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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第13話 共通のフォロワーに報告

「あらあらまあまあ?」

「……はい。ヤりました」

「言い方! まあ、わかるけど!?」

「だってさぁ!?」



 ファミレスで仕切りがある店とは言え、小声でも万智子はあまり言いたくなかった。覚と『初夜完了』したと大っぴらに言うことを。


 相手が、いくら目の前の彼女であっても。



「山垣の兄さんと、やっとか!? 三ヶ月以上かけてか!? あの兄さんのことだから、すぐにぺろんちょかと思ってたのに!」

「……みぃたん。言い方」

「これでも公衆の目気にしてるから抑えているわよ?」



 みぃたんこと、相原千郷(ちさと)


 垢名、ミルキーウェブなので、呼び名はみぃたん。ややこしいが、彼女こそが恩人の相互フォロワー。五年前に、万智子を覚に紹介してくれたSNS上での古い友人である。


 実際は一個上の先輩でもあるが、プライベートでもSNS上でも気にしてないとかでお互いタメ語を使う。オフ会については、覚よりも多いのは当然だがふたりで会ったのは、入籍報告をした前後の一、二回だけである。


 千郷は初対面で覚のことはロールキャベツ男子だと見抜いていたらしく、ふたりの関係がなかなか進まないのはダイレクトメッセージなどで間に挟まれる形で報告を受けていた。つまり、ほとんど覚の愚痴も筒抜けだったわけで。



「守っていたわけじゃないけど。高校も大学も彼氏たちとは自然消滅だったしさ?」

「サバサバしてて付き合いやすいけど。恋愛対象の一線超えると、途端に初心以下になるからか? そりゃ、男側も手ぇ出しにくい。兄さんはよう頑張ったわ」

「……だろうね?」

「今のもネタにする気?」

「ダメ?」

「自分で言ってて面白いけど、まあ、友人がこうだから事実だものね?」

「うぅ……」



 二回目、というのもまだで。初夜で万智子が思った以上に体力消耗と筋肉痛が酷かったため……さすがのロールキャベツ男子の覚も自制しようと控えてくれているらしい。代わりに、新婚らしい『いってきますのキス』とやらは、出勤時にほぼ毎回することになっているが。


 何でか聞いたら、思いっきり濃いのをされたあとに自制のことを打ち明けられたので納得はした。



「みぃたんの旦那さんとかは、そういうのって……聞く人?」

「うーん? あたしの体調次第もあるけど、レスは少ないわね? 一応聞いてくれる」



 現在は妊娠期間中なので、もちろんご法度。まだ産休は取っていないが、千郷はきちんとOLを続けている努力家のオタクなのだ。覚よりさらに前の今から8年前にSNS上でのランダム相互フォロワーとして知り合い、趣味のゲームとか作品の好みが共通だったことから意気投合したのである。


 ちなみに、このあと互いに激戦をくぐって勝ち抜いた2.5次元の舞台観劇に行く予定だ。



「……じゃあ。無理にさとくんに聞かない方がいい感じ?」

「気ぃつかってもらっているなら、ね? 仕返し攻撃多いなら甘えときなさい。その時はいつだってくるから」

「……だね」



 プロットに起こすくらいの、濃密な夜を経験した万智子はもう、無知のままだった同人の妄想だけの世界には戻れない。リアルを経験したからこそ、リアリティを意識したネームも描けるようになったのだ。今日は千郷にもデータをみてもらっているが、『あっま』とべろを出すくらいの返答があったくらい。



「あの顔して、ロールキャベツ男子。そして、濃密甘々シチュ……自分の作品でも活かそうとしてるかもね? 嫁が同人活動でそうしているから」

「え? 男性作家でTL書く人いるのかな?」

「いるわよ? 名義変えている人もいれば、そのままとか」

「……少女漫画を男性作家が書いているみたいに??」

「そうそう。別に珍しくないじゃない? かの巨匠作家だって、少女漫画ぽいのいくつか描いてたじゃん?」

「そうだった……」



 覚の文章にイラストがもし誰かつくのであれば。万智子が描くのだなんて、勝手には決めれないが……少しでも、プロに近づきたい意識がこのとき芽生えたのかもしれない。だからか、観劇が終わったあとすぐに帰宅して……電子書籍のタブレットを起動してから、覚のこれまでの書籍を探して読み直すくらい。


 そうして、その日もRINEのメッセージを忘れるくらいに、没頭し過ぎて玄関での土下座をするのだった。

次回はまた明日〜

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