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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第36話 豪快鮭の切り身でちゃんちゃん焼き

 覚と合わせた休日。


 車を使って、少し遠出となったのだ。


 原稿も大事だが、休日を使ってのめり込むと体にも良くない。なので、適度にリフレッシュするのに気分転換をしようということになったのだ。


 あと、夕飯に必要な食材をゲットするためにも。



「魚市場なんて、初めてかも~」

「俺は関東のは初めてかなー?」

「あ~、富山は海あるもんね?」

「マチちゃんは? 愛知なのに」

「山沿い出身だから、遠いもん」

「あーね」



 築地ではなく、もう少し地方まで遠征に出てから入場できる魚市場。


 肌寒くなってくる季節が近づいているのに、朝から活気に満ちあふれていて見るだけでも楽しそうな雰囲気だ。しかし、ここで目当ての食材を確保と昼ご飯を堪能するために来た。万智子は少しぶりの外食にもうきうきしていたので非常に楽しみだったのだ。



「買った刺身をオリジナルの海鮮丼にしていい、ってお店!」

「それは少しあとだね? 先に目当てのモノがないか探して取り置きしてもらわないと」

「そうだった」



 その目当ての食材は、ただひとつ。



「あった! おっきなシャケ!!」



 三枚おろしされた鮭の切り身。それが今日目的としてわざわざこんな遠方まで出向いてきたのだ。別に関東なら築地でもいいのだが、近場過ぎて少しもったいないと思ったのは遠出が少し好きになった万智子の意見もあったからで。



「うん。これくらいあるなら、作れるね」



 それなりにいい値段かと思えば、スーパーで買う柵より倍程度の値段。鮮度落ち前提なのと、売れなければ廃棄ロスか関係者で安く購入されるかもしれないという推測。


 それもあって、この切り身があるのだから。もちろん覚は購入してから取り置きを頼んだ。このあと、万智子が行きたいと言った海鮮丼のために刺身をいろいろ購入するために。



「では、午後3時くらいまでなら大丈夫ですんで」

「ありがとうございます」



 昼ご飯用に買った刺身で作るサービスは市場によるので、どこに行ってもあるわけではない。専用の建物で席取りをしておいて、そのあとに下の市場でパック売りにしている刺身を購入するのだ。



「シャケのシーズンだから、いくらとか筋子があるんだね!」

「醤油漬け美味いし、新鮮だからそれぞれ買うか」



 多少値は張るが、ちょうど覚の印税も入ってきたため家計には少しゆとりがある。それもあって、巨大な鮭の切り身も買えたのだから今晩は軽いお祝いパーティーも兼ねていたのだ。


 刺身を思い思いに購入したあと、建物の中でご飯や薬味なども購入し……丼へ好きに盛り付けてから堪能した。



「美味しかった~~」

「まだ満足しちゃだめだよ? 今日のメインは帰ってから」

「そうだった」



 巨大鮭の切り身で作る時短料理。というか、豪快料理は。



「出かける前に、野菜の下ごしらえはふたりで頑張ったから焼くだけだね」



 切り身

 キャベツ

 長ネギ

 にんじん

 たまねぎ

 じゃがいも

 味噌ダレ(砂糖・酒・みりん入り)



 などの具材で、ホットプレート料理の『ちゃんちゃん焼き』を作るためにわざわざ魚市場に行ったのだ。


 冷凍のなら通販で取り寄せられるが、それでも夫婦のおでかけも兼ねてたまにはそんな贅沢をしてはいいじゃないかと覚が提案してくれたのである。万智子も賛成し、下ごしらえはキッチンハサミで切れる野菜準備を手伝ったのだ。



「まず、どうするの?」

「この切り身に小骨がないか確認して……特に見当たらないなら、温めて置いたホットプレートに身の方から焼く。油はサラダオイルでいいかな」

「豪快ですな……」

「北海道の郷土料理らしいからね。向こうじゃ鉄板焼きで多いみたい」

「おお」



 表面に軽く焼き色がついたら、コテやフライ返し二刀流でひっくり返して……皮面をじっくりと焼くらしい。そこまで出来たら、下ごしらえの野菜を入れて少しお湯を投入したら蓋をして蒸し焼きにする。



「人によるけど、時短で野菜をレンチンとかで火通しておけばタレ入れて焼けるんだよね? ただ、そうするとシャキシャキ感が減るから今日は先に準備しておいたってわけ」

「ジャガイモだけはレンチンしたけど、か」

「軽くね? 茹でたりすると、焼いている途中で崩れたりもするから」

「奥深い……」



 そして、蓋を開けて火の通り具合を菜箸などで確認したら、タレを入れて再び蓋をする。


 その間に、米や飲み物の準備を。昼間は飲めなかったから、今日はビールで乾杯予定なのだ。



「「いただきます」」



 蓋を開けたら、タレの中に君臨していると言っていい鮭の切り身が湯気をまとっての登場。火の通り具合が少しきになるが、覚が菜箸で厚い部分を開けばちゃんとピンク色になっていたため、大丈夫そうだ。


 鮭、野菜をタレに絡め。皿に盛り付ければ、あとは食べるのみ。


 ほかほかで熱いが、甘辛い味噌ダレの味わいがこってりしていて……とても、美味しかった。



「あ、やべ。バター忘れてた」

「なんですと?」



 このままでも美味しいのに、さらにギルティな食材を使うと言うのか。


 バターのカットをホットプレートのあちこちに置いた覚は、『どうぞ』と言ってくれたので……せっかくだから、じゃがいもといっしょの部分を口に運んでみれば!



「ふふふ。味噌バターはやばいっしょ?」

「やばい……ギルティ!! 米が欲しくなる!!」

「〆、うどんだけど」

「さらに炭水化物祭り!?」

「今日は飲むぞ~~」

「うぉおおおお!!」



 かなり大きな鮭の切り身と野菜の量だったが。覚の印税祝いと言うこともあり、無事ふたりのお腹に収まった。具材が無くなったあとの〆の焼うどんも、出汁とタレの味がマッチし過ぎていくらでも食べられる至高の味わいと化していた。


 翌日の体重測定は出来ないくらいに食べ尽くしたが、喩えようのない多幸感に包まれていたのでしばらくは片付けも出来ないくらいにふたりはぼーっとのんびりしていたのだった。

次回はまた明日〜

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