分担して取り掛かることにした。朝ごはんあとのコーヒーブレイクから、途中の昼ご飯。さらに、夕飯までの時間まで掃除掃除掃除!!と言わんばかりに。


 そのおかげか、年末の三十一日にはどこもかしこもぴっかぴか。資源回収用のゴミ袋には、それなりのゴミが詰められた状態に。このアパートはダストボックスがあるのでそこに入れておけば、来年の回収日まで放置出来る。ほかの部屋もそうなのか、覚といっしょに捨てにいったらそんな感じだった。



「いや~、お疲れ~~」

「さとくんも、お疲れ~~」



 約三日、動ける時間を掃除に当てたおかげで、家の中は綺麗さっぱりと言える空間になっていた。


 一人暮らしだったときは、『生活出来ていれば問題なし』の配置しかしていなかったため。こんなにも、清潔感あふれる環境なんて実家にいた頃でもまともにしていたかどうか。子どもの頃の記憶もあやふやだったので、掃除していたかあまり覚えていなかった。



「夕飯早いけど……食べる?」

「食べたいけど。もう一息吐かない? コーヒー飲むとかして」

「賛成。今日のメニューはもう決まっているし」

「え? なんだっけ??」

「半分は昨日の残り物使うけど、ね?」



 そこも疲れがどっと来たので、あまり覚えていない。それだけ、集中して掃除と断捨離をしっかりしたからだろう。


 覚が淹れてくれたカフェオレで、お互い少しぼーっとしてから作ることになったが。



「霧吹き??」



 掃除の続きとかではなく、中身はただの水という普通の霧吹き。


 それでトースターの中にセッティングされた『ある食材』に振りかけてほしいと言われたのだ。



「……天ぷら??」



 練り物ではなく、衣をまとった揚げ物の方。


 エビ、かき揚げ、紫蘇、と、三種類のそれにシュッ、シュッ、と吹きかけたら……あたためモードで数分カリっとさせるらしい。スーパーで買ってきた天ぷらで天丼が食べたいと言った、万智子のリクエストを聞いてくれたが……今日のために、わざと少し残した理由がわかった。


 今日は年末。つまりは、大晦日。


 年越しそばを食べれる、唯一の日なのである。



「調べたときは嘘だとか思ったけど。昨日の天ぷらもサクサクしてたでしょ?」

「あーね。スーパーのなのに、変にサクサクだと思ったもん」

「作っているとき、マチちゃん溶けてたしね?」



 昨日は断捨離メインで動いていたため、疲れモードがピークに達したのだ。そのせいで、夕飯の仕込みを完全に覚任せにしていたので、作っているところを見ていなかった。



「多分、ある程度の水分を含ませて……熱を通すと水蒸気が出るからかな? だから、しなっとしているのがカリっとするんだと思う」

「ほーう。たしかに、カップ麺の天ぷらにもお湯かけたらふやけるとかあるしね?」

「理屈は違うだろうけど。近いかもね?」



 覚がそばとつゆの準備をしている間、トースターの前でじっとしていたが。チン、と音がなったあとに引き戸を開ければ……湯気と共に、焦げていないサクサクしたような天ぷらが出来上がっていた。



「出来てる!!」

「こっちも出来たよ~」



 菜箸でやけどしないように皿に載せ、それを覚に渡せば盛り付けてくれる。そばだけだと物足りないので、冷蔵庫整理も兼ねたおかずも昨日作ったものがある。それらも並べて、手を合わせた。



「「いただきます」」



 まず、昨日も堪能したサクサク熱々の天ぷら。


 特に、エビの食感も昨日と同じなら……と、口に運べば、ぱきゅっと口の中で弾けて旨味が広がっていく。関東の濃いめの出汁ではなく、少し薄めの関西風に近いのは富山より愛知県に合わせてくれたそう。


 去年もたしかそうだったので、『飲めるおつゆ』仕立てのこの仕上がりは嬉しい。丼を持って、ひと口。体に染み渡っていくようだった。



「あ~……美味し」

「市販のつゆだけど、割り方ちょうどよかったな。これなら、うどんでもいけそう」

「うどんかぁ。前買った氷見うどんとか?」

「そうそう、年明けにうどん食べたいから通販で追加買ったんだ」

「年明けに?」

「一応縁起担ぎのひとつらしいよ。紅白にちなんだうどんを食べると……って」

「赤いもの? ……かまぼことか??」

「ふふふ……釜玉で、ちょっといいとこの明太子取り寄せてあるんだ。まだ解凍してないけど」

「い、いつのまに!?」

「まあ、ちょっとしたサプライズってことにしたかっただけ。おせち買うより安いから、それで我慢してほしいな~」

「全然いいよ~」



 年末年始に向けたオードブル料理もいいものだが。二人で食べきれる量だと、微妙に足りない。ただ、少しグレードを上げると食べきれないだろう、と。


 なので、天丼と年越しそばで豪華にしようと意見が一致したので終わりだと思っていたが……相変わらず、覚の気遣い上手には敵わない。


 明太子もそれなりの値段がしただろうに。解凍してからが、食べきるのも大変だと思ったが。


 釜玉以外にも、卵かけご飯や炙り明太などで色々アレンジした結果……一週間程度で、ふたりの胃袋に収まったのだった。



「次はやめておこう……」

「連チャンは……飽きる」



 大きめの博多明太子だったこともあって、贅沢だが量と味に飽きが出てしまった。しばらくは、飲みでも買わないくらいに魚卵の癖のある味に参ってしまった落合夫婦である。

次回はまた明日〜

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