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回避とサイコとツトム改~ゾムビー~  作者: 時田総司(いぶさん)
第四章 破壊と達成

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第二節 本拠地襲来

 ある日から、日本でのゾムビーの発生事例は10日間減り、狩人の活動も穏やかになっていた。まるで何かが起こる前触れの静けさのように。



 宇宙――。


『愚カナル人間共メ。マズハ日本トイウ小国カラ、潰シテイクトスルカ。ヤツラノ本拠地ヲ、制圧スル』


 ゾムビーの親玉は何かを起こす為、日本に潜んでいるゾムビーに呼び掛ける。


『我ガ同胞達ヨ……石ノチカラヲ……全力デ使ッテモ構ワナイ! イケ!! 同胞達ヨ!!!!』



 ――、


 ――狩人ラボ、とある廊下。狩人隊員がケースの様なモノを運んでいる。


(例の宝石、こんなに持って次の実験室に移動……か。研究の成果とやらはでるのかねぇ)


 隊員の一人が、心の中で愚痴をこぼしている。


「っと、なーんか気になっちまうな。おい、ちょっとここで、中身がしっかりあるか確認するぞ」


「了解。手短にな」


 成り行きでケースの中身を確認する事となった。


「パカ……」


 中身を指折り数える。


「1個、2個……よし、全部あるな。それにしても……良く光ってら、不気味なもんだぜ」


 何の気なしに宝石を手に取る。


(これを他の石から離してみれば光らなくなるんだよな)


 そう考察していたその時――、




「ストン! カッカッ……カラン!」




 宝石は隊員の手からするりと落ち、跳ねたあと廊下の溝に入っていった。


「いっけね!」


「おい、何をしているんだ! 上にバレたら懲罰モノだぞ」


「悪い悪い、すぐ見つけるから、内密に、な」


「……全く」


 宝石を落とした隊員は、溝に手をやる。


(この辺か? ……)


 溝は思いの外深く、なかなか手が届かない。


「おい、早くしろ」


「まぁまぁ、そう怒るなよ。今に見つかるって」


 ゴソゴソと手を動かす。




「ピチャ」




「ぴちゃ?」




 手に湿った何かが触れた。瞬間、




「ゾゾォオオ!!!!」




「緊急警報! 緊急警報! ゾムビーが発生しました。発生区域は……ここ、狩人ラボです! 第4研究室付近を中心に、ゾムビーが現れたと見られます」




 爆破自室。手を顔の前で組んでいる爆破。


「本拠地襲来とは、随分と派手な真似を」


 ふと、窓の外に目が行く。


「! 何だと……外にも……そして、この数は……!」



「ゾゾォ」

「ゾム」

「ゾゾゾ」



 ラボの外ではラボに向かう数十のゾムビー達が。


「緊急警報! 緊急警報! ゾムビーを新たに確認! 数十体のゾムビー達が、ここ狩人ラボに向かってきています!」



 抜刀、逃隠、そして主人公へと爆破から連絡が入る。


「緊急の招集命令だ。招集場所はここ、狩人ラボ。ゾムビーが、我々の本拠地である狩人ラボに、わざわざ出向いてくれたようだ」


 爆破の表情は決して冷静ではなかった。


「はい、分かりました」


「ピッ」


 携帯を切り、狩人ラボに向かう主人公。


(どうなるんだろう? 狩人ラボが襲われるなんて、過去にあったんだろうか……!)


 ハッとなる主人公。




(ラボには、……尾坦子さんも!)




 ――狩人ラボ内、爆破が指示を出している。


「非戦闘員は武器庫へ避難しろ!」


 爆破は手を額に当て、深く呼吸をした。


(マズいな……第4研究室付近以外に、外からも敵が……。研究室付近だけでも、恐らく隊員の射的能力を持ったゾムビーが居るため厄介なのに……)




「隊長!」




 身体が現れた。


「只今参りました! 前線へ出てゾムビーと対処致しましょうか⁉」


「いや……」


 爆破は申し出を拒否する。


「副隊長は主力の隊員の中でもこのラボの造りを良く知っている。その為安全な場所が頭に入っているはずだ。非戦闘員の避難の補助を頼む」


「ハッ!! 分かりました!!」


 爆破の指示を受け入れる身体。


「研究室付近のゾムビーは私が駆除する! 戦闘員の半分は正面入り口前の群集に対処してくれ!」


「ラジャー」


 狩人部隊は戦闘態勢に入った。



 ――、


「ツカ……ツカ……ツカ!」


 爆破は第4研究室に続く廊下に辿り着いた。


「やはり、――か」


 爆破の前には銃器を持ったゾムビーが4体、立ち塞がっていた。着ている狩人の戦闘服が所々溶けており、顔や腕からぴちゃりと、体液が滴り落ちていた。


(隊員が数名やられたか。と、いう事は……)


