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回避とサイコとツトム改~ゾムビー~  作者: 時田総司(いぶさん)
第一章 始まりの手袋

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第十節 戦果報告


 ――、


 少しひらけた場所にて、物陰から爆破達がゾムビーを待ち構えている。


「……来たか」


 向こう側から銃を持った者を先頭に、ゾムビー達がぞろぞろと歩いてきた。それを確認した爆破、そっと口を開く。


「ツトム、私は左の奴らから行く。お前は右側からやれ」


「はい……」


 爆破の言葉に、少し緊張した面持ちでゴクリと唾を呑む主人公は『銃器を持った敵』の脅威を肌で感じていた。


「今だ!」


 物陰から飛び出す爆破。主人公も続く。


「ゾ……」


 二人に気付き、銃を構え始めるゾムビー達。



「バースト!」


「リジェクト!」



「ボッ‼」


「ドガァアッ‼」



 爆破が一番左のゾムビーの銃を破壊する。主人公は一番右のゾムビーを銃もろとも吹き飛ばす。


「サッ」


 爆破が左手を差し出し構える。


「バチンッ! バチンッ!」


 爆破が指を弾く。と、同時にゾムビー達の銃器が次々破壊されていく。


「ボン! ボン!」


(フム、これくらいの爆発範囲、威力ならこうした方がやりやすいな)


 そう思いを巡らせながら、爆破は銃器を破壊する事に専念する。


「リジェクト!」


「ドガァアッ‼」


 一方の主人公は、二体目のゾムビーを倒した。


(特訓のお陰で、7秒に一発撃てるようになった。大丈夫、イケる)


 集中し始める主人公。


 と、その時、


 カチャリ……と、一体のゾムビーが主人公に向けて銃を構えた。


(! まずい、まだ4秒だ)


 主人公が気付くも、間に合わない。




「タタタタタタタタタタタタ」




 銃弾が放たれる。刹那――




「バチンッ」




「ボ! ボ! ボ!」




 爆破が銃弾を爆発させた。主人公は無傷だ。


「ふぅ……助かったぁ……」


 冷や汗をかき、生きた心地がしない様子の主人公だったが何とか凶弾に倒れることからは防がれた。


「ツトム、無事か!? だいぶ銃が少なくなってきた。次からは銃を構えた奴から狙っていけ」


 銃器を更に爆破させながら爆破は言う。


「ハイ! ありがとうございました!」


 爆破の助けと言葉に勇気をもらった主人公は立ち上がる。


(よし、次は……コイツ!)




「リジェクトォ!」




 爆破の言う通り、銃を構えたゾムビーを狙い始める主人公。爆破と主人公の二人は効率よく銃器、ゾムビー達を攻撃していった。


 そしてついに、銃器を持つゾムビーが居なくなったかに見えた。


「よし、副隊長! 行くんだ!!」



「ダッ」



 爆破の言葉で走り出す身体。


「ドゴッ……ベシャァ!」


 拳でゾムビーの頭を破壊する。


「続くぞ! ツトム‼」


「ハイ‼」


 身体が近距離で、爆破、主人公は遠距離から攻撃しかけ次々とゾムビー達を駆除していく。



「ふん!」


「バースト!」


「リジェクト!」



 三人はそれぞれの渾身の技をゾムビー達に繰り出していった。



「タタタタタタタタタタタタ」



 狩人隊員達も離れた位置から、三人が倒しそびれたゾムビーを狙撃した。こうして、5分も経たないうちに、ゾムビー達は一掃された。


「ふう。隊長の作戦に従えば、造作も無い事だったな……」


 身体が一息ついて、立ち尽くしている。


「ガチャ」


 直後、コンテナのそばから物音がした。




「!」




 そこには、下半身は無く、上半身も右半分になったゾムビーが身体に向けて銃器を構えていた。


(まずい……やられ……)


 ゾムビーが引き金に指をかけた瞬間、



「リジェクト!」



「ドゴォッ……べちゃあああ」



 主人公がゾムビーを撃退した。


「ふぅ、まだあんな所に生きているゾムビーがいたんですね。大丈夫ですか? 副隊長」


 身体に近付き、手を差し伸べる主人公。


「ああ、助かった。済まない」


 主人公に礼を言い、手を差し伸べ返す身体。二人は握手を交わした。


(畜生、ツトムめェ、俺もいつか副隊長様を援護できるほど、強くなってやル!)


