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こいこい荘はそこを曲がったところですよ  作者: 蜂蜜
Q.今の状況を二単語であらわすなら?

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25/28

求婚者と狐と説教と、え?二単語?えーどうしよう

アリス視点

後書き碧視点

「あのー僕どうやって帰ればいいですか?

ティシュしか持ってきてないのですが」


そうだよね、靴もなければどう見てもお金も定期もないのだ。

連れてきたえんさんを見れば、あ、みんなと目線が合わせないようにしてる。


「それに寝てる間に何かあっては怖くて、えんさん責任とってくださいますよね」

「責任って」

「都合の良い時だけ呼んでおいてあとはぽっいですか?

そうですか、そんな無責任な方だったんですね」

「人聞き悪いな、わかったよ寝てる間の世話をすれば良いんだね」

「ありがとうございます」


というやり取りがありえんさんの部屋の近くで歩君は寝ることになった。

これが一昨日前。

二日経ったがこいこい荘は今お通夜みたいにシーンとしている。

一昨日は酷いことしてしまったこいこい荘はまだみんな反省中。

そんな朝、「おはようございます」と軽やかに出てきたのは歩君。


「皆さん暗いですね、こんな清々しい朝なのに」


花粉症から解放されて嬉しそうにくるくる回ってる。

何故か着物姿だった。

あの面白い服はどうしたんだろうか。


「あ、この格好ですか先ほどシャワー貸してもらったので着替えをえんさんに借りました。

何故着物か僕もわかりませんけど、今なら何でも受け入れますよ。

で何で皆さん元気ないので?」

「その今回はやりすぎたかなって」

「えー反省してたんですか?

あんだけ言っても反省のはの字もなかったのに?

大丈夫ですよ。だいたいいつもこんな感じだから男性陣もすぐ忘れますって」


はははって笑ってるけど、そうなのだろうか。

でもそれって今までも酷いことしてたってことじゃないのかな。

元気付けようとしてくれたんだろうが、それすら申し訳なくて逆にみんな落ち込む。


「あーじゃあ楽しいこと考えましょう。

例えば葵様と祇園様の婚約パーティーとか?

内々でいつもよりちょっと豪華な料理出して飲み食いするのも良いんじゃないでしょうか」

「それ楽しそう!!」


私が真っ先に反応すると、みんなも後からそうね、楽しそうと声をあげてくれた。

そうだよね、いつまでもくよくよしてても仕方ないよね。

反省したのだから次しなければ良いじゃないかと開きなおる。

慎太郎君も大丈夫って言ってくれたし、その時に嫌な臭いもなかった。

本心から許してくれてるのだ、良しとしよう。


「私、ケーキ、大きの、作る」


七海ちゃんの発言におーと歓声があがる。

じゃあ私は何しようかな。


「じゃあ僕は唐揚げ作ります。

葵様と初めて会った日の一品ですし、僕唐揚げだけは美味しいの作れるので」

「では残りの料理はケータリング…いえ人目があっては気を使われますよね。

デリバリーをお願いするのはどうでしょうか?

お祝い事ですので派手でいきましょう」

「自分バーテンダーごっこしたい」

「私もしたい!」


そんな面白そうなこと一人だけずるい。

私もあのシャカシャカしたい。


「会場はどうします?

ここでもありですけどせっかくならバーカウンター付きのスペース借りますか?

