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こいこい荘はそこを曲がったところですよ  作者: 蜂蜜
Q.これはあなた(のorが)?

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18/28

はい、俺がやりました

義嗣視点

後書きかりん視点

まだまだ暑いが、夏も終わりの今日この頃。

外ではひぐらしが鳴いている。

俺の心も泣いている。

かりんが「泊まりにくる?」って聞いてきたから意気揚々ときたのに、何故こいつらと枕を並べないといけない。

最近よく見るメンツにため息が出る。

騙された。またわけわからん事に巻き込まれてる気がする。


「はーい騙された皆さーん、今日の気になる呪物はこれビデオです。

僕も二重意味で初めて見ました。

ビデオデッキに入れて再生すると女の人が出てくるそうです」


もう呪物って言ってんじゃん。

出てこられてもらっても困るので帰りたい。


「帰っていいか」

「別に構いませんが、その際はビビって帰りましたとこいこい荘の皆様にお伝えします」


歩のやつ調子に乗ってるだろ。

だが、ビビって帰ったとかりんに思われたくないので大人しくする。


「大丈夫でーす。

僕も騙されたので、もう色々あってはらわた煮えくりかえてまーす。

誰が野郎とのお泊まり会を楽しみーとかねーし、こっちは便利屋じゃねーぞまじ泣かせっからなとか思ってますが、おさえてまーす。

今日は頑張って楽しみましょうね」


あ、こいつも内心キレてるわけか。

色んなものが抑えきれてないけど仕方ない。

騙された俺らが悪いのだ。


「では見る前に簡単に聞いたこと言いますね。

相も変わらず危機感のないこいこい荘の皆様がこのビデオ昨日見たらしいです。

その際は何も起きなかったとのこと。

そんな簡単に起こってもらっては困るんですが、女で駄目なら男なら出てくるんじゃないかってこれまた困った発想をした困ったさんの案が採用され、僕たち安直な餌に釣られて呼ばれました。

で困ったさんとは別に何故何故さんが幽霊って足あるのと素朴で迷惑な疑問を漏らし、クレイジーさんが幽霊捕まえたらどうだろうと言い出しやがりました。

ここまでで何か質問はありますか?」


スッと手を挙げる。


「はい何ですか何故何故さんの婚約者さん」


おいかりんおまえが何故何故さんかよ。

クレイジーさんじゃないだけマシだと思いたい。


「このメンバーで捕まえるか?」

「そうですよ。

はい、困ったさんに片想いしてる方、何でしょう」

「あーそのえんさんの横にいるこの方は」


よく言った前原。

着物姿のどう見ても貴人はちょっと浮いてる。

格好も周りから浮いてるがそれ以上に物理的に浮いているのだ。

頭が色んな意味で痛い。


「人間如きに名乗る名はない」

「はい自己紹介もされたので、僕から軽く説明しますね。

この方は祇園様です。

本当のお名前は我々下々のものにはわかりませんので祇園様とお呼びください。

何故浮いているか、神様だからです。

お名前でわかるように祇園神社の神様の一柱です。

何でここにいるかですが、えんさんもこお見えて神様です。

お二人はお友達です。

そういうことでここに”いる“になってます。

深くは考えないし聞かないでください、斬られますので。

ちなみにえんさんは縁切り神社の神様です。

はいほかに質問は?

はいクレイジーさんの彼氏さん何ですか」

「ちょっと待ってアリスちゃんが捕まえようって言ったの?

上田さん、あ、お兄さんの方じゃなくてですね。上田妹さんが発端じゃなくて?」

「残念ながらそうですよ日野さん。

今回僕とお義兄さんは巻き込まれた方です。

何でお三方張り切って捕まえてくださいね」


頭が痛すぎるぞ。

かりん、神様って何だ?

変な宗教施設だったのかここ?

いや神社関連だから宗教なんだけど、え?どうなってる?

えんさん教祖様か?

何故普通に受け入れてる上田兄と歩。

そして幽霊を捕まえる?

