表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回避とサイコとツトム改~ゾムビー~  作者: 時田総司(いぶさん)
第四章 破壊と達成

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/58

第三節 手と手

「タタタタタタタタ!!」




 主人公達を見るや否や、ゾムビーは発砲してきた。銃弾は主人公達の足元から上に向かって着弾していった。


「パリィン!」


 主人公が立っている直ぐ後ろの、ガラス張りが着弾して一部が割れた。



「タタタ!」


「パチュン!!」



「きゃっ!!」


 一発の銃弾がガラス張りを打ち抜き、尾坦子の肩付近を貫く。


 ガラスに付けたフックが支えていた、修学旅行で買ったお土産や、クリスマスプレゼントで買ったブレスレットも、衝撃で落ちてしまった。


「くそぉ! リジェクト!!」




「ドガァアア!」




 主人公の放った衝撃波は銃器に命中、ゾムビーの腕ごと粉砕し吹き飛ばした。




「はっ!!」




 間髪入れず、更に衝撃波を喰らわす。



「ゾゾォ!!」「ドシャアアア」



 ゾムビーは粉々になった。


「尾坦子さん!」


 振り返る主人公。


「ケガは? ……!」


 尾坦子の肩付近が欠けているのが見えた。


「はは、ちょっとケガしちゃった。見て。血も出ないのよ? ホントに私って化け物になっちゃったのね」


「……」


 尾坦子に対し、かける言葉が見つからない主人公。無理やりにでも口を開く。


「……そんなこと! ないよ。尾坦子さんは人間だから……それより、ここから移動しないと! ちょっと下がってて」


「?」


 主人公に促されてガラス張りから離れる尾坦子。



「はっ!!」


「パリィイイン!!」



 ガラスの破片が周囲に舞い落ちる。


「パラ……パラ……」


「さっ! 早く」


 主人公はガラス張りの檻から尾坦子を助け出すべく、手を差し伸べる。対して尾坦子は取り乱したように言う。


「……どうして? 私は化け物で、実験台にしか役に立てないのよ。それなのに……」


「そんなことない。さあ」


 主人公に迷いは無かった。


「どうして? 抱き合う事さえ、手と手を触れる事さえできないのに、何でそこまで構ってくれるの?」




「あなたのコトが大切だから」




「!」




 尾坦子に対して、主人公が目を真っ直ぐに見つめながら言い放った言葉は、胸に深く突き刺さった。


「それに、こうすると……」


 あの日つくった手袋を、主人公は手にはめていた。


「ほら、手をつなぐことができる」


 二人の手と手は一切れの布越しではあるが、確かに触れ合った。


「! ……」


 尾坦子の目に、涙が溢れた。しょうがないなと言わんばかりに、主人公は少し溜め息をついてから言う。


「さあ、行こう」


 二人は歩き出した。


「ツトム君、手袋だって、いつか……溶けちゃうんじゃ?」


 泣くのを必死でこらえながら尾坦子は言う。主人公は答える。


「なら、その時まで」



 ――、


 ――暫く歩くと、人の声がしてきた。


「尾坦子さん!」


「うん」


 避難所があるという期待を持って二人はもう少しだけ歩いた。そこは武器庫だった。二人が辿り着いた時、そこには十数名の研究員やオペレーターが居た。


「! なぜここにゾムビーが居るんだ!?」


 尾坦子を見るや否や、研究員の一人が言う。



「何!?」

「何だって?」



 その声に反応して、数名がざわつき始めた。


「……」


 尾坦子は下を向く。主人公は尾坦子をかばうように前へ出て言った。


「この人は、ゾムビーの調査の為、実験に参加している人です。僕達には危害を加えることは無いし、むしろ協力してくれている人です」


 口調は少しムッとした様子だった。事情を知らないオペレーターや研究員達は言う。



「しかし、どうせ生体実験を行われるようなモルモットだろ」

「そうだ! そんな奴を保護して何になる!?」



「! ……ひどい。何てことを……」


 彼らの心無い言葉に憤りを隠せない様子の主人公。