えんさんどうします?」

「え?私?好きにしたら良いんじゃないかな。

冷たい言い方に聞こえたらすまない。

といのもそう言うのは疎くてね。

みんなの頑張りを無にしそうで怖いかな。

あ、でも妹のために盛り上がってくれるだけでも嬉しいんだよ」


まぁ確かにえんさんちょっと趣味かわってるし本人がいいならいいのだろう。

そこにはいっと縁さんが手をあげた。


「私、葵様にウェディングドレスを贈りたいです。

我儘言って申し訳ないのですが一から自分で作りたいと考えてます」


いつも主張しないでニコニコ見守ってる縁さんが自分の意見言ってる。

あの中があまり良くなさそうだった葵様のために作りたいってすごいことじゃないかな。

縁さんの中で何か変化があったのかもしれない。

碧ちゃんが来て半年くらい経った。

その頃から何かみんな変わっていった気がする。

前も仲良くしてたけど、今はより深く仲良くなった気がするし、苦手なことにも挑戦したり、自分の意見も言える。

良いように回り始めたんじゃないだろうか。


「ごめんくださいまし」

「はーうぐ」


碧ちゃんが返事する前に歩君が口を手で被い塞ぎ、しぃーと口の前で人差し指をたて静かにとジェスチャーをおくった。


「お邪魔いたします」


知らない男の声が玄関から響き、ガラガラと戸を開け中に入ってきたのが聞こえ歩君があーと残念そうな顔をする。

リビングの戸が開き、ヒョロっとした紺の着物を着た男の人が入ってきた。


「これはこれは綺麗どころが選り取り見取りで」

「招き入れた覚えはございません。

お帰りください」


歩君が一歩前に出ると、男の人が着物の袖で口を押さえる。


「余を誰ぞ心得ておる?」

「お帰りください」

「坊ちゃん勝手に入ってはいけやせん」


あ、この前の猫ちゃんの商人さん。

お知り合いなのだろうか?

だったらなんかこの人嫌な気がするから連れ帰って欲しい。

歩君が帰れって言っても聞かないし土足でズカズカ中に入ってくるし何だこいつ。

白がこれまで見たことない顔で吠え、縁さんの腕から逃げ出し男の腕に噛み付いた。

慌てて止めに行こうとすると歩君に止められる。


「離せ、えい離れぬか」

「みんなさんこの方に近づかないように、白百合、ハウスだ。良い子良い子」


白が犬から人間バージョンに変化し、ハウスと言われたのが気に食わないのか歩君に訴えかけてた。


「あゆあいつ悪いやつだよ。白が噛んで腕もぐよ」

「もがないよ。いい?白百合はみんなを守ってね。

こいつの相手は僕とえんさんでやるから」

「わかった助けてだね」

「うん?なんか違う気がするけど、任せた。

では改めて、うちの主人も歓迎しておりませんお帰りを」

「余は嫁を一人貰い受けにきた。

余が自ら迎えに来てやったのだ。その態度はなかろう」

「うちは先約ばかりなのでお間違えでは?

お引き取りください。

主人の怒りに触れる前に速やかにお帰りを」


どちらも一歩も引かず、ピリピリとした嫌な雰囲気だ。

男がリビングの入り口付近にどかっと座った。

多分困った顔?した猫ちゃんに袖を引かれても、そっぽをむいて懐から扇子を出し扇いでいる。

扇ぐほど暑くない。優雅さを出したいのだろうか?

何がしたいのかわからないが一つ一つがなんかむかついてきた。

嫁云々言ってたけど、絶対こいつのにはならない。


「余は帰らぬよ」

「えんさん……腕一本くらいいいのでは?」

「腕一本くらいっと言いたいんだけど、ここで血みどろはちょっとね」


うーんどうしようかってえんさんが唸っていると、玄関が乱暴に開く音の後、バタバタ中に入ってくる足音がした。

最近この音も聴き慣れたな。

あ、やっぱりお兄さんだ。


「ああこいつか、美琴に求婚してると言う浮かれた奴は」

「お義姉さんというかここにいる女性全員に求婚したみたいなもんですね。

僕も腕一本なら許可がおりたんですが、何せスプラッタ禁止令なのでうまくいかず」

「そうか、では俺は首で我慢しとくよ。

これは一応柔道の技にあるが実戦、不審者に対してあまりおすすめはしないな」


歩君と会話しながら男の人の背後からうでを回し首を絞めていた。

「いいかこの時に足でこう押さえると逃げられにくい」と歩君に教えているが、その大丈夫なのかな?

男の人が苦しそうにお兄さんの腕を叩いているが構うことなく解説を続けてる。

わかりやすいけども。いいもかな?


そんな中また玄関の開く音がしてバタバタと複数人中に入ってくる。

慎太郎君と三嶋君と前原君が一気に入ってきた。

何だろう誰が呼んだのだろうか?