何考えてるんだ。


「ではみなさん気になる捕まえ方ですが、祇園様がこの部屋に結界をはってくださいます。

その中だとこの世のものでは無いものにも触れられるそうです。

で、事前に用意したお札付きのこの縄で縛り上げれば一丁あがりです」

「なぁ歩、本当に結界だけでいいのか?

おまえの手足を切り落とした詫びだ。

幽霊とやらのその女の首、切り落としてもいいいのだぞ」

「祇園様、話聞きましょうね。

そこ意識して直さないとまた嫌われますよ。

今回は捕まえるなので、切り落とされると困るんです。

いいですかみなさん、あくまで捕まえるですからね」

「ちょっと待て歩さらっと流したが、おまえ切り落とされたのか?」

「そうらしいですよ。飛んでいく腕は確認できたんですけど、痛くてそれどころじゃなかったので足は知りませんでしたね。

まぁ生きてるのでそのことは置いといて、幽霊の方が今大事です」


よく置いておけるな。

腕だぞ?飛んでいくってどういう状況だ?


「え?ほんと大丈夫?安静にしてた方が良くない?」

「もう一人神様がいらっしゃって神様の薬師の方の薬を飲んだり塗ったりしたので大丈夫です。

たぶんですけど。

まぁ一週間経って僕が姿を消した場合察してください。

あと碧さんを除く女性陣は眠らされていたのでショッキング映像は見てません、そこだけは安心してください」

「女子供に見せるものでもないからな」

「という祇園様の配慮です。

他何かありますか?」


ありすぎて何からどうつっこめばいいかわからん。

他も同じなのか互いに目線を合わせるが気まずい雰囲気になるだけだった。

前原が口を開けたところ歩が睨みをきかせ無理矢理話を終わらせて進めた。


「はいないようなので今後のスケジュールを説明します。

この後中庭でバーベキューをし、花火して近くの銭湯にお風呂入ってからビデオ見て幽霊捕まえられたら就寝です。

異論は認めません。

おまえ何でさっきから仕切ってんだと顔にみなさん出てるのでお答えしますと、当初予定は僕たち集まったらすぐビデオを見させられ捕まえたらサヨナラバイバイという僕たちに何の旨味もない雑な計画だったのを僕が整えたからです。

一夏の雑用が思い出になったこと感謝してください。

特に祇園様、寝る部屋は違えど交流できるチャンス作ったのでちゃんと活用してくださいね。

では説明も終わり。

女性陣はバーベキューの食材の下準備頑張っているので男性陣は火おこし等を頑張ってください。

はい!立って準備する」


ぱんぱんと手を叩き追いやられる。

いまいち飲み込めてないが、知らない所で知らないうちに計画してくれたみたいでありがたい。

ヤローだけで曰く付きの動画見て幽霊捕まえて解散とか可哀想すぎるだろ俺たち。

そうならなかっただけ本当に歩に感謝する。

当初の計画の雑さに俺でもキレるなと思ったのと歩は嫌なことでも楽しみをくっつけて進めるのが上手いなと思った。

俺なら頼られて嬉しいと流されてサヨナラバイバイしてる。




その後バーベキューして花火して銭湯行って何だかんだ楽しめた。

かりんも楽しそうだったし、二人きりじゃ俺たちではやらないことばかりで新鮮だ。

とここまではほんと一夏の思い出として良いのだが、これからがなー。

本当に幽霊を捕まえるのか?

その前に本当に幽霊が出るのか?

呪われたりしないだろうな。


「はいじゃあ再生しますよー」


歩が掛け声とともに再生ボタンを押した。

画面に映ったのは家具も何もないカーテンがかかった窓が一つある部屋だった。

撮ってる時間はわからないが風に揺れるカーテンの隙間から見えるに外は暗いから夜っぽい。

数秒画面が真っ暗になって、真ん中に全身鏡がポツリと置いてあった。

そのまま数分経ったが特に変わりのない映像が続いて終わった。


「で?どうする」

「巻き戻しすることで最初から見れるそうです。

正直これで終わりたいですが、あっちから文句が来そうなのであと二、三回みて何もなかったら寝ましょう」


そうだなとみんなで頷く。

見る分には正味五分くらいなので二、三回見てもそこまで時間がかからない。

が、退屈すぎる。

呪いのビデオと聞いていなかったら最初に数秒みて終わってた。

いや別に好んで見てるわけじゃないけど。

誰に対してなのか意味のない言い訳をする。


「はい、では最初からですねスタートします」


そこに映った映像に誰もが驚いてしまった。

何故鏡がある?

