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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第37話 常備菜シリーズその壱(豆腐の味噌漬け)

 時短レシピと言うよりも、少し手間のかかった料理を覚は作ったりもしている。


 塩麹もだが、それを使ってサラダチキンも。


 簡単につまめるものから、飲みのアテに出来る常備菜まで諸々作ったりしている。漬物もそう。


 だけど、万智子といっしょに生活するようになっても欠かしていない常備菜がひとつある。


 それは、少ない材料で作れるもので……。



「あ、これって……」



 昼ご飯を食べようと、まずは冷蔵庫を確認したのだが。『とある物』を見つけると、万智子は『やった!』と思わずにいられない。


 細長い耐熱用のタッパーの中にあるのは、キッチンペーパーに包んである何か。その上には、重石代わりの器とマグカップ。これの準備がされているということは、『あれ』を作っている時だと最近わかるようになってきた。


 朝ご飯のときにはなかったから、出勤前に準備していたのだろう。



「二日前にだいぶ減っちゃってたもんねぇ? 飲みのつまみにしちゃってたし」



 これが出来るのは、今晩ではない。覚が帰宅して、『調味料』を塗りたくってラップをしてさらに寝かせること……最低でも三日。


 もっと寝かせると美味しいのだが、待てるかどうかはそのときの気分次第。


 万智子はそれなら……と、三日後に、アシの仕事と合同誌の原稿を頑張りまくって『飲みの日』を決めてはどうかと考えることにした。


 おやつではなく、頑張ったときのご褒美の晩酌に『それ』はとても貢献してくれるのだ。最初食べたときは疑いまくったが、覚にある食べ方を教えてもらったことで気に入った常備菜となった。


 そう、それは『豆腐の味噌漬け』というもの。



『作り方は、しっかり水抜きした豆腐にみりんと味噌を混ぜたタレを塗る。あとはラップでくるんでタッパーに入れるだけ。冷蔵庫で三日以上寝かせる美味いんだよ』



 材料はシンプル。時短というよりも、常備菜としてローテーションで作ればいつでもあるものとなる。だけど、時短レシピの多い覚には珍しく手の込んだ料理のひとつだ。そんなにも漬け置き時間をかけるには訳がある。味噌ダレの浸透が水抜きした豆腐の内側までゆっくり進むため、ある食感になるまで時間がかかるからだ。



「よーし!! 出来た!!」



 三日後に、合同誌の方のネームがほぼ完成と言っていいくらいに仕上がったので……これを覚に確認してもらえば、今日ご褒美晩酌にしてもいいと言えよう。珍しく、覚の帰宅前に出来たのでほかの常備菜を確認してから夕飯の準備を珍しくしてみた。


 結婚して半年以上経つので、そろそろはと最低味噌汁を作るくらいは出来るのだが。豆腐のアレがあるので今日は野菜の中華スープにしてみた。カット野菜があったので、出汁を入れたスープに煮込んで溶き卵をふわっとさせただけのものだが。



「いやいや充分。そんなけ楽しみにしててくれたのなら、作り甲斐あるよ」



 晩酌を楽しむため、軽めの食事が中心になったが覚は上出来だと褒めてくれた。


 メインの味噌漬けは小鉢に盛り付けられている。豆腐なので当然やわらかいが、菜箸でゆっくり切って持ち上げれば通常のように崩れたりはしない。


 何故なら、ここまでしっかりと漬け込んだことで状態変化が起きているからだ。



「だって、これお酒にも合うけど。ご飯にもすっごく合うもん!!」

「わかる。俺もチーズのしか最初知らなかったけど……豆腐で知ったら、安価だし作りやすいし」

「クリームチーズの味噌漬けも美味しいよ? けど、あれ結構もったりしてるし、つまみだとクラッカーの方が合うもんね?」

「ま、とりあえず」

「「いただきます」」



 適度な弾力を残した、味噌漬けの断面を見ると。発酵したことで少し薄茶になっている味噌の色と同じ色合いになっていた。


 これを、ほんのひと口食べれば。さっき言ったように、豆腐なのにクリームチーズのようななめらかなくちどけが舌の上に広がる。しっかり水抜きしたことと、漬け置きしたコラボのおかげでこの食感が生まれるらしい。


 塩分濃いめなので、ほんのちょっとずつ食べるのがおすすめ。これにはビールより、少しお高い日本酒がよく合う。


 ご飯にもオンして、ねっとりした食感を熱々のご飯とコラボするのもよし。


 さらに、調味料代わりになるのでサラダもだが、サラダチキンのプレーンとも相性抜群。


 一度知ったら、定期的に仕込んでおくべきだと豪語出来る常備菜なのだ。覚はひとり暮らしの時に知って、ハマってからほぼずっと仕込んでいるそうだ。



「あ~……これ、やっば。お酒するする飲めちゃう~~」

「適度にしなよ? 風呂はやめてシャワーにしなさい」

「だね。今日までネーム頑張ったから、ピッチ早いし?」

「ご褒美晩酌だから、しゃーなし。あとでネーム見せてね?」

「うん~」



 案の定、二日酔いまでは至らなかったが。ベッドにインしたら爆睡する結果になって、覚の見送りが出来ないまで寝てしまったのだった。


 しかも、飲み過ぎて味噌漬けの残りがかなり減ってしまったのがショックで……RINEで覚にタレとかの作り方をしっかり教わってから自分で作ってみることにした。


 晩酌はしばらくいいが、ご飯のお供にもしていたので残った量だとすぐに無くなってしまうだろうということで。


 そこからは、万智子のルーティンワークに味噌漬けの仕事がひとつ加わったのだった。


次回はまた明日〜

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