「悪いな首は貰った。歩は腕一本あとで貰うらしい」


あ、白目剥きそうってとこでお兄さんが一旦離し顔をペチペチ叩いてる。

お兄さんの力弱まったところを見計らっていたのか男の人はぬるん(気持ち悪く本当にぬるんだった)と抜け出して狐の姿になった。

宙に浮く狐、を見上げる私たち。


「余は   の狐ぞ。ただの人間が易々と触れて良いわけがなかろう。

さっさと嫁を差し出せ」


白が小さな背をいっぱいに伸ばし箒で何回も叩き狐を落とした。

キャンと痛そうな鳴き声をあげよろよろと地を這う狐に追い討ちで箒で叩いてる。

白はいつも縁さんの影に隠れてるのに、この狐のことよっぽど好きじゃないんだろうな。


「何じゃ騒々しいの、   の狐が何故ここに?」

「ああ          様こやつめらに余の……え何故      様がご一緒で?

余と婚姻を結んでくださるとお言いになられたではありませんか」

「?言うてはおらぬぞ?」


葵様は祇園様に片手抱っこされ腕の中でキョトン顔してる。

祇園様に睨まれ震えながらも狐が頑張って葵様に話しかけてた。

いつのまにか隣にきた慎太郎君と手を繋ぐ。

不謹慎だけど神様の修羅場、面白そう。ワクワク。


「でも余にいつでも薬を作ってくれるって」

「?薬師だからな。患者には薬を作るぞ?」

「余に手紙もくださいましたよね。

薬の飲み方など遠回しではありましたが私のこと気に入ってると」

「???薬の飲み方を書いた紙にそれ以上の意味はないぞ?」


「そんなー」と狐がシクシクと泣き出してしまった。

狐って涙出るんだ。

それともこの狐がなんちゃって狐だからだろうか。

どっちにしても勘違い狐帰って欲しい。


「すいやせん、坊ちゃんは思い込みが激しくて。

何回も止めたんですけど聞きやしませんで、ほんとご迷惑おかけしやした。

ほら坊ちゃん行きやすぜぃ、だから言ったでしょここにあなたのお嫁さんはいないって」

「いや皆に連れて帰ると宣言したのだ、この際誰でも良い連れて帰るぞ。皆が宴の準備をし待っておる」

「待ってはおりゃあせんです。

皆わかってやすから大丈夫ですって。

それよか他の神様方に睨まれてはお父上になんて言われるか」


うーんさっさと家に帰って二度と来ないで欲しい。

追い出したいけど、この思い込みの強い方に近寄っただけで求婚したみたいなこよ言われそうだな。

だからか誰も喋らないし怖いので目線も合わせないように頑張っている。


「車から新しいクレート持ってくる。

それにこいつを入れて持って帰って貰おう」

「そうですね。えんさん、この方のお家わかりますよね。

苦情と慰謝料請求しましょう。

その際、祇園様と葵様もお名前をお貸しいただければと思います」

「よかろう許可する。がっつり脅せ」

「…妾のせいか?」

「大丈夫です。葵様のせいではありません。

この方がまだ子供の域を出ていないようなので親のせいです。

なのでしっかりがっぽり搾り取ります」

「ほらー坊ちゃんあの旦那怖いんですから、これ以上被害出す前に帰りやすよ」


嫌だ嫌だ言いながら首根っこ掴まれ連れて行かれてる。

さよならもう来ないでね。


「結局何がしたかったの?」

「さぁ?」


私の問いに優しい慎太郎君でもフォローできなかったらしい。

仕方ないよ。いきなりきていきなり帰るんだもん。

狐の考えることってよくわかんないや。


「ところで皆さん何故お集まりに?」

「何故って歩お前が呼んだだろ」

「呼べませんよスマホないし」

「ダイヤ君に頼んであゆのスマホで白が呼んだの」


白はえっへんと腰に手を当て胸をはった。


「大事なのはまず自分で守らなきゃでしょ。

あゆばっかりさせちゃダメ。

あゆはあゆでみんなに言わなきゃダメでしょ。

ほうれんそうっていうのしないから三嶋が鏡子ちゃんにバシンってしたんだからね。

あとお父さんもしっかりしなきゃでしょ。

