え?俺のせいですか?
前原視点
後書き七海視点
「今度さ一緒に前言ってたハンバーガーショップ行かない?
その前に映画観よー。
葵様が映画観たいんだって。
ちょっと遠出するけど大丈夫?
ねー駄目?良い!やったー。
何前原も来たいの?部活は日曜休みだっけ」
もちろん行きたいのでYESと返事する。
「じゃあ前原男一人だと気が重いだろうから歩呼ぶか。
詳細は帰ってから伝えるねー予鈴なるからまたねー」
と上田先輩は帰って行った。
夏休みが終わって新学期に入って結構たつ。
気温も落ち着き徐々に涼しくなり始めた季節の変わり目。
最近上田先輩はおかしい。
前なら江口と出かける予定などこいこい荘で話し合ってから俺に自慢するように言ってきたのに、最近は俺の目の前で誘うことが多い。
それどころか俺まで誘ってくるのだ。
あんだけ邪魔しまくってたのにおかしすぎる。
だからと言って俺の恋を応援してるわけではない。
なのに頻繁に誘ってくるのはなんなんだ?
は!二人っきりにさせないためか?新たな邪魔の仕方を覚えたのか?
色んな疑惑が尽きないが、とりま江口と一緒に出かけられるのは嬉しい。
その点だけ素直に感謝することにした。
俺、江口、先輩、武藤君、あと神様二人と今日は映画を見て今ハンバーガーを注文し商品受け取りのためカウンター横で武藤君と待ってる。
あとのメンバーは席を取ってもらった。
あれ?普通に待ち合わせて映画見て店入って、邪魔らしい邪魔がない。
何もをしてこない先輩が怖いのだが?
最後に何かあるのか?
一人頭を抱えいるが答えも出ず、そっと横を見る。
カウンター前で武藤君がぼーとしながら立っていた。
なんか負けた気がするし実際器用で手際が良い武藤君には色々敵わないどころかお世話になりっぱなしなので武藤君は少し苦手だ。
改めて二人っきりで気の利いた会話も思いつかず、少し緊張しながらに二人ただ立っている。
「あのさ、君付け呼びにくいなら武藤でも歩でもいいよ」
「そっちも君付けだろ」
「ああ、僕は優等生キャラなんで」
自分で言うかとちょっと緊張がほぐれ肩の力が抜けた。
「優等生は自分で優等生いわねーだろ。
そうだな、それ言うなら俺も君付けってキャラでもねーから歩って呼ぶわ。
俺のことも好きに呼べよ。君付け呼びにくそうだし」
「ははやっぱりばれてた。
じゃあせっかくだし総真って呼ぶよ。
クラスに前原二人いるしややこしいから」
「なぁ歩にとこ百合咲だろお坊ちゃん校じゃん」
「いうほどお坊ちゃんしてないよ。
普通の男子校。暑いとパンイチいるしこの前も馬鹿やって怒られてたし、女子いないととフリーダムって感じかな」
パンイチの歩は想像つかないが、陰でいろいろ操って悪い事してそうだなと失礼ながら思った。
「そっちは?碧さんいていいな」
「よくねーよ。
あの人断るごとに邪魔しかしねーし、毎日女子にきゃーきゃー言われてるよ。
それ見せられる俺たちは肩身がせまいのなんのって。
流石にパンイチはいねーけど、たまにばかやると女子に白い目で見られる」
「ははそうなんだ」
思っていたより喋りやすいやつでホッとした。
次の話題に移ろうとした時女子二人組が声をかけてきた。
あーこの感じ逆ナンだと勘が言ってる。
今日は藤いないので気を抜いてたが、めっちゃくちゃモテるって顔ではないが歩もイケメンの部類だ。
上田先輩の隣にいるから目立たないだけで、優しいそうな雰囲気で押せばいけると思われたのかも知れない。
ここは俺が間に入った方がいいのか?と考えていると歩は笑顔で対応していた。
ナンパだと気づいてないのか?
「なんでしょうか?」
「お二人かっこいいなーって思って見てまして、お時間あるなら一緒にご飯でも」
「連れいるから無理です」
「あの彼女さん連れてる方々ですよね。
私達も二人だしちょうど4、4で良くないですか?」
「よくないです。
見えます?今こっち見た綺麗な人、あの人に僕がぞっこんなんであの人以外無理です。
僕可愛い人が好きなので、見た目だけ取り繕ってる人はタイプではありません」
「それ私たちが中身ブスって言ってません」
「言ってませんがそう考えてしまう何かおありで?
