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こいこい荘はそこを曲がったところですよ  作者: 蜂蜜
Q.今の状況を二単語であらわすなら?

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22/33

文化祭と青春とか?…やっぱ恥ずいからなしで

前原視点

後書きは碧視点

江口がいちじくのタルトを作ったと聞いて休みの練習後に飛んできた。

昼飯がまだだったのでそれもご馳走になる。

あー江口はすげーな。

こんなうまいの毎日のように食べてるここの住人が羨ましすぎる。


例に漏れず葵様と祇園様がいたが気にしない。

歩もいたがいない方が困るので、ずっとここに住んだら良いと思う。


「このたるとというやつ美味じゃな。

七海は本当に何でも上手く作るのう。

特に今日のいちじくたるとは気に入ったぞ。

褒美をやられば」


褒美の言葉にみんな焦る。

刀とか貰っても困るのは歩で実証されてる。


「そう焦るでない。妾も馬鹿ではないわ。

今世のことも学んでおる。

刀など危ないものではないぞ。

ほれ、珊瑚の髪飾りじゃ、可愛かろう」


あ、普通だ。

赤い玉とピンクの玉が連なった簪を江口に渡していた。


「珊瑚は厄除けにもなる。

お主は厄介事に巻き込まれやすい体質のようじゃしお守りに持っておれ」

「あり…と…ます」


だいぶ声が出るようになったがまだ完璧ではないお礼だったが満足そうに葵様は頷いた。

上田先輩に簪をつけてもらってはしゃぐ姿に心臓が痛い。

はぁーもう一緒に住んで毎秒俺にその可愛い姿見せて欲しい。

連れて帰りたい…おおっとやべー。

日野さんの思考が乗り移ってた。

あの人と同じ思考は流石にやばいからな。


あーでもはしゃぐ姿可愛い。

教室だと大人しい感じでお澄まししてるから余計にレアに感じる。

今日呼ばれたのだって俺だけだったから、俺もう特別じゃね。

もう彼氏と言っても良い気がしてきた。告ってないけど。

いつ告るの?

今でないことは確かで、こんなワーワー言ってる場所じゃないのは明白だ。

かと言って学校では上田先輩ががっちりホールドしてるし、休みの日には上田先輩達がついてくる。

いつだ、いつになったら言えるんだ。

いや明確にされても言える度胸がまだないのだが、そのうちポロッと言ってしまいそうで焦ってる。

俺も漢としてちょっとはカッコつけたいのだ。

周りのキャラが濃すぎて埋もれてるけど、同世代の歩は最近人間やめそうだけど。

気になって仕方ないけど、俺は負けない。

何と戦ってんのかわからんけど、負けない。


まぁそれはそれとして、久しぶりにあった歩に声をかける。

上田先輩が睨んでる気がするが気にしない。

じゃないと俺まじでただタルト食べにきた人になる。

ほぼ空気だ。負けない俺負けない。


「もう少しで文化祭だけど、来んだろ?

