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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第43話 二日目は少しリーズナブルに?(軽井沢編)

 入籍前後は入り用なものが多いからと、クリスマスも豪華なディナーにしてなかったのを万智子は今更ながら思い出した。


 引っ越しだけで、費用は途轍もない金額がかかってしまう。結婚式ほどではなくても、だ。だから、断捨離で少し買い取りしてもらった書籍等の費用もそれにあてがった。本当に、微々たる額だったのですぐに消えてしまったのだが。


 そこから約一年。


 覚との生活が充実し過ぎていて、贅沢を覚えるとすれば夕飯やたまの外食くらい。


 帰省のときは彼の母親が払ってくれたりと、ついつい甘えてしまっていたが。今後は生活費をもう少し負担出来るように頑張りたいとアシの仕事以外にもなにか出来ないか考えてみることにした。



「やだ。マチちゃんの笑顔が激減する方が、俺としては今くらいの生活基準で充分」



 のだけど、覚に却下されてしまった。



「そりゃ。さとくんの方が稼ぎは上だけど……しんどくない?」

「ぜーんぜん? 奥さんの心の潤いを無くす方が、俺としては嫌だね。見ていて辛い」

「無理してない?」

「ちっとも。じゃ、代わりに貯蓄を頑張ろうか? 通帳を別で用意して、一定の額貯まったら少しそれに移すとか」

「ほう?」

「んで、俺に限らず、ここぞと使うタイミングのために……貯蓄しておけばいいんだよ。無理にあれこれ使い過ぎるより、よっぽどいいと思う」

「なるほど」



 少しシビアな話を挟んでしまったが、それは帰宅してからスタートしようと言うことになり。


 旅行は旅行でしっかり楽しもうと、観光地に来てからのぶらりのんびりした時間の続きをすることにした。


 万智子はドミノやもこもことかにお土産を買い、覚は職場へのお菓子とかを。


 工芸品もあったが、自宅で入り用なものと言えば箸置きくらいかなと……色違いのそれを購入してみたり。


 アウトレットこそは行かなかったが、それなりに充実した時間を過ごせたと思う。


 たしかに、値段にビビり過ぎて今回の新婚旅行を楽しめないのもよくなかった。せっかく、覚がこの日のために資金も貯蓄していてくれたのだと思うと、無碍に出来ない。それを、万智子もいつかの助けに出来るように自分も始めればいいのだと言い渡されたのだから、頑張ろうとそれはそれで決意が出来た。



「昨日は少し豪勢なランチにしたけど。ちょっとリーズナブルなのに、美味しいランチもどう?」

「異議無し!」



 だいたい小腹が空いてきた頃合いだったので、もちろんと頷く。


 昨日のようなレアカツも美味しかったが、覚のピックアップしたものは価格が控えめでも美味しいことはほぼ間違いなし。


 富山県の回転寿司や焼き肉のように、普段あんなにも美味しいものを食べ慣れているのなら……レビューも色々確認しながら、万智子にも食べさせたいものを選んでくれているのかもしれない。


 今度はどんな美味しいものを食べさせてもらえるか、期待で胸がわくわくしてしまう。


 それらしい店に到着すると、ここも景観維持のためなのか外装は木造建築だった。



「いらっしゃいませ」



 中も外装と似た感じで厳かな雰囲気。だけど、店員は元気に接客していて、席はほとんど埋まっていた。並ぶ手前の、ギリギリセーフだったかもしれない。



「大人二人です」

「はい。今ちょうど、座敷席が空きましたので少しお待ちください」

「「はい」」



 座敷席なんて、和食のそれかとうきうきしてしまうではないか。数分待つと、別の店員に案内されたがテーブルが高価過ぎないかと思うくらい立派で驚いた。こんな調度品を使っているのに、本当に昨日のランチよりもリーズナブルな価格を提供しているのだろうかと、心配になってきた。


 だけど、出されたメニューを見てから、そんなことはないと安心し出来たのだ。



「へぇ? とろろのお店??」



 観光地の値段設定にしては、街中のランチレベルのものばかりなのに、ボリューミーな内容ばかり。


 メインの食材は自然薯ではないが、とろろ飯を推しているだけあって味に自信があるのが窺えた。



「あと、季節の天ぷらも美味しいって店らしくてね?」

「それは、期待大」

「俺の希望もあったけど、是非マチちゃんにも美味いとろろ飯食べてほしかったんだよ」

「ねばねば嫌いじゃないけど。何気に初かも」

「おや意外? じゃ、ここはレビューも高評価だし。せっかくだから、松御前ふたつ頼もうか?」

「うん」



 一番上のランチでも2500円しない値段だったので、ちょっとお高めのランチくらいだ。昨日のレアカツの方がもう少しかかったから、バグっているかもしれないのは無視ししておく。


 談笑しながら待っていると、大きなお盆に盛り付けられた料理を見て感動してしまいそうになる。写真と違わないくらいに、本当にボリュームが凄そうな食事が運ばれてきたからだ。



「とろろ飯のご飯は、一杯までなら無料でおかわり出来ます。ご入り用でしたら、そこのボタンを押してお呼びください」



 と、これは逆にリーズナブルではないかと納得してしまうくらいの価格設定。


 万智子はおかわりこそしなかったが、覚ががっつくくらいに食べ進めていくのを見ていると……この人と結婚して一年、なんてことのない日以上のことも楽しく過ごせているのが『良かった』と思ったのだ。


 最初はノリも含め、救済措置だと思い込んでいたのに。時間が経過すれば、人の性格も変わるというもの。相手の心を労わってくれる人と一緒になれたことが、結婚のゴールとしては最高なんじゃないかと。


 帰ったら、仕上げにかかっていた合同誌の原稿を少しいじろうと思うくらい……今回の旅行は、本当に充実した『新婚旅行』だったと胸を張って言えるほど、満足できた。

次回はまた明日〜

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