「いいの」



「!」


 尾坦子が口を開いた。


「普通、そう言うわ。……あなた方に危害を加えませんし、迷惑もかけません。ここで避難させて下さい」


 深々と頭を下げる尾坦子。


「そんな……尾坦子さん」


 主人公は胸が張り裂けそうだった。


「そこまで言うなら……」


「フン……仕方ないな。ここでじっとしていろよ」


 オペレーターや研究員は申し出を承諾したようだが、決まりが悪い様子だった。


「良かった。居ていいみたい」


 主人公の方を向き、ペロりと舌を出した様子の尾坦子だったが、主人公の胸中は穏やかではなかった。


(こんな……当たり前のことなのに……尾坦子さんがゾムビー化したってだけで……クソ! あの日あんなことさえなければ)




「おい……あれを見ろ!」




 誰かが何かを指差し、叫び声を上げる。一同、指差した方向を見る。



「ジュウウウウ」



 溶け出す扉、そして……



「ゾ……」

「ゾムバァ」

「ゾム……」



 扉を溶かして現れたのは、三体のゾムビーだった。



「そんなぁ! ……避難所まで進行してくるなんて!」

「助けてくれぇ!」



 避難所である武器庫内は混乱に陥った。最中、




「下がって」




 主人公は避難民の前へ出た。


「尾坦子さんも」


 主人公は尾坦子に視線をやる。


「ツトム君、……無理……しないでね」


「うん」


 ゾムビー達と対峙する主人公。間合いを確かめるように睨み合う。


「じり……」




(今だ!)


「リジェクトォオオ!」




「ゾ?」「ドシャアアア!!」




 一体のゾムビーがリジェクトの餌食となった。


「よし! あと……二体」


 その様子を目にしていた尾坦子は思う。


(これが……戦っているときのツトム君……)


 思わず顔が赤らむ。


(こんなに頼りになるなんて……)



「ゾムバァ!!」



 残りの内、一体のゾムビーが体液を吐き出す。


「回避の術! 飛び避け!!」


「タンッ! バシャ!」


 主人公は横っ飛びで体液を避ける。床に飛び散る体液。そして、


「リジェクトォ!」


「ドシャアアア」


 二体目を撃破した。


(イケる……この人達をそして、尾坦子さんを守るんだ!!)


「リジェクトォオオ!!」




「ドムゥン……」




「!」


 最後の一体、あと一体のところだった。最後の一体は、




「石の、……ゾムビー」




 息を呑む主人公。


「どうして? 何で? 効いてない」


 困惑する尾坦子。思いを巡らせる主人公。


(石のゾムビーは、耐久力、攻撃力ともに上昇している。弱点は、刃物。刀傷があれば、そこから石を取り除ける……けど、僕にそんな攻撃手段は無い。そして――、)


 石のゾムビーを見つめる主人公


(僕が一人で石のゾムビーを倒した経験は――、無い!!)



 ――、


 狩人ラボ周辺の排水溝からは、異臭が立ち込めていた。東側入り口付近――。



「ザッ」



 爆破と隊員数名が到着した。


「タタタタタタタタ!」


 現場は激しい銃撃戦となっていた。ゾムビーはざっと十五体以上おり、ラボに近付くにつれて被弾し、倒れていく。銃を撃っていた隊員の一人に爆破は話し掛ける。


「状況は?」


「はい! 何とか数で対応しています。隊長が来て下さり助かりました。石のゾムビーらしき者も現れ始めた所でして」


「それは何体居そうなんだ?」


 爆破は隊員にさらに問う。


「はい、一、二体程度です」


「分かった」


 会話を終え、爆破はポケットに入れていた例の宝石を手に持ち、掲げる。


(少し、距離が足りないか……)



 爆破は隊員全員に伝える。


「全員、聞け! 今から石のゾムビーを洗い出すために宝石を持って奴らに近付く。射撃がしづらくなるだろうが攻撃の手を緩めるな。やれるな!?」


『ラジャー』


 隊員達は一斉にレスポンスした。


「よろしい」


 爆破は返答を聞いてから歩き出す。銃弾の嵐の中、ゆっくりと見えるが、確実に歩みを進めていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