俺たちのクラスはお化け屋敷。

歩には刺激が少ないだろうけど、結構本格的なんだぜ」

「行く行く。

LIMEのやり取りで聞いてたけど楽しそうだよねー

僕のとこはお利口さんだから展示だけ。

全学年そんな感じだからあんまり面白味ないよ」

「マジかよ、流石坊ちゃん校。

真面目すぎて、俺では無理だわ」


はははって二人で笑って喋っていたら、上田先輩が白百合ちゃんを俺たちの真ん中に座らせた。

わざわざこんな狭いとこに座らせなくてもいいのに。


「白はね。お母様が集めた枯葉につっこむのが楽しいの

バサーってなってんだ面白いんだよ」

「それは楽しいね」

「そうなの、あとねななちゃんが作ってくれるお芋のクッキーが好きなの。

あとねあとねちょっと寒くなってきたからお母様と寝るとあったかいの。

お父様は別だよ。

何かうるさいから別なの。

ねぇこれ良いでしょ。

前原にはあげないよー。

ななちゃんが白のために作ってくれた特別おやつなの

ちっちゃいお芋の蒸しパンがいっぱいだよ

今日のはゴロゴロ入ってるの良いでしょ」


白百合ちゃんは喋る喋る。

あとおやつをドヤ顔で見せるの何なんだ。

飼い主?の悪いとこそっくり。

上田先輩も昨日この顔しながら俺に江口特製クッキーを見せつけながら食べてた。

なんか腹たってきた。

が俺も高校生だ。

小さい子のおやつを取り上げる真似はしない。


「あゆはいつも良い子で頑張ってるから一つあげる」

「ありがとうお礼にぎゅー」


歩は一口サイズの蒸しパンを口に入れて貰うとぎゅーと白百合ちゃんを抱きしめていた。

すご、俺にはできない。

二人でキャッキャして白百合ちゃんはふーと息を吐いて今度は俺に向きなおった。


「前原はねー残念な子だけど頑張ってるから一つどうぞ」


口に持ってきたのでちょっと照れながらあーんとうけとる。

モゴモゴしながら「美味しいありがとう」と言ったが、やれやれって顔された。


「前原は前原だなー

これはななちゃんが白のために作った特別なおやつなのになー」


なんだ?

なんでこんな呆れられてる?

後ろで歩がぷっくすくすと隠れて笑ってた。


「もう!前原なんだから!

ちゃんとぎゅーしてありがとう言わなきゃでしょ」

「おおう」


そうなのか?

前原が若干悪口のように使われてるのは気のせいではない。

まぁよくわからないままハグしてありがとうを言ったらまた「さっしなきゃダメでしょ」って怒られた。

女の子は成長が早いと聞いたことがあるけど、これは早すぎませんか。

おい歩笑いすぎだろ。

「もう!あっち行くからね」

「おおう」

「もー!もー!いいもん、ななちゃんきいてー」


とおやつの皿をしっかり持って逃げていった。

歩は笑いすぎて過呼吸気味だがほっとく。

女の子難しすぎる。

俺に将来女の子ができても対応できない気がする。

男ならなー弟いるし扱いはわかる。

とりあえずボール投げとけば何とかなる。

男は体力女は気力だろうか。

笑いすぎてピクピクしてる歩の足を蹴る。


「そんな笑うとこねーだろ」

「うぅくぅ…悪い…んふふふ」


マジ何にツボってんだか。

足をゲジゲジと机の下で蹴るがいっこうにおさまらない中、何故か今度は上田先輩が俺たちの間に入ってきた。

狭いどころの話ではないので、一人分ズレる。

上田先輩意味不明期間まだ継続してたのか。

そして何故か俺が睨まれる。

マジで勘弁して欲しい。

別に歩をいじめてないし、逆にいじめられてるの俺なんですけど。

言いたい。

何すか?って言いたい。

でもいつも以上に視線の圧で黙ってしまった。

最近マジで怖いのだが、江口との仲を邪魔される時より怖いのだがなんかした俺?

とりあえず視線に耐えきれず、適当に話題振って歩にパスしよう。


「あー先輩文化祭何やるんすか?

歩当日来るそうで、先輩とこにも寄るよな歩」

「はー笑った笑った。

碧さん文化祭、何の何係ですか?

一緒に回れたりします?

