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回避とサイコとツトム改~ゾムビー~  作者: 時田総司(いぶさん)
第三章 旅先珍道中

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第三節 即席コンビ

 食品売り場内を走る二人。体液を辿り、カップ麺コーナー、調味料コーナー、お菓子コーナーと、隈なく探して走る。程なくして、ある場所に二人は辿り着く。鮮魚売り場だ。辺りには異臭が漂っていた。


「うっ……臭い……」


 生魚と、何かヘドロの様なモノが混じったような臭いに、顔をゆがめる主人公。そこには、案の定ゾムビーの姿があった。ゾムビーは4体ほど居た。


「よう。ゾムビーってのは、こんな沢山湧いて出るモノなのか?」


 抜刀が主人公に問う。主人公が答える。


「分からない。……けど、沼地でもないのに、こんな場所で発生するなんて異常だ 」


「……なるほど」


 ゾムビー達はバリバリと包装のラップを破り、むしゃむしゃと鮮魚をそのまま食している。


「おい……」



「!」



 抜刀の一声に、反応するゾムビー達。


「商品ってのはよう……ちゃんと代金を支払ってから購入するものであって、代金を支払う前に食っちまうものじゃあねぇんだ。」


「ゾ?」


 生魚を食べるのをやめるゾムビー達。


「その代金ってのも、自分でせっせと働いて稼いだ金だ。誰かから簡単に貰ったものじゃねぇ! 全部! 自分で! 汗水流して苦労した結果得られるものなんだよ!!」


「スチャ」


 超能力の刀を構える抜刀。




「働かざる者、食うべからず……死んで、詫びろ……!」




「ズバァアア!!」


 一番近くにいたゾムビーを、横一文字に真っ二つにする抜刀。


「ゾォオオ!!」


 崩れ落ちるゾムビー。


(……凄い。セツナさんは、やっぱり強い……僕も負けてられない)


