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こいこい荘はそこを曲がったところですよ  作者: 蜂蜜
Q.こいこい荘にきた理由は?

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9/30

日野慎太郎の場合

慎太郎視点

後書きはアリス視点

「ストーカーやめろよ」

「大丈夫。遠目で見てるだけ。所謂推しに近いな。

個人的に家まで行かなし現実では指一本も触れないから」

「いつか絶対やるぞおまえ」

「な訳ねーだろ」


などと先日まで心の底から思ってたし、笑う余裕もあった。

だが現実問題どうだろう。

イケメンに嫉妬して、後先考えずしかもバイト中に告白していた。

戸惑ったアリスちゃんの顔が今でも離れない。

すげー可愛かった。

いやいや、そうだけど違うだろ。

何困らせることしてんだよ。

YES推し、NOtouchだと心に言い聞かせてたのに。

どこが所謂推しだよ、全然ガチ恋じゃねーかよ。


今までストーカー呼びも田中の冗談と思ってたが、今は本気だったと思いこれ以上何かおこる前に彼女を見るのをやめた。

偶然を装って近づくのもやめた。

バイトも担当地区をうまいこと言ってかえてもらった。

すると怖いほどアリスちゃんに会わない。

それはそうかと思いなおす。

自分から無意識に会いに行って、ない接点作ってたのも俺だ。

バイト先のはたまたまだったがそこさえなくせば、同じ大学でも学科が違うのだ。

広い構内会う確率はずっと低いし意識して会わないようにしてるから遭遇する確率は0に等しい。


昼休み、やることはあるがそれどころじゃないのでスマホに質問してみる。


「ヘイ、グーグー、過去の消し方教えて」


返答は検索履歴の消し方ばかり出て来た。

違うんだ俺はやらかした過去を消したいんだ。

あの日あの時何故俺は告白なんてだいそれたことしてしまったんだ。

天使に人間のしかも薄汚れてる俺なんかが告白もだが触るなんてもってのほかだってわかってたのに。

恋人いないってわかった瞬間、日頃の妄想のせいか欲が顔を出してしまった。

机にうつぶして嘆く。あんなことしなきゃ俺はまだアリスちゃんと会釈する仲だったのに。


「大丈夫か?」


田中の心配そうな声にうつぶしたまま片手をあげる。


「田中一生のお願いだ。

俺を山林に埋めてほしい」

「嫌だよ。なんでお前のために俺の人生捧げなきゃいけねーんだよ。

ってか何があったわけ?