他校の中って見る機会ないじゃないですか。校内案内して欲しいです」

「…焼きそば屋さん、当日は朝材料切るだけ。

まぁ一緒に回ってあげてもいいよ」

「嬉しいです。一緒にまわりましょうね」


俺の横でいちゃつかないで欲しい。

居心地悪いので江口の方に移動する。

それまで江口とおしゃべりしてた白百合ちゃんが何かスイッチが入ったらしい。

「前原だーたおせー」って言われてけど、こっちの方がいい。

戦いごっこなら得意だ。

危なくないように転がしたり俺がやられたふりで倒れたりしてると興奮しすぎたのか人間から犬になった。

毎回思うが人間時の服どこいったんだろう。

考えていると服の裾を噛んで首を振ってきたので破れてはやばいと思って服を脱ぐと悲鳴が上がった。

あ、やべ上半身裸はやりすぎた。

縁さんが青ざめて隣のえんさんはこっちを睨んでるし、白百合ちゃんは興奮して俺の服咥えて振り回してるしでカオスだ。


「白百合ちゃん返して、俺死んじゃうから」


引っ張り合いっこだと思ったのか服を咥えて返してくれない。

楽しそうなとこ悪いけどめっちゃ伸びてるしめっちゃ後ろ怖い。


「白ちゃん」


江口が白百合ちゃんを呼びクッキーを見せると現金なことで服を離して江口の足元にちょこんっと座ってる。

デロデロに伸びて涎が染み付いた服を着れば、歩が爆笑してた。

俺何か悪いことしました?

えんさんに斬られなかったことだけよしとしよう。




と言うことが先週あったが、今日文化祭では俺の方が爆笑している。

目の前の歩は何故か美少女メイドの格好で上田先輩と焼きそばありますと言う看板持って俺のクラスまできた。

他校まで来て何やってんなだこいつ。


「気はすんだか総真」

「…いや無理…何で…美少女からイケメンボイス…おま絶対わざとくくく」

「もう焼きそば食べに来てくれないと泣いちゃうからね」

「ひーはっはは、何そのぶりっ子やばい」


腕絡ませてくんな。やべーさぶいぼたったじゃねーか。

上田先輩は相変わらず睨んでくるし、歩はふざけてるし散々だ。

だいぶ笑いも落ち着いてきた頃、後ろから腕を取られた。

江口がムスッとした顔で俺の腕にしがみついてる。

え?何これ俺今日死ぬのでは?


「だれ?」

「歩ちゃんです」


歩は両手を顎の下においてぶりっ子ポーズで決めてる。

聞いた江口がポカンとしてるだろマジやめろってそのキャラ。


「さて、総真も散々からかったし、碧さんいきましょうか。

あ、お化け屋敷入ります?」

「……どっちでもいい」

「じゃあやめときますか。

一般人殴っちゃ可哀想ですし」

「一般人じゃなくても殴るなよ」

「ははは、殴らないとやってらんねーよ」

「歩、猫逃げてる」

「あ、やばーいテヘペロ」


舌出すな、頭こずくな、ぶりっ子すな。

俺の腹筋、明日絶対筋肉痛になってるってくらい笑った。

江口はまだポカンとしてるので、大丈夫かと声かける。


「あゆむくん?」

「そうだよ。え?わかってなかった?

それはそれで恥ずいんだけど」


めっちゃ身内ノリだったもんな。

また爆笑してると歩に軽く尻蹴られた。

パンツ見えんぞ、とまた笑う。


「碧さんこんなやつ置いていきましょ」

「そうだね」

「総真看板で殴られないだけマシと思うんだな」


不穏しかないセリフを吐いて消えていく。

雑魚キャラだ。

もう何してもあいつおもろいと一人笑っていると、クラスの山田と谷口がこっちにきた。


「なぁさっきの子友達か?」

「ああ他校のだけど」


なんか嫌な予感しかしない。


「紹介してくれないか?」

「いやあいつ」

「わかってる。俺達みたいなやつとは釣り合わないけど、同じ空気を吸いたい」

「あれ男だけど」


絶望しながら帰っていく山田とワンチャンいけるかと不穏なこと言ってる谷口を見送る。

歩おまえすげーよ。

今日のMVPだよ。爆笑しかない。

袖を引っ張られ、江口が上目遣いでこっち見てくる。

可愛いけど何だろう。

……は!上田先輩という邪魔者がいないのだ。

一緒に回ってくれないだろうか。


「一緒に文化祭回ってくれますか?」


にっこり笑って頷いてくれた。

よっしゃ!!!と心の中でガッツポーズをした。

絶対今日告る。



結論から言うとまた駄目だった。

午前中一緒に受付して、午後は一緒に回って夜はキャンプファイヤーの周りを一緒に踊った。

最後の花火を一緒に見ながらここだと思う時に藤に邪魔された。

まさかの藤の乱入で終わるとは思ってなかった。

しかも藤は大塚に告ってOKもらったらしい。

それをわざわざ俺に伝えにきてくれるのは嬉しいよ。

でもできたばかりの彼女ほったらかしてていいのだろうか。

そのことを伝えると走って帰って行った。

そう言うとこだと思う藤。

この流れで告白はついでのようなのでやめた。


「また…きかせて…ね」


こてんと頭が俺の肩あたりにもたれてきたのあざといのに可愛いすぎる。

もうこれカレカノじゃね。

告らなくてもよくないか?

