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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第18話 ピクニック気分になれるロールサンドイッチ

 万智子はもともとアウトドア派ではなかったが、ものすごくインドア派でもないでいた。


 そのひとつが。



「推しのコラボゲーセンあるんだって!!?」



 現在表向きは主婦。副業希望で、メインは同人活動の漫画家見習い。


 その旦那の覚は、普段はリーマンで副業はラノベ作家。


 ネタ提案とも言える婚礼前提の交際から、きちんと結婚してまだ半年未満ではあるが。夫婦仲は実に良好と言える。主に、覚が時短メニューでもそれなりの食事を万智子に振る舞ってくれるおかげで。


 それ以外の事も……まあまあ、日常になりつつある。万智子も恋愛初心者から、少し以上は足を抜けたと言ってもいい。自分から、ほっぺにキスがよーやく出来るようになっても、だが。


 ともあれ、今日はふたり揃っての休日一日目。GW全部が覚の会社でも休暇期間ではないが、万智子との休暇に合わせれるのは嬉しいこと。


 ただ、出かける場所がGWらしくない場所ではあるが。



「コラボのゲーセン?」

「ぬいが……ぬいが、とうとう!! クレーンゲームに登場したってみぃたんが教えてくれた!!」

「みぃたんがね? そりゃ、マチちゃんが欲しい推しのやつか? なんだっけ?」

「Vtuber、ニンニたんのコラボぬい!! 二種類あるんだって!!」

「ああ、あの。ほわほわ系Vの女の子か?」

「ねぇねぇ、行こうよ!!」

「ちょい待ち。ゲーセンあるショッピングモールで昼飯もいいけど。もう仕込みしちゃってたんだよな?」

「なにを?」



 キッチンでテキパキと動いているなと思って見ていると、たしかになにか料理をしているところだった。だが、薄く切ったパンを麺棒でロールしているようにしか見えないが。



「あったかいから、外でピクニックとか考えていたんだけど。まあ、あそこのグリーンスペースで食べるのも乙でしょ?」

「なになに? サンドイッチ??」

「下ごしらえは昨日しておいたから、ロールサンドイッチをね?」

「巻いたサンドイッチ?」

「まあ、見てて」



 冷蔵庫から、そのまま食べても美味しそうな鶏もも肉のバーベキューチキン。それに、引き出しからは海苔。ふたつを適当にカットし、さっき伸ばしていたパンの上に乗せてくるんとまく。さらに、ラップをして両端を閉じる。


 それを斜めにカットしていけば。ぷりっぷりの鶏肉にマスタードソースが見え隠れする逸品に。


 しかもこれだけではなく、最近覚がまた手作りにハマっているサラダチキンとレタスにたらこマヨネーズ。デザートにはチョコバナナ風。


 おかずと主食、両方を兼ね備えたスペシャルサンドイッチ弁当の出来上がりだ。今すぐ食べたい気持ちになるが、これから出陣してゲーセンと向き合わなくてはいけない。これは、そのためのご褒美弁当なのだと……気持ちを抑え込んで、片付けもいいからと言われたので気合いを入れてメイクをした。



「いざ! 出陣!!」

「はいはい。出発~」



 車で15分強離れたところにあるショッピングモール。もともとあった古いショッピングモールをリノベーション工事してさらにパワーアップした施設だが。テナントは専門店だけでなく、レジャー施設もそこそこあるため映画以外にカラオケやボウリングも楽しめる、子どもも大人もよく来る日常スポットとなっていた。


 万智子はこの町に引っ越す前から知ってはいたが、実際に来るのは覚と結婚してから。映画を見に行ったり、もちろん互いの趣味であるカラオケも定期的に満喫している。今のところ、採点だけだと覚の方が上。95点を大放出以上に100点はなかなかいかないところだ。万智子はその下を追いかける程度。


 ゲーセンのある階は屋上駐車場のすぐ下なので、当然駐車も屋上。


 先にゲーセンを楽しむか、休憩スペースにあるグリーンのところで昼飯を食べるかで万智子は非常に悩んだが。戦に挑むにもまずは『腹ごしらえ』と、覚からの提案もあったので先に食事をすることにした。


 グリーンスペースはベンチだけでなく、人工芝があるためレジャーシートさえ持ってこれば簡易的なピクニック気分にもなれる。今日はシートがないので、端っこのベンチで食べることに。



「おお! 弁当箱で見るとさらに圧巻!!」

「どうぞ、お好きなものから召し上がれ」

「「いただきます」」



 やはり、一番気になっていたマスタードソースの方から。パンは市販のものを使っているにしても、もも肉と少し甘いマスタードソースとの相性が合わないわけがない逸品になっている。咀嚼すると、海苔の風味も相まって甘さと辛みがほどよく中和されていく。



「おいひぃ~」

「米もいいけど、たまにはパンでもいいっしょ?」

「うんうん。ハンバーガーとかのテリヤキソースとかも好き~」

「あーね。カラオケ終わりにバーガーショップ行くと、たいてい頼んでるし」

「他が嫌いなわけじゃないけど。なんか、ね?」



 チーズは漏れなく好きな食材ではあるが、歌い終わったあとに甘じょっぱいものを……と、バーガーショップに行くときにはチーズよりもテリヤキを頼むことが多いのだ。半分くらい、ルーティンの癖のようなものかもしれないが。



「まあ、そんな好みの傾向見ていたから。今日の弁当もそんな感じにしたんだけどね。……塩麹はもう少し入れてもよかったな」

「そういうさとくんは、結構がっつり目のバーガーいくよね?」

「カロリー消費しまくると、腹減るし。カラオケの合間に食うと腹式呼吸使いづらいんだよ」

「……プロ?」

「いやいや、ただのラノベ作家。ほかのオフ会でカラオケ行くと皆そんなもん」

「……そーなんだ」



 千郷以外とオフ会はまだしたことがないので、どんな人たちの集まりなのか気になるが。覚が言うには、テンションだけなら自分たちとそんな変わりがないそう。予定が合えば、オフ会もいいんじゃないかとの話題にもなったので、それはまたにして。


 塩麹ハムも、デザートのチョコバナナも至福過ぎる味わいだと堪能し終えたら。



「……右ひっかければ?」

「くっ! そこ……そこいけ!!」



 当初の目的であったゲーセンで預金の許す限り、万智子メインでクレーンゲームに挑んだ結果。


 覚のアドバイスと交代のおかげもあって、無事に景品二点の獲得が出来た。割とすぐに終わったので、せっかくならとカラオケではなくウィンドウショッピングに。万智子の普段着とおでかけ着を選んで買うことになった。


 出不精になりがちでも、おしゃれをしない理由にはならないと覚が言ってくれたのに……つい、照れながらも頷いたわけで。恋愛モード、の切り替えにはまだ慣れないが夫婦らしい会話じゃないかと恥ずかしくなっていた。

次回はまた明日〜

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