日に日にお前おかしくなってるけど」

「一ヶ月前くらい前にアリスちゃんに告白した」

「で、振られたのか?」

「いや、返事は次あった時くださいって言って逃げた」

「で返事なんてもらったんだよ」

「持てる情報フル活用して逃げてる。

このまま一生会わない。ほらあれと一緒だ。シュレディンガーの猫。

今俺は振られてないと同時に振られた状態だ」

「いや何カッコつけてんだよ、結局カッコ悪く逃げ回ってんじゃねーか。

潔く振られてこいよ。

そん時は海でも山でもつきやってやるから」

「嫌だー俺はこのままシュレディンガーの告白をやるんだ」

「そんなの相手も困っんだろうよ」


それはそうだ。

だが、一年もすれば風化してなかったことになるだ…ろ……う。


「なぁ田中、俺怖いことに気づいたんだが」

「なんだよ改まって」

「普通はさ、告白して一ヶ月も会わなければ冗談と思うじゃん。

でも俺の知ってるアリスちゃん、一年しても真面目に返事考えてそう」

「うわ、お前最悪だな。

大好きなアリスちゃんに迷惑かけてんじゃねー。

もう今日会いに行って振られてこいよ」


簡単に言うけどホイホイ会えるもんじゃねーんだぞ。

いや俺なら会えるけど、ようは心の問題だ。

でもそうだよな、いつまでもアリスちゃんに迷惑かけられないよな。

田中の言うとおり潔く振られて、そのあと山に埋めてもらおう。


ガバっと起き上がり時計を確認する。

あーだめだこの時間もう授業の準備してる。

決まった覚悟がとんでなくなりそうなのを、グッと堪える。


「今日言う。講義が終わったら図書館の前で会って聞く」

「せめて隣のカフェとか奥のベンチとか人の少ないとこでやれよ。

見られて変な噂たてられたら彼女も可哀想だろ」


ごもっともな意見に頷き、頭に刻み込む。

今度は突発的なことはしない。

アリスちゃんを困らせない。

心にも再度刻み込む。


ソワソワして集中できなかったがなんとか奇声も奇行もなく講義を終え、図書館前のベンチでアリスちゃんを待つ。

来て欲しくない気持ちと一目でも会いたい気持ちがないまぜになり緊張もあいまって気持ち悪くなって来た。

もう今日帰っていいだろうか。

いやアリスちゃんの困り事を一日でも早く解決せねば。

まぁ原因俺なんですけど。

あー今すぐ穴掘って埋まってしまいたい。


下を向いて手を握ったり開いたりする。

落ち着け、落ち着け俺。

埋められるのは後でだ。

まずはアリスちゃんに振られて、田中に電話してそれから山について来てもらわないと。

俺の影に女の子の影が重なる。

顔をあげるとアリスちゃんが困った顔で俺を見てた。

すげー可愛い。ああその憂いを俺が払いたい…いや確実原因俺。


「こんにちは」


挨拶された!!!今日も生きてけますありがとうございます。

じゃあない。冷静に、開放感あってでも人気のない場所。


「こんにちは、あの時間ありますか?

俺話したいことあって、すぐ終わります。

あ、ここ暑いですよね。そこのカフェでお茶でも。

あ、あの奢ります。いや奢らせてください。

人もいるし、いやその変なことするつもりないですけど、人いた方が安心かなって。

ほんとすぐ終わりますんで。

その、あの、どうでしょうか?」


もうちょっとどうにかならなかったのか俺。

アリスちゃんは困った顔に少し笑みを浮かべてはいと返事してくれた。

怪しさ全開の男になんて天使な反応。

ありがとう、ありがとうございます。

でも怪しい男にはついていかないでください。

俺だったからよかったものの、他の男は信用しないで。


二人でカフェに入り、奥の角で丁度観葉植物で目隠しされた席に座る。

ここなら目立たないし、今の時間店内チラホラしか学生いないし、BGMが程よくなってるので大丈夫だろう。

外気温でかいた汗か冷や汗かわからない汗が背中をつたう。

とりあえず、トレーから俺はアイスコーヒー、アリスちゃんはアイスティー頼んだものをそれぞれの前に置く。


「その、この前はすみませんでした。

いきなりしかもよく知らないやつからびっくりしましたよね。

あ、俺、建築科二年、日野慎太郎って言います」


カバンをあさって学生証を取り出し見せる。

アリスちゃんはこくりと頷いた。


「私、朝川アリス、同じく二年生で史学科日本史専攻です」


めっちゃ存じ上げております。

大丈夫です。プロフィールもちょっとだけなんで、体重とか身長とか知らないのでほんと大丈夫なんで。

一人心の中で言い訳を重ねる。


「すみません、今日も先日も急なことして。

あのこの前のやっぱり聞かなかったことにしてください」


アリスちゃんは驚いたのかパチパチと瞬きの数が多くなった。

あー可愛い。

この距離でアリスちゃん見れるとか、今日俺死んでもいい。

ニヤけないように口に力入れるが、目にも力入りそうなのでやめた。

いやでもニヤけてる方が気持ち悪いか?

でも目に力入ると余計に人相悪くて脅してるようにも感じないか?

どっちが正解なんだ?


「……やっぱり私のこと嫌になった?」

「ち、違います!

あなたのことは好きです。

問題は俺です。人相悪いし、ストーカーまがいのことしてたし、あ、安心してください。今はしてません。

俺みたいな気持ち悪いのき付き纏われてもご迷惑だろうから忘れてください」


お願いします切実に。

もうこれからひっそり暮らしてアリスちゃんが忘れた頃にひっそり死にますから。

どうか、どうか忘れてください。ご慈悲をください。


「ストーカーまがい?私が出したゴミとか集めてるの?」

「いや断じて集めてないです。神に誓って集めても触ってもないです。ゴミじゃない宝物とかでもないです。ゴミ箱の中に入ったのは触ってないですし、私物も盗ったりしてません」

「写真撮るの?」

「それも大丈夫です。撮ってません。

あのその、遠くから姿探したり、図書館よく利用されてるの知ってたのでタイミング合わせて会ったりとかしてましたすみません」


待て今日も待ち伏せになるよなこれ。

え?めっちゃ気持ち悪くないか?


「今日もすみません!