あ、今外見もなかなかなものになってますよ」
「さいてー」
「そっくりそのままお返しします。
さっきから気持ち悪い視線よこしやがって
僕らをダシにしてあの二人に近寄ろうとしてんじゃねーよ。
もう少し小声っていうもの覚えろよ。
全部聞こえてんだよ。
連れの悪口散々言われて値踏みされてホイホイ招き入れる馬鹿なんていねーだろ
性格くさってんじゃねーの
は何?事実言われて泣いてんの?
くだらねー涙。お前の涙に価値ねーから。
つけまつげとれて悲惨なことなってんぞ。
さっさとトイレでその顔テコ入れしてこいよ」
「歩落ち着け、どうどう」
女の子二人組は逃げるように立ち去った。
悪口言われてるの全然気づかなかった俺も俺だけど、何言われてそこまでキレてんだ?
優等生キャラはどこ言ったんだよ。
薄薄思っていたが今はっきりした。
めちゃくちゃ口悪いしガラ悪いぞこいつ。
元不良じゃなかろうか。結構力任せなとこあるし喧嘩慣れしてるみたいだし中学生のとき盗んだバイクで走り出した系なのだろうか。
「おまえ、不良か?」
「ははは、ちょーっとやんちゃはしてたけど、煙草も薬も酒もしておりません。
とーても誠実に生きております」
「その言い方なんかやってんだろ。例えば喧嘩とか」
「総真、よく考えてごらん世の中喧嘩したことないやつは生まれたての赤ん坊くらいだろ。
違うか?総真だって喧嘩したことあるだろう小学生のときとか」
それはそうだけど、そうなのか?
あれ?喧嘩慣れしてると思ったけどただ運動神経がいいだけか?
考えれば考えるほどよくわからなくなってくる。
「ぷっは、総真は真面目だね。大丈夫、大丈夫。
中学の時じゃれるくらいの喧嘩はしたことあるけど、そんな漫画みたいに病院送りとかしたことないから。
たむろって遊ぶくらいだよ。
まぁマイルドヤンキー的なもんかなー。
自分より総真の方が不良に絡まれて喧嘩してそうだけど」
「目つき悪いのからかってんだろ。
結構気にしてんだからな」
「悪い悪い」
歩は楽しそうに声出して笑ってる。
つられて笑ってたら背後から寒気がしたので振り向くと上田先輩がこっちを睨んでた。
何?怖。俺なんかした?
腹減ってんの?速く持ってこいってこと?
いやいやまだ出来てないからどうしようもなくね?
「16番でお待ちのお客様」
「はーい」
呼ばれたので取りに行き、みんなのところに戻る。
「お待たせしましたー」と歩が言ったのに対しては普通に返したのに、俺が同じことを言ったら何故また睨むんですか先輩。
もう意味がわからなすぎて怖いこの人。
「はんばーがー初めて食したが美味いぞ。
飲み物も不思議な喉越しじゃ。
うむ、気に入った。次回もここに来たいのう」
「いいですね。次回は何します?」
先輩がそうじゃのーと悩んでいる葵様の相手をしてる隙に江口にLIMEを送る。
俺らもどこか二人で出かけませんか?
こっそり画面を見せると頬を赤くして微笑んでくれた。
なんかもうこれだけで生きていける。
脈アリだよなこれ。
次で絶対告白すると意気込んではいるが、なかなか二人きりにさせてくれない。
どうにか上田先輩を引き離す方法はないだろうか。
やっぱ、頼るしかないのかな。
横にいる歩を見るとニコニコと上田先輩を見ていた。
が、目が笑ってない気がする。
葵様と上田先輩がお化け屋敷やら心霊スポットやら言い始めたからだ。
……相談は後からにしよう。
今は藪蛇だ。俺でもわかる空気の冷たさに早く気づけ先輩。
また説教されるぞ。
盛り上がる葵様と祇園様と先輩。
先輩の横に座っていた江口がそっと腕で小突き咳払いして教えていた。
上田先輩は歩の顔を見てしまったと顔に出し、小さな声で「やっぱりなしで」と葵様と祇園様に伝えていた。
葵様と祇園様も歩の顔を見るなり、焦りだし「そうだな危ないから」と会話を終わりにしていた。
空気の冷たさを感じたらしい。
「はははわかってるじゃないですか」
乾いた笑いが聞こえて、三人は身を縮こめていた。
神様を萎縮させる人間など歩以外にいない気がする。
こいつこえー。
「長居もなんなので食べ終わったら買い物とかどうです?
