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回避とサイコとツトム改~ゾムビー~  作者: 時田総司(いぶさん)
第三章 旅先珍道中

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第四節 西へ


 ――爆破のオフィスルーム。爆破スマシが机につき、考え事をしている。


(先日のショッピングモールでの被害数、42名……か。今まででワースト3に入る数だ……戦力が整ったとは言え、一般人の被害がこんなにも出てしまっていては……)



「ガチャ」



「!」


 狩人の研究員1人がオフィスルームに入ってきた。


「何だ? ノックくらいしたらどうだ?」


 僅かに眉をひそめて爆破は言う。すると研究員は平謝りしつつ話す。


「申し訳ありません! しかし隊長、例の宝石について、興味深い発見がありまして……」


「何だそれは?」


「ひとまず、研究室へ」



――狩人ラボ、研究室。


「ツカ……ツカ……」


 爆破が研究員の後に続いて歩く。


「こちらです」


 研究員は手で、あるモノを指し示した。それは透明なケースに数個入っており、紫色に光っていた。


「これは……?」


 爆破がまじまじとその紫色を目に宿す。


「主人公隊員達が単独で手に入れた宝石に、先日のショッピングモールでの戦いで手に入れた宝石を近付けてみたところ、共鳴するように輝き出したのです。宝石同士が7、8mほどの距離にあれば輝くのですが、近付けば近付くほど、その輝きが増すのです」


「ほう……(手に入れた時には気付かなかったが、戦いの中で何かの役に立つかも知れんな)」


 研究員の返答に、顎に手をやり思考を巡らせる爆破。


「よし! 次の戦いではこれを一つ持って行く事としよう。良いか?」


「はい、他にも宝石はありますし、一つならば問題はありません」


「……決まりだな」


 研究員の了解を得る爆破。と――、




「ピロリロリ! ピロリロリ!」




 爆破の携帯が鳴った。


「ピッ」


「もしもし、狩人・関東支部隊隊長爆破だ。何? 関西支部? 何の用だ?」


 狩人・関西支部の男が話す。


「ええ、少しお頼みしたい事がありますねん……」


「……!」



――二日後、新大阪駅にて。


「よし皆、切符はちゃんと持っているな?」


 爆破達、狩人十数名が丁度新幹線から降りてきたところだった。



(大阪! おおさカ オーサか!)


(タコ焼き食って帰るか……)


(ああ……ホントに来ちゃった。授業……)



 逃隠、抜刀、主人公がそれぞれ、思いを募らせる。



「ところで隊長ォ!」



 逃隠が手を上げながら発言した。


「何だ?」


「身体副隊長の姿がありませんガ、どうしたのですカ? てっきリ、もう現地に到着しているモノかト……」


 爆破がそっと答える。


「ああ、副隊長なら、この前の戦いで腕を折っているからな。今日は休養に充ててもらっている」



 ――その頃、狩人ラボ、トレーニングルームでは


「ガッシャン……ガッシャン……」


 片腕で身体がトレーニングをしていた。



――場所は戻って大阪。


「が――――――――ン」


 崩れ落ち、両手を地面に着ける逃隠。


(今回モ、俺の活躍を身体副隊長にお見せする予定だったのニ……)


 そんな逃隠をよそに、爆破が口を開く。


「まぁ、そういう事だ。さて、次はなんば駅辺りに向かうぞ。地下鉄に乗り換える」



 ――、


 在来線のホームを歩く一同。それに気付いた民間人が、ひそひそと話をする。



「見ろ、狩人や。近頃、ゾムビーがよう出てくるからなー」


「見た事の無い顔ぶれやなー。どこの支部のもんや?」


「あの女、えらいべっぴんさんやな……」



 それに対し、抜刀が不満そうに言う。


「へっ! 見世物じゃねーっての!」


「セツナ。……気にするな」


 爆破が釘を刺す。

 すぐに電車が来た。



 ――、


 電車は走り、なんば駅に到着した。爆破はここで提案を持ち掛ける。


「さて、少し悠長かも知れんが、戦いの前に腹ごしらえでもするか」



(うオ――――!)


(へへっ、ラッキー)



 歓喜する逃隠と抜刀。



――とあるタコ焼き屋前。


「ここのタコ焼きが旨いと聞いた。立ち食いで悪いな」


 爆破が一同にタコ焼きを配っている。


「いえいエ、とんでもなイ」


「気にすんな! いっただっきまーす」


 タコ焼きを食べる逃隠と抜刀。授業が進むことを憂い、少しうつむき気味の主人公は……


「パクっ」


 二人と同じく、タコ焼きを食べる。


「ん!? う、美味い!」


 パァッと明るくなる。


「う――、美味いんじゃア――!」


「こいつぁ旨いタコ焼きだぜ!」


 逃隠、抜刀もそれぞれタコ焼きを味わう。


「そうか、それは良かった。はふはふ」


 タコ焼きに息を吹きかける爆破も――、


「パクっ」


 タコ焼きを頬張る。


(うむ……イケるな)