巻き戻しに失敗したのか?


「武藤君巻き戻ってなかったみたい」

「いや、巻き戻しボタンを途中では止めてないから最初からのはず」


じゃあなんだこれ?また数秒画面が真っ暗になり、次映った時には鏡が動いていた。

全身鏡が画面に入らなくなっているところで映像が終わった。


「じゃあ巻き戻しますね。次くらいに飛び出して来そうなのでお三方捕まえる準備してくださいねー」

「いやちょっと待って、本気で言ってる?」

「本気ですよ。

今日何のために集まったと思っているんですか?

僕たちはバーベキューして花火して寝る前に恋バナするために集まったわけじゃないですからね。

幽霊を捕まえるために集まってますからね」


ヤローで恋バナとか寒いけそもうそれでいい、こんなわけわからん映像観ないで寝ないか。

喉元まで出かかったが、出たら最後ビビリの烙印を押される。


「得体の知れないのが気持ち悪いのはわかりますが、夢とかに出てこられるより今捕まえた方が安心じゃないですか?」


歩も説得に確かにと頷く。

夢に出てこられたらどうしようもない。

それに神様?が二人もおられるなら今ならどうにかしてくれるだろうと勝手に期待する。


「それに、今逃げても後日どうせあの人たちに呼ばれるのでさっさと済ませましょう」


あー確かにという空気になった。

変なとこかりんも諦めが悪いので困る。

幽霊の足があろうがなかろうがどうでもよくないか。


「はい覚悟決めてください。再生しまーす」


もう少し覚悟決めさせてくれる時間くれよ。

言ってもしょうがないので、いつ出てくるか?と瞬きも忘れて食い入るように画面を見る。

今度はさっきの終わりからだった。

全身鏡のアップで始まり数秒真っ暗が続いたあと当然血走った目が映し出された。

ビックっとしつい後ずさってしまうその後はザーザーという音が出ると画面が真っ暗になった。

そろそろ時間だから終わりかと思ったが、ザーザー音が止まらずだんだんと大きくなってきている。

突如白い服を着た髪の長い女が立っている姿が映った。

髪の隙間からこちらを見てニヤリと笑った気がしたと思ったら目の前に現れ俺に手を伸ばしてきたので思わず腹部を蹴ってしまった。

女は呻き声をあげお腹をおさえうずくまっている。

みんなの冷やかな目線が俺に集中した。


「幽霊でも女の子のお腹は蹴るとは……さすがに駄目じゃないかな」

「我でもしないぞ」

「はーい三嶋君のことは後にしてあと二人は縄でぐるぐる巻きにしないと逃げちゃいますよー」


歩おまえしれっと三嶋さんから三嶋君に降格してね?

それに首切るって言ってた人に引かれるのは違うと思う。

咄嗟にだったとはいえお腹蹴るのはいけなかったと思うよ。

でも絶対俺以外も同じ対応したはずだ。

俺ばかり責められてるのは納得いかん。


前原と日野がもたつきながら縛っていたが下手すぎてすぐ外れた。

その隙に女が逃げようとしたので結局歩が取り押さえ捕縛した。

その手際の良さに見てはいけないものが見えた気がするのでそっとしておこう。

結局こいつ一人でよくなかったか?

俺らいる?