「リジェクト!!」


 抜刀に感化されて、闘争心を燃やす主人公。次に近くにいたゾムビーにリジェクトを打つ。



「ゾゾォオオ!!」「バシャアア!!」



 断末魔を上げながら破裂するゾムビー。


「ヒュ――。この分なら、余裕だな。残り、行くぜ!」


 残りのゾムビーを倒すべく、走り出す抜刀。


「フッ」


 一瞬、一呼吸入れた。


「スパッ」


 ゾムビーに斜めに太刀を入れる。




「ゾ?」




「ピッ……ズズズ」


 切れ目が入り、斜めに崩れ落ちていくゾムビー。


(あと1体だ……)「リジェクトォオオ!!」


 最後の1体にリジェクトを喰らわす主人公。瞬間、



「ドムゥウウン」



 最後の1体は、リジェクトの衝撃を吸収した。



「! コイツは!!」



 何かを悟る主人公。


「? 何やってんだ、お前さんよぉ? 倒さないなら、俺が頂くぜ!」


 抜刀が走り出す。


「待って!」


 それを止めようとする主人公。が、抜刀の耳には入っていない。


「おらぁああ!!」


 抜刀は、最後の1体を横一文字に切り抜く。



「ピシッ」



 ゾムビーに亀裂が走る。




「トン……」


 勝利を確信し、右肩に刀をのせる抜刀。


「これにて、一件落着っと」


 余裕綽々で振り向いた抜刀の目に映ったのは、彼にとって意外な光景だった。




「ボコボコボコボコ」




 最後の1体に入ったはずの亀裂、そこから泡の様なモノが吹き出していた。




「!? こいつぁ……?」



 不審に思う抜刀。


「ボコボコ……シュ――」


 軽く煙が出るとともに、ゾムビーに入った亀裂は元通りに戻っていた。


「やっぱり!」


 主人公は言う。


「こいつ……石の……!」


 少しばかり動揺を見せる抜刀、しかしすぐさまキッと目を鋭くさせる。


「だからと言って、引く訳にはいかねぇんだよぉおおお!!」


 刀を両手で振り上げる。


「ズバァアア」


 今度は、縦にゾムビーを一刀両断する抜刀。



「……やったか?」


「ダメだ!」



 主人公が強く否定する。


「ボコボコボコボコ」


 再び、再生を始めるゾムビー。


「セツナさん! あいつは中にある石を取り出さないと勝てないんだ!」


 主人公の叫びに、抜刀は問う。


「じゃあどうしろってんだよ!?」


「僕に考えがある。セツナさん、今の内に二人でゾムビーを挟み撃ちにしよう!」


「わぁーったよ! 従ってやる!!」


 主人公の提案に、おとなしく従う抜刀。主人公とは反対側へ走り、ゾムビーを囲った。


「で、どうするんだ!?」


 抜刀は怒鳴るように問う。


「再生が終わった瞬間に斬って! 」


 主人公は答える。


「りょーかい!」



「ボコ……シュ――」



 ゾムビーの再生が終わった。


(今か……)「行くぜ!」


 ダッと一歩踏み込む抜刀。



「ズバッ」



 横一文字にゾムビーを斬った。


(よし……)「セツナさん! 避けて!!」


 主人公が叫ぶ。


「へっそういう事か……」


「タンッ」


 抜刀は横へ跳ぶ。


(今だ!)「リジェクト!!」



「ドッ」



 抜刀が石のゾムビーを斬る。そこから主人公がリジェクトを打ち込む。一時的にではあるが、真っ二つになっている上半身と下半身は、上半身がリジェクトの衝撃を喰らう事で、完全に離れ離れとなった。



「ドサッ」


「ゾゾォ」



 倒れる上半身。その切り口から、光り輝く何かが見えた。


「セツナさん! その宝石を! ヤツの体から取り除いて!!」


「! これか……」


主人公の言葉で、宝石を確認する抜刀。



「スチャ」



 超能力の刀の剣先に、宝石をのせる。



「ふん……」


「ピッ」



 刀を振り上げ、宝石を放り上げた。



「パシッ」



 そして宝石を左手に掴む。


「ほらよ! しっかりと取り除いてやったぜ!!」


 主人公に宝石を見せつけながら言う抜刀。


「ありがとう! これで……行ける……!」



 手袋をはめた両手を構える主人公。



「リジェクトォオオオ!!」


「バシャアア!!!!」



 破裂する最後の1体。今度は、再生など出来る筈もない。


「やった……」


 安堵し、額の汗をぬぐう主人公。



 ――数分後。


「正直、最初は癪だったが、お前の言う通りにして正解だったぜ。的確な指示を、ありがとな! ツトム」


 抜刀は礼と、主人公の名を口にする。


「あ……名前を……」


 キョトンとする主人公。


「ん? 初めて名前で呼んだか? まぁ、細かいことは、気にするな」


 笑顔で握手を求める抜刀。


「あ……うん!」


 それに応える主人公。



「ダダダダダダ」



 狩人隊員が数名、姿を現した。隊員が口を開く。


「あの後、トイレを探索しましたが、ゾムビーが2体ずつ、男子トイレと女子トイレに存在していました。どちらも駆除に成功しています! お二人はご無事ですか?」


「は、はい」


 主人公が答える。


「それは良かった。この後は、この階一帯を探索後、何もなければ清掃班を呼び、洗浄、殺菌作業に移ります」



 ――1時間以上の徹底された探索が、各階で行われたが、1階は中央トイレ、食品売り場、2階は中央トイレ、そして3階は中央トイレとペットショップコーナーにのみゾムビーが発見されただけで、その他の場所ではゾムビーは見つからなかった。



 ――帰りの車内。この車には、爆破、主人公と隊員の数名が乗っている。


「今回も、ご苦労だったな、皆。それにしても、私の所だけ石のゾムビーが現れなかったのは何故だろうか……? 私のバーストが、どの程度通用するのか、試してみたいところだが……」


 腕組みをしながら言う爆破をよそに、主人公は思う。


(強敵だけど、スマシさんなら圧倒的に勝ってしまいそうだからコワイ……)


 一同は帰り道を辿る。

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