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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第100話 配信日の反応に、お祝いの高級牛丼をば

 とうとう、コミカライズの配信日当日。


 万智子はその日は夜更かししてまで、カウントダウンが来るのを時計と睨めっこしながらそわそわしていた。


 配信は0時きっかり。


 事前にできるだけ告知はしたものの、本当に読まれるかどうかの心配が勝ってなかなか寝付けなかったのだ。


 覚も夜更かししたいようだったが、通常の仕事が明日も普通にあるのでそこは普通に寝てもらった。なので、万智子は今自室でひとりスマホとにらめっこしていたのだ。



「……あ、0時」



 先行配信のスタート時刻だ。


 もう一度、SNSで念のため告知をしてもすぐに配信が反映されるわけではない。


 最初の10分くらいは自分でも読むために、無料のチャプターを確認したら……本当に、自分の手掛けた漫画が世間に読まれる仕組みが出来上がっていることへ感動を覚えた。


 一話が全部無料ではないが、最近のアプリの仕組みでは広告を見てアイテムやチケットをゲットしたりして、先読みする方法もある。それには、課金をしてもう少し先読みする方法もあるが。


 万智子の貯蓄を使っても、読める範囲の金額ではあるがやめておくことにした。チャプターが増えれば、読める範囲も増えてくるし。単行本配信になれば、それがすべて読める。


 ユーザーたちの反応を見るのに、評価を気にし過ぎてもいけない。それは佐伯から教わったことだ。


 のだが。



「……え?? 一時間で、一万??」



 評価数のあまりの高さに、何度も入り直して確認したが数値はさらに上がる一方。


 これについては、一度冷静になろうと就寝することにした。朝になれば、また反応も違うだろうと見直す意味も込めて……覚の出勤時間になる前に起きたのだけれど。



「マチちゃん!? めっちゃバズってない!!?」



 万智子が起きるタイミングに、覚が自分のスマホを持って画面を見せてくれたので……ああ、昨夜のユーザー反応は幻ではなかったのだな、と頷くしか出来なかった。



「……一時で一万は越えてたけど」

「それがさ?? 俺が今さっき見たら、五万は越えてた!!」

「は?」

「こりゃ、続刊の可能性高いよ!! 来週からの更新にも期待寄せられているかも」

「……まだ、二話くらいなのに??」

「それだけ、マチちゃんの画力にも惹かれたユーザーが居たってことだよ。今日はお祝いだ!!」

「いやいやいや。ちょっと落ち着こう!!」

「いいじゃん。原作は俺だけど、奥さんの絵が認められた気分なんだから~」



 まだ配信初日なのに、このはしゃぎっぷりは万智子でも見たことがない。打診のときでもここまで緩み切った笑顔を見ていないのに、配信の反応でこんなにも喜んでくれるのか。


 たしかに、お互いの仕事の結果ではあるが。まだ出勤時間でもないから佐伯とも連絡が取れない。続刊の可能性もたしかになくはないが、契約した分の話数をまだ描き切っていないのでどうなるかわからないのに。


 とりあえず、口外しないことを約束した覚を見送り、万智子は家事を少ししてから仕事にとりかかることにした。今は七話目なので、終盤に近い展開にしなくてはいけない。覚の言っていた続刊の可能性があるのなら、流れをここから変えなくてはいけないのだが。


 昼を過ぎても、佐伯から特に連絡がないのでもう一度アプリを見てみたところ。


 反応の桁数を見間違えたのかと思うくらい、バズっていた。



「は?? 10万??」



 ひとつのアプリで、その桁数。


 ほかにも、万智子自身が電子書籍を読む関係で登録しているサイトでも確認したが、日間の順位が既に出ていた。トップではないが、一桁のところに居たりと。


 覚も休憩時間だろうから、そこは確認しているかもしれないが。


 無名の新人とのタッグ作品にしても、バズり過ぎではないかと頭の中がこんがらがってしまいそうになった。



(いやいやいや?? これ……紙の書籍はわからないけど、続刊の可能性はたしかにあるかも??)



 一日目でこの反応。


 毎週の更新の関係で、一定の波にはなるだろうが今現在でこれだとすぐに編集部内で話し合いが行われているかもしれない。


 佐伯にも聞いてみたいところだが、打ち合わせは今日ではないからやめておこうと決めた。



「マチちゃん、ただいま~!!」



 そして、仕事から帰ってきた覚の機嫌の良さは、最高潮だと言ってよかった。


 今日もまた、米を多めに炊いてほしいとRINEには書いてあったから、丼ものか米が進むメインを作ってくれるのだろうと踏んでいたら。


 キッチンに行くと、普段では見かけない肉のパックがずらりと並んでいた。半額とシールは貼ってあっても……高級和牛の霜降り肉ばかり。



「……奮発、したの?」

「奥さんのデビュー祝いに、今日はね?」

「……焼き肉?」

「もいいけど。時々作る牛丼にしてもいい? かっ込みたくない? 和牛で作る牛丼」

「かっ込みたいです!!」



 嬉しいことには違いない。


 夫婦共同制作してまで、頑張った作品のご褒美には相応しい品だ。


 すき焼きも焼き肉もいいものだが、普段の食事内容を少しグレードアップさせるのも万智子は好きだった。


 それに、いつものレンチンの温泉卵を載せただけで、さらにグレードアップさが増した気分になれたのは。半額と言えど、美味しい美味しい和牛のお陰だろう。


 そして翌日には、佐伯から契約の更新を早めにしたいので社内で打ち合わせ中だとRINEの方で連絡があった。

次回はまた明日〜

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