 銃器を構える2体のゾムビー。



「カチャ」


「すっ」



 爆破は左手を差し伸べる。




「タタタタタタタタ!」


「バチン!」




 ゾムビーの発砲と共に指を弾く爆破。




「ボッ! ボッ! ボッ!」




 銃弾は相手に届く前に弾けて消えた。


「当然、狩人の射的能力で攻撃してくるよな?……お返しだ、バースト‼」




「ボボンッ!!!!」




 ――、


「ザッ」


 主人公が狩人ラボに到着した。


(正面入り口のゾムビー、ものすごい数だった。迂回して東側入り口から入ったけど、判断、間違ってなかったよね。スマシさんに連絡しても通じなかった……)


「そうだ、尾坦子さん!」


 心臓の鼓動が逸った。主人公は尾坦子の居る部屋へ急ぐ。



 ――、


 ――正面入り口前、隊員達が迫り来るゾムビー達に対して銃器で応戦している。


「タタタタタタタタ‼」


「ゾムッ!」


「ゾバッ!」


 銃器の前に倒れるゾムビー。しかし――




「……ゾム」


「ゾ……」




 後から、次から次へと新手がぞろぞろ現れる。


「くそっ! キリが無いぜ」


 隊員の内の一人が溢す。


「文句を言うな。次だ」


「はいよ」


「タタタタタタタタ!」




「ドムゥン」




「!!」


 一体のゾムビーが、銃弾を吸収するように被弾した。


「ゾ?」


 そのゾムビーは何事も無かったように佇んでいた。


「あれは……石の……」




「ツカツカツカ‼」




「遅くなったな! 状況は!?」


 爆破が正面入り口前に到着した。


「隊長! 応戦を続けていたところ! 石の、らしきゾムビーが」


「何? 分かった」




「スチャ」


 隊員の言葉を聞き、何か取り出す爆破。例の紫色の宝石だった。


「カッ」


 先程銃弾を吸収したゾムビーの胴体部分が光った。


「成程、間違いないな。石のゾムビーは私が……」




「抜刀、一閃」




「ズバッ」


 一瞬の出来事だった。爆破が口を開き、次の言葉を言おうとした瞬間、光り輝く剣が、石のゾムビーを一刀両断した。




「ゾゾオ、ゾゾオ!」


「スッ……ピン!」




 真っ二つになったゾムビーの体から、剣先は石を弾いて、石は宙に舞った。


「パシッ」


 左手は宝石をキャッチする。


「よお、遅くなったな」




 抜刀セツナ、見参。




「途中にぞろぞろとまあバケモンが居やがったから、相手してたら時間食っちまってよぉ」


 ボリボリと頭を掻きながら言う抜刀。


「で、どうすりゃいいよ? 隊長?」


 その時、狩人隊員が突如、正面入り口に辿り着き、言う。


「爆破隊長! 東側からも、正面よりは少ないのですがゾムビーの大群が現れています!」


「隊長!」


「……」


 考え込む爆破。遂には口を開く。


「セツナ……行けるか?」


 輝く刀を肩に担ぐ抜刀。


「ハッ、とーぜん!」



 ――、


 東側のラボ入口へと足を速める爆破。


「隊長! 石のゾムビーでも、抜刀セツナ隊員なら対処できますね! 流石の判断です」


「……」


「隊長?」


 隊員が話し掛けても、爆破は暫く口を開かなかった。



「もし……」


「?」


「もし……あのペースでゾムビーが現れ続けて、石のゾムビーまで数を増やすと」


「ええ」


「セツナの体力では、確実にもたない」


「!?」



 ――、


 一方で主人公は、尾坦子の居る研究室前に辿り着いていた。扉が開き、慌しく研究員が部屋から出て来た。


「ウィ――ン」


「あ! 君。避難場所はここではないよ! 僕らみたいなのは早く邪魔にならない様に避難していないと……部屋の中はほぼ、避難が完了しているよ。あのゾムビー以外は――、ね」


 表情を曇らせて、研究員を睨み付ける主人公。


「ま、まぁそういう事だから!」


 足早にその場を去る研究員。主人公は研究室に入る。部屋の奥のガラス張りの部屋には尾坦子が不安そうに佇んでいた。


「尾坦子さん……」


「タッタッタッ」


 速足で尾坦子に近付く主人公。


「尾坦子さん!」


「あ……ツトム君……」


 不安の表情を隠せない尾坦子。


「早く! ここから出よう!」




「ウィ――ン」




「!!」



 研究室の扉が開いた。そこに立っていたのは、銃器を持った一体のゾムビーだった。

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