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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第33話 B級グルメフェスタへ出陣

「いざ!」

「出陣!!」



 万智子と覚。それぞれ調べ合った結果。


 神奈川県の海沿いで開催される『B級グルメのフェスタ』までドライブ感覚で向かうことになった。


 ちょうど休日と翌日に覚が有給を取れることになったため、帰りは万が一疲れたとしてもホテルで飛び入り宿泊したって問題ない。



「マチちゃん、目当ては何?」



 ドライブしながらの作戦会議だ。お勘定はそれぞれ予算を出し合うことになっているので、限られた金額での食い倒れ企画。


 イベントなので、それなりに高い屋台メニューを堪能するので懐とお腹を考えて食べないと行列のできるトイレコーナーで大変なことになるからだ。



「やっぱり、高価格だけど一番気になってた『和牛チーズバーガー』!!」

「あーね。俺も気になってた。パティの枚数で値段爆上がりしてたやつだっけ?」

「……ダブル食べていーい?」

「トリプルでなくて大丈夫?」

「いや……脂すごいらしいから、せめて」

「りょーかい。俺もダブルにしよっかな~」



 などと、他に食べたいものを交互に話し合いながら走ること一時間強。


 会場の駐車場に到着すれば、はやく出てきた甲斐もあってぎりぎり止めることが出来た。



「わーぉ。セーフ?」

「開場時間に合わせてきたせいかな? それでもこの車の量……」

「どこも美味しそうだもんね?」

「さーて、頑張って並びますか~~」



 この日のために、アシの仕事も合同誌の原稿もほどほどに終わらせてきた。


 夫婦そろってのプチ旅行を全力で楽しむために、今日は食べて食べて食べまくる。普段の食事は覚の時短メニューでも健康意識を加えたものなので、今日くらいは『チートディ』にしたっていい。


 お互いに、そう決め合って羽目を外す勢いで食べるのだ。(ただし、予算はきちんと決めて)


 手を繋いで会場入り口に向かえば……やはり、既に長蛇の列が出来上がっていた。スタッフの誘導で作られた列はそれなりに長く、朝ごはんを軽めにしてきたふたりは少し空腹気味だったが……列が動けば問題ないと頷き合ってから並ぶことに。


 実際、スタッフの号令が始まった後。


 入場していく勢いが早かったため、すいすいと前の列が会場の中に入っていった。感覚的に数分の出来事。それくらい、並んでいた人たちも空腹に勝てなかったのだろう。



「さあ、行くぞ! 和牛バーガー!」

「急がんでもいいけど。……えーっと、ブースは」



 ふたりも入場することが出来たのだが。会場内では既に調理が始まっているブースもあったので、食べ物の匂いが暴力的なくらいに充満していた。すべてを回ることは出来ないが、お腹が空いているのでまずは例のハンバーガーのところへ向かうことに。


 覚がスタッフから渡された会場の地図を見ながら、先に入っていた人混みの中を縫うようにして歩いていけば。ハンバーガーのところも列が出来始めていたため、すぐに並ぶことにした。



「うわ~!! さとくん、見てみて! ライブキッチンみたい!!」



 半透明なパーテーションだったため、中の様子が見れるのだ。しかも、この位置はイベントでいう壁サーの位置なため、結構な設備が整っていた。それくらい、入念な準備をして挑んでいるのだろう。万智子の見える位置からは、パティにするための細切れ肉をさらに細かくするための作業がよく見えていた。



「うーわ。これ暴力的いい匂いじゃん。腹減った……」

「値段いくらだろ?」

「こっからじゃ、会計のとこ見れな……あ、あった」



 背の高い覚の位置からだと、曲がり角にあるメニュー表が見たらしい。


 通常、ダブル、トリプルとシンプルにそれだけしかないのだが……具材が高級食材なため、それなりに値段はお高め。


 価格表には、



 チーズバーガー……900円

 ダブルチーズバーガー……1100円

 トリプルチーズバーガー……1300円



 とあったので、イベント価格なのかどうかわからないくらいに高級なB級グルメだった。



「予算内だけど。これだけでお腹いっぱいにはならないよね??」

「んー? バンズもそこそこでかいし、軽くは満たされるくらい?? 俺だと」



 そして、自分たちの番になる手前で、前の人たちの様子を見ていたが。包装紙にくるまれたバーガーは通常サイズでもそれなりに大きかった。


 だがしかし、万智子はそれでもダブルが食べたいと覚に言ってから注文してもらう。


 真横に見えた鉄板の上で、わずか数分で出来上がったボリューミーなダブルチーズバーガーは、ギルティの罠とも言えるくらいに魅力的な仕上がりをしていた。


 支払いを済ませ、ベンチは既に埋まっていたため……何もない壁の方で食べることにした。一旦退場して再入場も可能だが、また列に並ぶのが面倒だったから却下したのである。



「「いただきます」」



 包装紙ににじみ出るくらいの、肉汁の洪水。


 紙を開けば、熱々出来立てのチーズバーガーとご対面。大口で食べても、今日は気にしないと決めてかじりつけば。ソースがないのに、塩胡椒がきつめに利いたパティの味付けとチェダーチーズのまろやかさのおかげで、軽く焼いたバンズがうまく包み込んでくれていた。


 ボリュームは物凄いが、噛んで咀嚼するのを止められなかった。


 ひと口ひと口、頬張れる肉の質量が多過ぎて……幸せを、つい噛みしめてしまう。


 ゆっくり時間をかけて食べていたつもりだったが、覚とほぼ同じくらいに食べ終わっていた。



「「美味しかった~~」」

「リピは胸やけするだろうけど……値段相応の味だったな?」

「トリプルだとお腹いっぱいになってたかも。ちょうどよかった~~」

「次どうする? 少しぶらっとしてから決める?」

「そうだね? お土産になるものとかあるかな??」

「乾物屋とか、地方からの出展もあるらしいし……のんびり回りますか? 奥さん」

「そうだね、旦那さん」



 などと、第一目標を達成したため、それなりに満足してしまった。


 だがこのあと、スイーツパラダイスのようなブースをいくつか見つけ、土産用にもだがはち切れそうなくらいにお腹が限界を迎えるのを……ふたりとも知らないでいた。

次回はまた明日〜

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