思いは通じ合ってるんだしと思ったが聞かせてねと言われたので次回頑張って告白することにした。

今はこの幸せを堪能して今日を終わりたい。


最近歩といるとつまらないのだ。

二人で話したり遊んだりする分には楽しい。

でも第三者が出てくると途端につまらなくなる。

今日もせっかくの文化祭だと言うのに歩はクラスの女子のおもちゃになってつまらない。

ヘラヘラしてんなよって言いたいが我慢する。

歩は猫十匹くらい飼ってるからね。

外面はいいのだろう。

あーやだやだなんでこんな嫌味みたいなこと考えてるんだろう。

前なら一緒になって歩のことおもちゃにしてたのにな。


「あのそろそろいいですか?」

「えーもう行くの?もっと可愛くできるのに」

「いや僕もう十分なんで」

「じゃあはい看板持って宣伝よろしく」

「客来なかったら君の服返さないから」

「そんな横暴な」


看板持たされ廊下に出される。

にしてもどっからどう見ても女の子だ。

体は筋肉が見えないように長袖ロンスカのメイド服で上手に隠れてる。

まるで歩のために作ったかのようにぴったりだった。

知らない人と歩いてるみたいでなんか面白くない。


「碧さんメイド服着たかったですか?」

「いや無理」

「そっかよかったです。僕も他の人に碧さんのメイド姿見せたくなかったので」


なんだかんだどんな姿してても歩だなと思った。

自分のかわり着たくもないメイド服着るなんて可愛いのにかっこいいと思う。


「とりあえず総真のとこ行きません?

この格好見せたら爆笑でしょうね」


どっち方面ですかーなんて呑気に言ってるのムカつく。

別に前原に見せなくてもよくない。

自分と回るためにきたんじゃないのかな?

動かない自分に手を繋いできた。

こっちですかーって言って手を繋いだまま歩き出した。

逆方向だけどいいやそっちが嬉しい。

…なんで嬉しいと思ってしまったのか自分でも戸惑う。

明確な名前をつけたくなくて、嬉しいと思ったことの逆をする。


「反対方向」

「それ早く言ってくださいよ」


なんて笑う歩は初めて会った時の歩で、でも声は低いいつもの歩で、同じくらいだった背はいつの間にか追い抜かれてた。


ちょっとだけ遠回りしてついた七海ちゃんがいるクラスは前原が呼び込みしてた。

客もまばらだったので歩が前原を揶揄いに行く。

歩が言った通り前原は大爆笑。

それはいいけど君たち最近仲良すぎない?

前原は七海ちゃん諦めるのはいいことだ。

でも歩は自分から前原に乗り換えたんだろうか。

女性より男性と話してる方が好きみたいだし。

自分のことも最初は男だと思ってたみたいだし。

いや実際会った時男の姿だったけども。

歩は男の方がいいのだろうか。

邪魔するのもなんか違う気がして成り行きをみてた。

とりあえず前原は睨んどこ。


前原を散々揶揄って満足した歩はまた自分の手を引き校内を歩き出した。

前だったら嫌だったのに、今は嫌じゃないと思う自分にまた戸惑う。


「次どこ行きます?」

「一回戻ってご飯食べたい」

「あーそうですね。じゃあ焼きそば食べます?

売り上げ貢献しないと服帰って来ないんで」


いつ何時も皮肉を言う精神もう職人だね。

これ言うと怒られそうなので心の中に留めとくことにした。

やっぱり二人だけなら楽しい。

それは何故というのは今日は考えない。

楽しいで良いじゃないか、そう自分を納得させた。

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