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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第19話 お互い切羽詰まりなので、チャーハン

「……エナジーがぁあ」

「……俺も、無理ぽ」



 GW最終日。ふたり揃っての休暇日は三日目。


 万智子はイベントには出なかったが、家で同人活動を。覚はラノベ作家としての活動をそれぞれのPCで行なっていたのではあったのだが。


 食事で休息を取るはずの落合夫婦が、『できない』くらい互いの作業に熱中してしまっていた。主に、覚の方が。



「……さとくん、進捗どーぉ?」

「…………なんとか、一区切り」

「ご飯……どーする?」

「……動きたくないくらいだけど。なんか食わんといかんね」

「……なんにする?」

「……がっつり、食いたい」

「けど、材料切る余力ある?」

「……起こそう。なんとか!」



 食べずに寝たら、夜食の時間通り越して深夜飯になってしまう。ふたりとも極度に太ってはいないが、よほどのことがない限り夜食は食べないようにしているし、就寝も適度に守っている。たまに、夜の運動と称して覚が誘うことはあるが。それは覚も万智子も翌日になにも用事がない日を選んでいるからこそ、無理ない範囲を守っているだけで。


 こんなにも、互いの活動に励んでまで食事を忘れるのは今までなかった。互いにひとり暮らしだったときはあっただろうが、同居してからは初かもしれない。なのに、無理をしてまで覚がやる気を起こしてくれたのだから。万智子もなにかはしようと、息抜きにホットドリンクは作った。玄米茶の粉をお湯で割っただけのものだが。


 温めに沸かしたお湯のせいか、お互いに一気のみしてしまうくらい喉が渇いていたらしい。その潤いもあって、覚はやる気が出てきたのか冷蔵庫から材料を取り出すくらい活動的になっていた。万智子も冷凍庫を探ったが、たまに食べる冷凍食品くらいしかない。ポテトやからあげくらいしか。


 万智子が自分でも昼ご飯くらいなんとかしたいが、自炊をすべてこなすのは無理という次第なので買い出しのときにいくつか常備する食材だ。正直言うと、万智子はこれらを食べたいくらい空腹状態。それは覚もそうなのかで、万智子にそれも出してと指示を飛ばしてきた。



「食べちゃうの?」

「ほかを作る余力ないしね? 食べたら、あとで24時間スーパー行こう。それで買い足せば、マチちゃんの楽にもなるでしょ?」

「せっかく回復したのに、しんどくない?」

「いやいや、そこくらいはなんとかしないと。明日買い足すのも大変なのはお互い様でしょ?」

「ん」



 なんてことのないように言うが、結構堪えているだろうに。それでも、万智子の日頃の食生活を無理なく維持できるようにしてくれるのは……正直言って、嬉しかった。まだレパートリーも少ないので、温そうめんパスタ以外のものも、あれからそんなに増えていない。


 そして、覚がメインで作るのはチャーハンだった。卵とチャーシューたっぷりの、五目ではなくガーリック炒飯。


 残っていた材料を確認したら、それしか出来ないけどと言われたが『とんでもない』と万智子は首を横に振った。覚も万智子も希望のがっつり飯にはちょうどいいし、唐揚げとポテトがお供なら言うことない。ほかにサラダになる野菜のストックはなかったが、今日くらいベジファーストとかを守らなくてもいいはず。


 むしろ、守り過ぎて疲れてしまう方がよくない。メンタル的に自律神経が乱れて、ホルモンバランスも崩れる方がよくないのだ。毎回毎回きちんと食生活を守らなくてもいい。今日くらいはそんな日でいいんだと万智子は思うことにした。



「ネギ、にんにくをごま油で香りが出るまで炒めて」



 それは一旦、皿に取り出し。次に残っていた四個の溶き卵を、フライパンにたっぷり入れたごま油に投入。ふわふわになる手前で炊飯器に残っていた米全部も入れ、適度に炒めたら皿の香味野菜たちを入れてかなり豪快に炒めていくらしい。



「チャーシューはあとなんだ?」

「炒めすぎると固くなるし、風味が移るだけになるからね?」



 刻んでおいたチャーシューを入れてから、塩胡椒と醤油で味付け。香ばしいいい匂いが届くところで、万智子に頼んでいたレンジで温めるからあげとかはちょうど出来上がろうとしていた。グットタイミングというやつである。


 汁物はインスタントのわかめスープ。飲み物はいつもの麦茶。


 少ないように見えるが、必死こいて動いていた割には立派なメニューが出そろった。炒飯以外はインスタント食品でしかないが、たまにはいいのだと改めてふたりで認識し合う。無理は、よくないと。



「「いただきます」」



 待ちに待った食事。そう思うと、箸よりもまず覚が手掛けたチャーハンに匙が伸びていく。


 あれだけ卵を入れたのに、油が多かったせいかしっかりとぱらぱらに仕上がっている。鼻に届くにんにくの匂いが食欲を誘って堪らない。ひと口食べると、香ばしい醤油の味に塩胡椒がきちんと効いていて、これぞ至福と言わんばかりの仕上がりだ。文句のつけどころがない。



「おいっし!! 冷凍チャーハンもいいっちゃいいけど、手づくりさいっこう!!」

「お粗末様。まあ、ぎとぎと脂のあれも悪くないっちゃないけどさ? たまには、自分なりに作ってみたくなるもんだよね?」

「卵贅沢に四個って感じもいいよねぇ? チャーシューもたしかにぱさついていなくてしっとり~」

「家にある材料でもだけど。好きな素材で作れるのがチャーハンの醍醐味だしね? これには、しいたけとか嫌でしょ? 五目だと基本そうだし」

「……どんこ出汁も、ちょっと無理」

「豚まんもぎりぎりだっけ?」

「ぎりぎり」



 大昔の給食時代に比べれば、多少食べられるようになっても。あの黒くてうにょうにょした物体とは出来るだけお目にかかりたくない。デトックス効果のある食材だとしても、だ。


 実母とかにそこを結構とやかく言われたりしたものだが、断固無理と毎回拒否したものだ。自炊のできる人には申し訳ないと思っていても、食べれないものは食べれない。覚のように、無理して食べなくてもいいと言う感じの親ではなかったので……幼少期は反省と称して部屋に押し込まれたものだ。さすがに中学生以上になってからは諦めて食卓には並べないようにしてくれたが。



「まあ、好きに食べたいもの食べれるのが一番いいよ。心身ともに」

「……いつも、ありがと」

「なに。惚れた奥さんを喜ばせるためなら」

「……そーですか」



 少しずつ、気持ちが沿ってきたばかりの万智子と比べたら覚は常にオープンモードだ。細かいところにすぐ気づいてくれるし、基本優しい。根はロールキャベツ男子であっても。


 とりあえず、明日からは覚の通常業務が再開する日なので。食事を終えてから本当に車で買い出しに行くことになった。万智子も少しは自炊出来るようになりたいが、無理せずで冷凍食品は少し多めに購入したのだった。

次回はまた明日〜

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― 新着の感想 ―
うんうん、無理に食べられないのを食べなくても、ね。もしかしたらいつか食べられるようになるかも知れないし(・∀・) パラパラチャーハン…中々出来ないんだよなぁ…(´×ω×`)
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