 爆破は少しタコ焼きを食べてから話し出す。


「さて、今回の本題に入ろう。今回の戦いは、ここ大阪の道頓堀川付近で行われる予想だ。その近辺はゴミなどが多く、汚れており、ゾムビーがもともと発生しやすい場所とされていた。特に最近になって、ゾムビーがよく出没しているらしい。狩人・関西支部の隊員が駆除にあたったが、敵の数も多く、死傷者が続出した様だ。そこで、我々関東支部の隊に要請があり、今回ここに集まったというわけだ……聞いていたのか? お前達……?」




「むしゃむしゃむしゃむしゃ」




 逃隠、抜刀、主人公は一心不乱にタコ焼きを食べている。




「んまァ!」「うめぇ!」「おいしい!」




 その様子を受けて、頭を抱える爆破。


「…………おい、話を聞いていたのか?」


「わぁーってるよ! 最近ここいらで、ゾムビーがよく出てくるからそれを倒すんだろ?」


 抜刀が食べながら言う。


「隊長! 我々の方は、今回の事前情報を頭に入れております!」


 狩人の隊員が言う。


「……まぁいい。そろそろ行くぞ。ゴミは所定の場所に捨てるか、持ち帰るように!」




「ピロリ―ン! ピロリ―ン! ピロリ―ン! こちら大阪市です。緊急速報。緊急速報。中央区道頓堀付近で、ゾムビーが発生しました。お近くの住民は直ちに避難して下さい。繰り返します……」




 爆破が言うのも束の間、市の緊急速報が辺り一帯に放送された。


「……現れたか。行くぞ! 道頓堀川沿いにヤツらは発生している可能性が高い! そちらへ向かう!!」



「ハイ!」


「おウ!」


「オウ!」


「ラジャー!」



 爆破の号令に、主人公、逃隠と抜刀、狩人隊員達が返事する。



――5、6分後。


「ダダダダダダ! ザッ!!」


 一同が道頓堀川を発見する。



「あ……あれ……」


「グ……グリ……」


「グリ〇……ダ……」


「……」



 主人公、抜刀、逃隠が口々に言う。隊員達は無言。そこには、大阪名物・道頓堀グリ〇サインが存在していた!


「おっと、大阪に来たことは無いので、道に詳しくないものでな。何故だか観光名所の様な所へ一番に到着してしまった」


 少し笑顔で言う爆破。



「パシャッ」



 逃隠はおもむろに携帯で写真を撮る。


「こら! 止めんか!! 観光に来たわけではないんだぞ!」


 爆破はお冠のようだ。


「あ……つイ。すいませン」


 逃隠は頭を掻きながら申し訳なさそうにする。


「全く……」


 腕を組み、呆れた様子の爆破。



「……それにしても」



 主人公が辺りを見渡す。


「川を含めて、ここら辺って結構汚いんですね」


 通路や橋、川には、空き缶やタバコの吸い殻、ナイロン袋等のゴミが捨てられていた。


「いかにもゾムビー達が好みそうな汚さだ……」


 爆破が口を開く。と、


「あ! あれ!!」


 主人公が何かを指差した。指差した先は道頓堀川の水面だった。一同、その方向を見る。



「ゾ……ゾ……」



 それはゾムビーが川から上がり、川の縁の壁を登っている正にその時の様子だった。



「ツトム!」



 爆破が叫ぶ。


「ハイ! リジェクトォオオ‼」


 主人公の攻撃が、ゾムビーを襲う!



「ドシャア!」


「ゾ……」



 粉々になったゾムビーの残骸は、川へ落ちていく。



「ザッバーン! ザバッ! バシャ」



 ゾムビーの残骸は大小様々あったようだった。水面を波紋が広がる。すると、



「ぶくぶくぶくぶく」



 残骸が落ちた付近から水泡が吹き出てきた。


「! 何だ!?」


 身構える爆破。



「ぶくぶくぶく」


「ぶくぶくぶくぶく」


「ぶくぶく」



 次第に、泡は残骸が落ちた所以外からも出てきた。



「おいおいおい」


「ごくリ」



 焦る抜刀と逃隠。静まり返る周囲。そして――




「バシャアアアアアア!」




 大量のゾムビー達が川から姿を現した。


「何! 15! いや、20は居るぞ」


 流石の爆破も動揺する。


「おいおい、どうするんだ?」


「水中じゃア、戦えなイ……かと言っテ、上がってくるを待つのカ……?」


 抜刀、逃隠が口々に言う。そんな中、キッと目つきを鋭くする主人公。




「リジェクトォオオ!!」




「ドバシャアアア」


 水面付近のゾムビー達に向かってリジェクトを放つ。



「ゾゾゾォ!」


「ゾォオ!」



 5、6体のゾムビーが同時に弾け飛ぶ。続けて爆破に話し掛ける主人公。


「スマシさん! 10秒以内に、次のが打てます! 指示を!」


「あ……ああ! セツナ、サケルはなるべくゾムビーに近付いて待機! 銃を持った隊員達はヤツらに射撃だ! 私もツトムと一緒に遠隔から攻撃する!」



「隊長!!」



 指示を終えた爆破に、隊員の一人が話し掛ける。


「何だ!?」


「川の南方の通路を通り、3時の方角からゾムビーが列を成して近付いてきています!」


「何!?」


 爆破は言われた通路の方角に顔を向ける。するとゾムビー達が一列になってぞろぞろとこちらへ歩み寄て来ていた。


「くっ……作戦変更だ! セツナ、サケルは南方の通路へ行き、3時の方角から来るゾムビーを迎え撃て! また! 隊の半分はそれに加勢。残り半分は、ここに残って川に居るゾムビーを攻撃だ!」