見るだけでも楽しいですよ」
笑顔で歩が提案してきたので全力で乗っかる。
歩怒らせるのはやめよう。
食べ終わってきたのは同じモールに入ってる女性の服屋。
もちろん俺が入れる度胸があるわけもなく壁に立って眺める。
その横で祇園様に歩がレクチャー?していた。
「いいですか、葵様を見るのはもちろんですが、手に取った商品も見てくださいね」
「何故だ?後から全部買うためか?」
「違いますよ。今後贈り物をする時の参考にするためです。
それに手に取って戻すと言うことは何か気に入らない箇所があったということです。
そんなもんいくつ贈ろうが好いた人でありがた迷惑、その他の人からはただの迷惑です」
「そ、そうか」
ここ最近気づいたことがある。
もしかして祇園様、葵様のこと好きじゃね?
葵様が来ると毎回来るし、席を引いたり外のベンチに座る時手拭いを引いてあげたり。
口に合わないのは食べてあげたり、美味しいと言ったのは自分の分をわけてあげたり、思い出してあげるだけでもキリがない。
……いや幼い妹扱いの線もあるな。
んー?どうなんだ?
だけどもし二人が恋人になるなら
「お似合いなのにな」
「何がだ?」
思った以上の声で考えが出ていたらしい。
バッチリ聞かれる誤魔化す答えもなかったのでそのまま伝えることにした。
不快だと斬られないかビクビクしながら口に出す。
「あの、祇園様と葵様が恋人になられたらお似合いだなと勝手に思いました。すみません」
頭を思いっきり下げるが、何の返事もない。
そろーと頭を上げながら様子を伺うと祇園様は真っ赤な顔で固まっていた。
どっちだ?怒りなのか、照れなのかどっちだ?
ごほんっと歩がわざとらしい咳払いをすると祇園様がそっぽを向く。
「まぁ、いいだろう。
おまえなかなか見る目があるじゃないか。
その好戦的な目も気に入った。
名はなんと言う」
「あ、前原総真です」
「覚えておこう」
「ありがとうございます」
結構何回も会ってるのに名前覚えてもらえてなかった事実より、覚えられてしまった事実の方が困ったと感じてしまった俺は悪くないと思う。
面倒事に巻き込まれる予感しかしない。
歩が肩を叩いてにっこり笑ったので予感は当たるのだろう。
絶対こいつ仲間ゲットだぜって顔してる。
神様の恋愛とか俺にどうこう出来ないって。
自分の事でも精一杯なのに。
何もまだしていていないがどっと疲れたので江口を見て癒されたいと思います。
最近碧君は変だ。
こっそり男になって前原君をコテンパンに負かすことも少なくなったし、男になって三嶋さんにご飯もたからなくなった。(男性の時の方がご飯がいっぱい食べれるらしい)
楽だからと男になってパンツとTシャツだけで部屋をうろつくことも無くなった。(切実に困ってたのでありがたい)
今まではイケメンの皮を被った悪ガキだったのが、今は時々乙女な部分が見え隠れする。
たぶん可愛いのは好きだったと思うけど、最近そのことを指摘すると気まずいのか逃げる。
今も碧君が胸のところにリボンがついたシフォン生地のワンピースを手に取ってじっと見てた。
どうしようかと思ったが長い時間見つめてたので買うのとメモアプリを見せ聞いてみる。
「ち、違うよ。葵様に似合いそーだなーって」
そう言うとワンピースを持って葵様の元に行った。
やっぱり逃げられたか。
今日の碧君はガーリー系の服をよく見ている。
今までの服とは真逆のタイプの服装。
自分で気づいているのか、いないのか。
歩君がさっき嫌味な女子を追い返す時に可愛い系がタイプって言ったのが聞こえたのだろう。
そわそわと気にしてたし、そうじゃないかと私の女の勘が言っている。
歩君のこと意識してると思うんだけど、そこを少しでも指摘するとさっきのように逃げていく。
なかなか難しい。
悪ガキ小学生から悪ガキ思春期に進化したのだろう。
もうちょい進化したら一緒に好きな人の話して盛り上がりたいけど、道のりは長そう。
ふと前原君を見ると歩君に肩を叩かれ困った顔してた。
目尻と眉が下がって可愛い。
けどごめんね。
巻き込まれるのはごめんだ。
存在感をいかに消すか、こいこい荘で巻き込まれないで傍観者として楽しむ秘訣だよ前原君。
もう一回言っとこ、ごめんね自分で頑張って。
私は気づかないフリして商品を眺めることにした。