言い訳するなら今気づいたんです。待ち伏せのつもりなくて、ほんと気持ち悪くてすみません」


全力で頭を下げる。

やっぱり今日埋めてもらおう。

アリスちゃんが幸せな毎日をおくれるよう祈ろう。

ちょっと待てそれはそれで未練になって幽霊になりアリスちゃんに憑きそう。

いやいやそれこそストーカーの究極体じゃん。

えーアリスちゃんと関係ない人物、田中思い浮かべてたらいい?

田中なら許してくれそう。


「あの頭あげてください」


そうだよな、いきなり頭下げられても怖いよな。

ゆっくり頭を上げて、できるだけ視線があわないようにしながらアリスちゃんの様子をうかがう。

何か考えてるのかアイスティーの中の氷をストローでかき回しながら下を向いて黙ってしまった。


ううめっちゃビジュ良い。

ずっと思ってるけど、この距離に俺いていいの?

飲み物代だけじゃ足りないと思うんだよね。

あといくら課金したらいいのだろうか?

手渡しは恐れ多いので振り込み先を教えてください。


「思ったのだけど、日野君はストーカーじゃないと思う。

好きになったら会いたいと思うし、目でその人追いかけるもの。

さっきはびっくりはしたけど、日野君のこと気持ち悪くないよ」


お慈悲、お慈悲をいただきました。

アリスちゃんの足元の平伏したいのをグッとおさえる。

それやったら絶対引かれるし今度こそ気持ち悪くて嫌われる。

アリスちゃんのお言葉はまだ終わってないようなので神妙に続きを聞く。


「日野君から好きですって言われて嬉しいです。

私も日野君のこと蛇さんみたいで可愛くて好きだったので友達になれたらと思ってたから。

この前言われた恋人になってって言われた時びっくりして何も言えなくてごめんなさい。

私なりに恋人や友達との違いについて調べたり考えたりして、ドキドキするかどうかって言う考えにまとまりました。

この前手を握られときドキドキしたから友達じゃなくて恋人になれたら嬉しいと思ったの。

でもやっぱり私じゃ迷惑だよね」

「全然迷惑じゃないです。

え?俺の彼女になってくれるんですか?

嘘じゃないですよね。本気ですか?

あ!お金振り込ませてください。

なんでも言ってください。気に入らないとこすぐなおしますし、欲しいものなんでも持ってきます」


途中、俺のこと可愛くて好きという謎すぎるフレーズが引っかかったが、その後の言葉に驚きと歓喜と共に疑問が襲ってきた。

思わず逃すまいと口にだすがそれを聞いて、アリスちゃんがまた困った顔をした。

ですよね。

アリスちゃんは罰ゲームで嘘告するような人じゃないし、お金振り込ませるタイプでもない。

田中にも落ち着けって言われてたのに、いやでも落ち着けないだろうこの状況。

俺のこと好きって天使が言ってるんだぞ。

やっぱり今日俺死ぬんだ。

いい思い出すぎて死んでも大丈夫な気がした。


「嘘じゃないし、ほんとだよ。

あとお金は大丈夫なので、振り込まないでください。

じゃああの握手しましょう、お付き合いお願いしますの握手」


何それ可愛い。

おずおずと出てきた小さな手を両手で握る。

するとアリスちゃんが俺の目を見てびっくとした。

え?やっぱり嫌なのか?

言いにくそうにしながら口を開く。


「その目やだ。

食べられそうで怖い。

いつものにしてほしいです」


その目?いつもの?

俺が困惑していると、アリスちゃんがホッとした顔をした。

え?結局どの目だったんだ?


「これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


アリスちゃんが嬉しそうに笑うので、見惚れて聞けず結局目のことはわからずじまいで終わった。

とりあえず伊達メガネ買おう。

慎太郎君と付き合うことになった。

わたわたして可愛かったなと先ほどのことを思い出す。

自分の素直な気持ち伝えられてよかった。

慎太郎は嫌がらずに受け入れてくれたし、私が喋るまで待ってくれるし、ちゃんと最後まで聞いてくれる良い人だった。


でもやっぱりあの目は怖い。

伝えたらすぐやめてくれたので嬉しかった。

慎太郎君は困惑していたのであの目は無意識かもしれない。

自分に置き換えて考えてみたけど、目って言われてもわかんないよね。

どうしようもないし。

そこは慎太郎君に申し訳なく思ったがやっぱり怖いのは怖い。


あのあと交換したLIMEを見ながら、考える。

メッセージ送っても良いかな?なんて送ろう。

いやでもめんどくさいかも

とうだうだやっているうちに寝る時間になってやめた。


明日、また考えよう。

おやすみなさいと電気を消した。


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