どうしようじゃダメ。

お父さんなんだからしっかり群れ守らないとダメでしょ」


こんな感じで一人ずつ白から説教された。

生後半年くらいなのに

なんてしっかりしたわんちゃんなのだろうか。

怒ってるのに可愛いと思ってしまった。

よく見てるな、子供の前では変なことできないね。


長い長い説教が終わり、なんとも言えない空気になる。

喋ってか怒ってか疲れたのか白はお茶を飲みながらまだムスっとした顔をしてた。

うーん、今聞いてもいいかな?

でも言わないとみんな集まってる時ってあまりないし。

あのーと恐る恐る手をあげる。


「あのーえんさん例のあれ御二方に相談しないでいいですか?

主役の予定もありますし」

「そ、そうだね。

ごほん、まだ大まかしか決まってないのだけど、葵と祇園の婚約の祝賀会をしようかと言う話が出てるのだがどうだろうか?」

「そうなのか!それは嬉しいのじゃ。

祇園良いじゃろ、何じゃ参加せんのか?」

「いやするが…縁切りお前がそんなこと言い出すなど何か企んでいるのか?」


えんさん……そんな信用ないの?

友達ではなかったのだろうか?

可哀想……。


まぁえんさんのことは置いといて、お茶でもいれに行こう。

立ち上がりキッチンに向かうとと慎太郎君も一緒にきてくれた。

話長くなりそう。

お茶をいれながら、小声で慎太郎君と会話する。

白は何と言って呼んだんだろう。


「今日心配した?」

「もちろん!アリスちゃん誘拐されるかも知れないって聞いたら居ても立っても居られないよ」

「そっか」


急いできてくれたのかな。

すごく嬉しくて、慎太郎君の小指に自分の小指を絡ませた。

さっきまでいたえんさんは忙しいらしく今はいない。

えんさんと交代で歩の様子を見ている。


寝てる?

歩の頬をつつくが起きる気配はない。

歩は薬を飲んでその後が心配だからと泊まっている。

えんさんの近くの客間、何故か洋風の室内で天蓋付きの歩が寝てもまだもう一人寝れそうな大きなベッドに眠り姫のように寝てる。

寝顔はまぁ可愛いのでは。

イタズラで揺らしても突いても起きない。

本当に起きないんだ。


何となく、歩の隣で寝てみる。

うん、落ち着く。

なんか眠くなってきたし、まだ起きるまで時間があるし、ちょっとだけ寝よう。



は、本気寝してた。

隣を見るとまだ寝ている。

うん大丈夫。

そろーと抜け出そうとするとくくくと小さな笑い声が聞こえた。

歩を見ると口元があがって体が震えてる。


「起きてる?」

「いえ、寝てます」


頬を力強くつつく。グリグリとめり込みながら。


「痛いですって」

「嘘つく子にはちょうどいいじゃないの」

「だって、くく可愛いことしてたので」

「可愛くない、眠くなっただけ」

「そうですね。うーん、ハグしましょう」

「なんで」

「えーダメですか?」


今更かわい子ぶっても可愛くない。

寝そべり布団の中から腕を広げるのでしぶしぶ戻って腕の中におさまる。

歩の匂いが濃いなんてちょっと変態みたいなこと考えてしまったのですぐ忘れることにした。


「僕何もなかったですか?」

「特に変わりなかったよ。角も牙もはえてない」

「安心しました。

見守ってくださってありがとうございます。

にしても葵様にも感謝です。こんなスッキリしたの久しぶりで夢のようです。

碧さんこっち見てください」

「何?」


顔を歩の方に向けると、額にキスされた。

びっくりしていると今度は頬にキスされる。


「何して」

「この前の仕返しです。

次は口にしても?」


歩の指が唇をなぞるので、手を払う。

睨むとチュッと軽くキスされた。


「またしても?」

「ダメって言ってもするくせに」


歩はまた笑ってキスしてきた。

嫌じゃないのが悔しい。


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