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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第34話 時短も時短な袋麺で語り合う

 ふと、万智子は思った。


 それはとある日に感じたのだ。


 覚の時短レシピで作るご飯は当然の如く美味しいのだが。


 ときどき、ジャンキーで手軽に食べれる夕飯もあっていいのではないかと。


 なので、原稿もそこそこに冷蔵庫以外の食糧ストックを漁ってみた。まだ米を炊く前だったから、色々あるなと出してみると……中にひとつ、変わったものがあったのだ。



「ブラック、ラーメン??」



 それはたしか、夏の帰省から自宅に帰る前に。道の駅で購入したお土産だ。インスタント食品のひとつで、内容は乾麺。


 少し思い返してみたが、たしか覚が『富山ブラック、美味いんだよね~』と言いながらカゴに入れていた気がする。インスタントなので、当然賞味期間はまだだいぶ先だが……どんな味か気になってみた。ブラックというからには、醤油ラーメンなのかと。


 なので、覚にRINEでメッセージを送るとちょうど既読になったため、このブラックラーメンを夕飯にしていいか聞いてみたら『いいよ』とすぐに返事がきた。


 なので、トッピングはどうしようかとRINEでやり取りしながら冷蔵庫などを確認し、買い出しが必要なものは気分転換も兼ねて万智子が自転車で近場のスーパーまで出向くことに。


 そして、覚が帰宅してから調理に取り掛かる。



「良く見つけたね、ブラックラーメン」

「いや~、単純にインスタント食べたくなっただけで」

「昼飯は?」

「それはレトルトカレーで」

「ああ、それなら今度金沢カレーの店連れて行きたいな?」

「え、どんなカレー?」

「中辛なんだけど、フォークで食べれるタイプ」

「?? 想像つかない……」

「富山にも店舗あるんだけど、どろっとしていて千切りキャベツも添えてあるからガツガツいけるんだよね~。トッピングは基本とんかつかチキンカツ」

「へぇ~? この間行ったフェスタにはなかったね?」

「関東にも店舗あるって、この前SNSにあったから行ってみる?」

「行きたい行きたい」



 たまの外食は楽しい。つい先日のフェスタは食い倒れツアー並みに食べたが、普通くらいの外食がちょうどいいのだ。子どもの頃は甘口のカレーしか食べれなかったが、今では旨辛くらいの中辛が好きになっている。


 とは言え、今はラーメンなのできちんと作り方を見ることにした。ほとんど普通の袋麺と同じ作り方で、トッピングは……。



 煮卵(総菜コーナーにあったの)

 メンマ

 刻み葱

 もやし(これから茹でる)

 チャーシュー(ちょっと値段高めの脂身多いの)



 これらで、インスタントだけどそれなりに美味しいブラックラーメンを作っていくのだという。



「ブラックラーメンは、文字通り汁が真っ黒のラーメンなんだ」

「地元グルメ?」

「だね。店舗はいくつかあるし、それぞれ個性あるけど」

「けど?」

「元祖のとこは醤油辛いからあんま好きくなかったんだ。このインスタント出しているとこは、俺にとっては別格に思うくらい」

「どんな?」

「汁が飲めるくらいマイルド」

「ほぉ!」



 話しながらも調理していく覚の手際の良さのおかげで、ラーメンはあっという間に完成したが……滅茶苦茶、と言っていいくらいスープが黒かった。まっくろくろすけなくらいに黒い。


 文字通り、ブラックの名が似合うほどだ。



「「いただきます」」



 ほかにおかずは用意しなかったが、足りなければ冷凍食品がまだあるので大丈夫。


 麺は普通の中華麺なので、啜るとどんな味なのか……と、思っていたが。覚の言う通り、醤油の味は濃いが意外にマイルドな辛さだったので……これは、米が欲しくなるギルティな味わいだった。



「米欲しい……」

「ラーメンライス、いいよね? 俺は地元にいた時はチャーハンにしてたけど」

「冷凍チャーハンならあるけど?」

「……足りなくなるだろうし、作ろうか?」

「だね」



 すぐに作ってくれた覚のおかげで、あまり麺が伸びないうちに食べれたが……組み合わせが最高過ぎた。味付きの米でも十分に満足のできる組み合わせだったからだ。



「この店、ほかの店舗には邪道とか言われてたけど。関東のうどんくらい濃い醤油の味は苦手なんだよな? 美味い方が、俺は好き」

「だね。元祖も少し気になるけど、私もこっちがいいや」



 トッピングのもやしがスープに絡むと、適度な塩気と辛みがマッチしていて食べやすい。煮卵やチャーシューは買ったものでも、本店だと自家製らしいのでさらに興味が湧いた。



「また行く機会出来たら、その店連れてってあげるよ。ブラック以外にも白湯系のラーメンがあるんだ。女性はそっち頼む人も多いくらい」

「ブラックラーメンのお店なのに?」

「単体で出してる店じゃないからね。だから、サラリーマンとかでランチタイムは激込み。休日は家族連れで並んでいるし」

「そうなんだ。……さとくんの地元のこと、こんなに聞いたの初めてかも?」

「まあ、飯のことくらいだけど。たしかに、あんま言ってなかったね?」

「私もあんまり言えてないけど……味噌煮込みうどんが苦手なことくらいしか?」

「そんくらい。たまには、肩の力抜けるくらい語り合う?」

「いいね? じゃ、ラーメンだけど。飲む? サワーくらいなら缶あったし」

「いいねぇ?」



 交際期間が短かったのと、オフ会も数回程度だったふたりの関係性はもともと浅かった。


 夫婦になってからは、そろそろ一年近く経つと言うのに……すれ違ってはいないものの、お互いの過去を深いところまでは明かしていないと気づけば。


 久しぶりに、ゆったりまったりと晩酌しながらグルメが話題のテーマになっても……翌日が休日と言うこともあって、かなり遅くまで語り合う週末になったのだった。

次回はまた明日〜

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