 陰で意気込む逃隠。身体は、ふと昔のことを思い出す。



(回想)


 河川敷をランニングしている身体。ふと、何かの気配に気付く。川の方を見るとそこには紫色をした、得体の知れない生物がたたずんでいた。


「! 何だコイツは⁉」


 その生物はじりじりとこちらへ近寄ってくる。


「ゾム……ゾム……」


「くっ来るなぁ‼」


 手を振りかざしつつも怯える身体。




「……バースト」




「ボボン!」


 得体の知れない生物は爆発するかのように弾け飛んだ。声のした方へと身体が顔を向ける。


「危なかったな、青年。もう大丈夫だ」


 そこには、若かりし頃の爆破がいた。


「あ、貴女は?」


「ん? 私は爆破スマシ。ストレス解消と趣味で、さっきのような生物を駆除している者だ!」


(回想終了)



(あの時から私は、隊長に忠誠を誓った。あの時救って頂いた命をあの人の為に使い、あの人の右腕になる、と。だが、今度はこんな子供に命を救われるとはな。まだまだ私も力不足だ……)


 そっと思い、目を閉じる身体。


「よし、銃器を持ったゾムビーは全て駆除した! 後は隠れているゾムビーがまだいないか、この工場地帯を探索するぞ」


 爆破の指揮の下、再び工場地帯の探索が始まった。



 3時間後、全てのエリアを探索した結果、ゾムビーは発見されなかった。



 ――、


 会議室のような部屋。爆破の他に、10人程度の人物がいる。大体が爆破よりも年上のように見える。


「前回の戦果を報告します」


 爆破が書類をいくつか手にした状態で話し出す。


「まず、被害報告から……一般人の被害者数0名。狩人隊員の死者16名」




「今度は狩人から死者が出たのか」


「おいおい、ただでさえこの支部は100人程度の場所なのに、多すぎやしないか?」




 部屋の中はざわつき始めた。


「申し訳ございません。全て私の不注意が原因です。ここで陳謝させて頂きます。しかし、ゾムビーについて分かったことがあります」


「ほほう、それはどんな?」


 爆破の言葉に興味を示す一人の男性。


「はい、ゾムビー化した人間ですが、ゾムビー化する前の能力をゾムビーに引き継ぐことが分かりました。今回で言うと、抜群の射撃能力を誇る狩人の隊員がゾムビー化し、銃を撃つゾムビーが発生しました」




「なんと!」


「信じられん」




 爆破の言葉を聴くために声が止んでいたが、発言が終わると再び部屋の中がざわつき出す。


「はい、ですので今回はそのゾムビーに対してはまず、銃器の破壊を優先して戦いに挑みました。戦いを順を追って振り返りますと……」


 爆破は現場に到着してから戦いが終わるまでを順に説明していった。



 ――シャワー室、入り口には女性用とある。


「シャ――――」


 シャワーを浴びるスレンダーな女性が一人、爆破スマシである。肢体には傷跡一つ無く、如何に今までの戦いを無傷でくぐり抜けてきたかが分かる。


「ふぅ。理事会への報告、毎度ながら疲れるな」




「キュ」




 シャワーを止め、シャワー室を出て、バスタオルで体を拭く。


(今回の戦い、大事な隊員を16名も死なせてしまった。済まない。……これで戦力は減る一方だ。ツトムの加入が本当にありがたい限りだな)


 下着を着ながら、考える爆破。


「さて、特訓の方、そろそろ大詰めになるな」


 服を着て、第2訓練場へ歩き出す。



 ――、


 爆破が訓練場に着いた時には、もう既に主人公が来ていた。


「スマシさん、今日は遅かったですけど、何かあったのですか?」


 主人公が何の気なしに問う。


「ああ、理事会への戦果報告があってな。理事会の連中の前で話すのは気苦労が絶えないよ」


「そうなんですか。お疲れ様です。サケル君と副隊長は? 見当たりませんが」


 キョロキョロと周りを見渡す主人公。


「ああ、あいつらなら第1訓練場で組手を行っている。サケルが自ら志願して申し出たんだ。せっかくだから身体副隊長にお願いして、相手してもらっている」


「へぇ。サケル君も頑張ってるんだ」


爆破の言葉を聞き、主人公は思わず顔がほころぶ。


「じゃあ特訓を開始するぞ、ツトム。お前のこれまでの全力をぶつけていけ!」


「ハイ‼」

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