 爆破は再び指示を飛ばす。


「ラジャー!」


「ダダダダダダダ」


 移動を始める隊員達。


「(さて……私もそろそろ行くか……)バースト……」



「ボッ‼」


「バシャアアアアアア‼」



 水面が、ゾムビーごと激しい飛沫を上げて爆発する。爆破が言う。


「橋や川の整備を壊しては、戦いにくくなるのでな、川の真ん中を狙ってやった……全員、川の端に居るゾムビー達を狙撃しろ! ヤツらを川から上がらさせるな!」


「ラジャー!!」


「タタタタタタタタ!!」


 銃声が鳴り響く。



 ――一方で、川南方の通路。


「ズバァアア!」


「ダッ……バシャアア!」


 歩いて来るゾムビーの群れを抜刀が斬り、逃隠はタックルを喰らわせて倒す。


「ゾム……ゾム……」


 それでも尚、3時の方角からぞろぞろと湧き出てくるゾムビー達。


「くそ、キリがねぇ……」


 抜刀が言葉を漏らす。


「なんダ? その弱気発言ハ。俺はまだまだ余裕だゾ?」


 逃隠がその発言を聞き、軽く挑発する。


「んだとぉ!? こんなやつら、5分で全員叩き切ってやらぁ!!」


 抜刀は単純に反応した。


「……ふン」


 逃隠は抜刀から顔を背けた。



「抜刀隊員! 逃隠隊員! 少し下がっていて下さい!!」



 狩人隊員の一人が叫ぶ。



「!」


「!」



「ザッ」



 二人は言われた通り、道の両端に飛んだ。




「タタタタタタタタ!!」




 隊員達が銃器を発砲する。




「ゾォオオ!」


「ゾ!」




狙 撃され、崩れ落ちていくゾムビー達。6人による狙撃で、一遍に6、7体のゾムビーが葬られた。


「道を開けました。今の内に進んで下さい!」


「おウ!」


「サンキュー!」


 隊員の言葉に、返す逃隠と抜刀は正面から先へ急ぐ。



 ――再び、道頓堀川。




「リジェクト!」


「バシャアアア!!」




 水面が飛沫を上げる。飛び散るゾムビーの肉片。



「バシャ! ……ザバッ! ……ザブン……」



 次々と肉片は川へ落下していった。みなもに波紋が幾つか出来る。波紋が全て収まった頃、爆破が口を開く。


「……終わったか……。念のため、隊員の内、3名はここに残って警備するように! 私とツトム、残りの隊員は南方の通路へ急ぐ!」


「ラジャー!」


「タッタッタッタッタッ」


 南方通路を走る一同。辺りにはゾムビー達の残骸が無数に散らばっていた。それを見て、言う主人公。


「こっちにも、結構な数が居たんですね」


「……そうだな、だがこちらへ向かった隊も、うまく戦ってくれている様だな」


「ええ……」


 そのまま走る一同。暫く走ると、その先に抜刀、逃隠を含む数名の狩人隊員達が佇んでいた。


「どうした!? 皆!!」


 近くへ寄り、爆破が言う。


「ア……あレ……」


「あ……ああ」


 逃隠が何か建物の方を指差し、抜刀がゴクリと息を吞んでいた。


「ん?」


 爆破も逃隠が指差した方向を確認する。



「ゾム……ゾム……」


「ゾ……ゾ……」



 そこには、かに〇楽の看板のかに(模型)に群がる、3体のゾムビーの姿があった。



「アレは……かに……?」


「かにだ……」


「あア……かにダ……」



 爆破、抜刀、逃隠が口々に言う。


(本店のかには、ちょっと前に通り過ぎたが、ここにも……そうか! ここは東店!!)


 爆破は思いを巡らせる。すると、



「パシャッ」



 またしても逃隠がおもむろに写真を撮る。


「こら! だから止めんか!!」


 爆破は再び檄を飛ばす。


「ははハ……つイ……」


 逃隠は頭を掻きながら誤魔化した。




「リジェクトォオオ!」




 主人公はゾムビーの内の1体にリジェクトを放つ。


「バシャアア!」


 弾け飛ぶゾムビー。



「ギシ……ギシ……」



 揺れるかに。




((かにがァ――――!))




 怯える抜刀と逃隠。


「スマシさん! 見ている場合じゃありません! ヤツらを倒さないと!!」


 主人公は声を荒げて爆破に進言した。


「あ、ああ……そうだな。……バースト!」




「ボンッ!!」




 爆破は残り2体のゾムビーごと、かにを爆破させた。




「かにがァ――――!!」




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