歩がこんなこともできないのかと哀れむ目を向けてきたのでそっと目線を外す。

今まで生きてきて幽霊どころか生きた人間を捕縛した経験もされた経験もない。

これからもないので、できなくていい、いらない能力だと思うが歩に任せっきりは確かに申し訳ない。

分が悪いので黙っておくことにした。


「みなさーん捕まえましたよー」


歩が廊下に出て大声でかりん達を呼んだ。


「呼ぶのか?」

「あの人達どうせ見ないと見てないから信じないもう一回なんて言いそうですし、こんな馬鹿げたこと今回限りにしたいので」


そうだなと頷いておく。

かりんなど特に信じないだろうな。

歩さんはしっかりしてるなと思った。

もう歩のこと歩さんと呼ぶ俺がいた。


「本当に捕まってるー」


バタバタと入ってきた女性陣の中で誰が言ったかわからないセリフに歩さんの顔がピクピクと引きつった。

怖い。


「はーい本当に捕まえましたよ。

ええ本当につ・か・ま・え・ま・し・た。

普通常識的に考えれば捕まりませんよね。

わかりますよ。僕もそう思ってましたもん。

つい、出ちゃったんでしょうが、それは裏を返せば捕まらないと思っていたってことですよね。

自分ができもしないことをしてもらおうという考えは烏滸がましいのでは?

今回は運良くだ・れ・も呪われませんでしたけど誰か呪われたり体調に異変が出たりしたらどうするおつもりでした?

最近この手のことに慣れて大丈夫なんとかなるって考えてませんよね。

えんさんという神様がいるから大丈夫と言うのもなしですよ。

大丈夫じゃないから持って帰ってきてるんですよ。

良いですか、えんさんが持って帰ってきてもちゃんと拒否してください。

危ないことに自分から突っ込んでいかない。

はい、復唱する。

危ないことはしません」

「「「危ないことはしません」」」


しゅんとする女性陣。

かりんを抱きしめて頭を撫でて慰めてやりたいが我慢する。

歩さんが言ってるのは最もすぎる説教だし、これ以上変なことに巻き込まれるもはごめんだ。

別に巻き込まれること事態はいい。むしろ勝手にやられる方が困る。

でも巻き込まれても何もできないのが嫌だ。

今回だって歩が結構最初から最後まで一人段取りつけて必要な物も集めてやったのだ。

俺がやったのは画像見て幽霊を蹴ったことぐらい。

何も助けになってない。

それに今まで無事だったからと言って次もそうだとは限らない。

かりんに何かあったら俺は正気ではいられない。

それくらいかりんが大事だとあとで伝えよう。

今は正直反省してくれとしか思わない。


「歩、そこまで女に言ってやるな。

女の我儘を叶えてやるのも男の甲斐性だろう」

「はい祇園様そうやって甘やかさない。

言い返すようであれですが、一般的な人間は幽霊を捕まえられませんし、捕まえようと思いません。

祇園様はこれくらいと思いますが、我々にとっては戦場に連れて行ってくれと言われてるようなものです。

それでも祇園様は連れて行かれるのですか?

自分の身を守るのにいっぱいいっぱいの所にちょっと気になるから連れて行ってという我儘をお聞きになるのですか?」

「ああその、我が悪かった。

そう興奮するな、そうだ捕まえたこれはどうするんだ?」

「さぁ?どうするんでしょうね」


そうなのだ。どうするんだ?

かりんに目線をやると目が合うなりすぐそらされた。

あ、こいつら何も考えてないらしい。

どうするんだよ。

一緒に住むとか言わないだろうな。

今日だけで何回目かの本気でやめてくれが出てくる。


「ゆ、幽霊さんに聞いてみましょう」


聞くなよ。ろくな答えが返ってこないぞ。

口を挟むかと考えたが、やめた。

代案求められても困る。

縁さんが幽霊が何やらゴニョゴニョ喋っている。

よく平然と喋れるなとそこだけ感心した。


「彼氏が欲しいそうです。どなたか一緒に逝ってくれないかと言われてます」


誰もが首を横に振る。

まだまだ生きてたいし、俺にはかりんがいるので他の女性の手をとるつもりはない。全力でお断りする。


「我が首を斬ろうか?

何一瞬だ。痛みを感じるまもない」


今度は幽霊がものすごい勢いで首を横に振った。

それはそうだろう。

さっきから気になっていたがも一人浮いてる女の人がいた。

この方が歩さんが言ってた神様なのだろう。浮いてるし。

その方が元気よく手をあげた。


「はい!妾はそやつを飼うても良いぞ。

霊体はまだおらぬ。試したい薬もある。大丈夫じゃ、首は落とさん。ちょっと身体を斬り刻むだけぞ」


おおっと優しい神様かなって思ってたら違うようだ。

マッドサイエンティストかな?

危なねー関わらないようにしないと。

今度の提案も幽霊は全力で拒否してた。

わかるけど、正直他人事なのでどちらかなの案をもってして終わりにしたい。


どうしようと悩んでいる中、いきなり幽霊が碧の方にぐるぐる巻きだがすごい脚力で跳び、襲いかかろうとした。

ロープを歩が踏んだので距離が出ず、碧達のいるとこまで届かないで途中でべちゃと落ちた。

結構な高さを顔面からいったぞ、痛そう。


「僕の碧さんに何か用かな?

まず僕が聞こうか。もちろん却下だけどね」


幽霊が何か言ってるが聞き取れない。

歩さんも近くにいても聞き取れないようで首を傾げていた。

え?これ聞き取れる縁さん何者なんだ?


「付き合っているのかと言ってます」

「まだ付き合ってはないですが、お前に関係ないよね」


また幽霊が何か言ってる。

キーキーと言う音が聞こえる少し興奮してるようだ。


「手は繋いだのかと言ってます」

「手も繋ぎましたしハグもしてますし、人命救助とは言えキスした中ですよ」


ドヤ顔の歩さんに言いたい。

幽霊と張り合わんでも、あと人命救助はカウントに入らないんじゃなかろうか。

幽霊のキーキー声が一段とうるさくなり、室内なのに風が起こったあと幽霊がシュッポと消えた。

何がどうなってこうなった?

成仏したのか?それとも最後の力を振り絞って逃げたのか?


「消えたのか?」

「成仏したみたいだね」

「残念じゃ、よい実験ができると思ったのに」


危なねー幽霊、モルモットにされるとこだったな。

でもなんで成仏したんだ?

縁さんに最後なんと言っていたのかを怯えられるのでかかりん経由で聞いた。


「やおい最高!片想い執着マジ神!と言ってました」


ありがとうございますと感謝を述べ、やおいってなんだと調べたら、男同士の恋愛だった。

なるほど、碧を男と思ったから襲ったのか。

この中で一番綺麗な顔してるからな。

男同士ではないが男同士だったら何が最高なのだろうか?

人の恋愛見て最高だなんて思える幽霊は案外いいやつだったのだろうか。

まぁ終わったことは考えまい。

歩さんの解散の合図で女性陣も帰っていく。

夜もそこそこ遅い時間だったので、そのまま俺たちも寝ることにした。

布団に入りながら今日のことを思い出す。

色々あったが今回の何事もなくてよかったと思いながら眠りについた。

幽霊に足があるのか。

ちょっと気になったのは事実だけど、後半はどうでもよかった。

義嗣がこいこい荘に泊まるのだ。

嬉しい。

最近自分の気持ちを認めることができた。

手を繋ぐことで素直になれる自分がいて、何回も手を繋ぐうちに自分でも知らなかった自分がいた。

自分は結構前から義嗣のこと好きだったのだ。

知らなかったと言うより気づいてなかった。

義嗣が横にいるのが当たり前すぎて見過ごしていた気持ち、今となってはよく婚約解消なんて言えたなと怖くなった。

義嗣が止めてくれて本当に良かった。


みんなでわいわいバーベキューをしてる時、こっそり二人で抜け出し隠れてキスをした。

イケナイことしてるみたいで背徳感があるがやめられない。

何回かキスを繰り返すうちだんだんと深くなっていく。

スタートは一緒でぎこちないキスだったのに義嗣は上達がはやく私を翻弄してくる。

私はキスもイマイチ下手でただハフハフ言うだけで義嗣に好き勝手されて終わってる。

いつも義嗣だけなんでも上達するの速くてなんか悔しい。


「もうそろそろ戻るか」

「やだ、もう一回」


次こそは私が翻弄してみせる。

チュッと軽くキスされ、「じゃあ最後にもう一回だけ」と言って義嗣から唇を重ねてきた。

首に腕を回し受け入れる。

腰に回った義嗣の腕が力が入ったようでより密着した。

暑いけど義嗣の体温が心地よい。

それが離れがたくて今日一番長いキスをした。

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