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こいこい荘はそこを曲がったところですよ  作者: 蜂蜜
Q.これはあなた(のorが)?

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17/28

いえ、僕はあなたの敵ではございません

歩視点

後書き碧視点

夏休みもそろそろ終わりに近づいたあと数日残すばかり、まだまだ暑さだけは元気だ。

いつもの仲間と馬鹿やって起きた朝、一件のLIMEで頭が覚醒する。

『今から来れない?』碧さんからのお誘い、ありがとうございます。

行きますと返事をすればお泊まり会しようってきた。

もうそれは浮かれるよね。

飛んでいくよね。

全力で飛んで行った先にはお兄さんが先にいて、珍しく気まずそうな碧さんがいた。

ああ、いつものやつねと悟るが、呼ばれないより呼ばれた方がマシだと考えなおす。

便利屋扱いでもいい、それだけ頼りにされてるということだ。

そう思わないとやってられない。

どれだけ鋼のメンタル持っていると言われても好きな人からの塩対応にはこたえるものがある。

鋼も塩で錆びて劣化するのですよ。

まぁメンタル維持のために無理矢理ハグしたりハグしたりしてますけどね。

でも人間欲深い生き物。

最近あんな短いハグでは物足りなくなってきた。

だから今日誘って貰えて距離が縮んだと思ってたのに罠だったとは。

ちょっとガッカリしたので、手を広げてハグを待つと、今日は何も言わなくても碧さんが腕にすっぽり収まった。

嬉しい反面これは絶対面倒ごとだと直感が言ってる。

わかってはいたけど、再度ガッカリしてため息が出た。


「で今回は何ですか?」


ハグしたまま喋ると、耳に息があたったのかモゾモゾし始める。

離すもんか、少しは意識してくれ。


「ビデオ見て欲しい。女の人が出てくるらしい」


今のご時世にビデオって、しかもそれ呪いのやつでは?


「それで、見るだけでいいんですか?」

「なんか幽霊捕まえて欲しいらしい」


なんかとからしいとか今回は碧さんらしくない。

いつも率先して巻き込まれに行ってるのに今日はしおらしい。


「捕まえて飼うんですか?」

「え!それは嫌かも」

「…もしかして幽霊苦手ですか?」

「逆に聞くけど幽霊好きな人っているの?」


世界のどこかにはいると思うよ。

そうか、碧さん幽霊苦手なのか。


「幽霊は苦手で呪いの人形はいいんですか?」

「触れないのはちょっとね。

なんかあった時殴れないし」


うん、知ってた。

そんなことだろうと思ってたが、ビクビク怖がってる碧さん可愛いので今日のところはこれでよしとしよう。


「ねぇ、なんか声また低くなってない?背もちょっと高くなってる?」

「ああ今自分、成長期なんで。

声はもうこれ以上変化しなくていいんですが、もう少し身長は欲しいですね」

「別に…目線があうから今くらいがいいんじゃない」


それツンデレですか?

貴重なデレが嬉しくてハグの力が強くする。

文句も言われず、なんか今日僕に甘くないですか?

いつものが塩すぎるだけで、こんなの普通かもしれないがそれでもいい。

今を堪能します。

柔軟剤とは違う甘い匂いを碧さんからするので首筋に顔を埋めて匂いを嗅いだ。

変態って言われてもいいんです。

静かな抵抗があったが、無視する。


「で、捕まえてどうするんですか?」

「足あるか確かめたいってかりんちゃんが、捕まえようって言ったのはアリスさんだけど」

「その後は野に放つんですか?」

「それはえんさんがどうにかするよ。神様だし」


こう言う時ばかり神様扱いも可哀想だが、どうせ呪いのビデオなどという馬鹿馬鹿しいの持ってきたのえんさん何だろうな。

人魚に呪いの人形、神様そんで今度は幽霊。

この夏は忘れられない夏になりましたねじゃない、もっと普通のイチャイチャする夏が良かった。

僕の計画ではもう少し碧さんと親密になっていたはずなのに。

でもしょうがない。意外とガードが固い碧さんがハグ受け入れてくれるようになったし欲はかくまいと自重する。


「もうそろそろ「ところでお義兄さんが戯れてる犬、今人間になったのですが」

「犬だけど人魚の鱗の副作用で人間になる。

兄さんは検診兼おもちちゃんに戯れに来てる。

他の犬には見向きもされないからね」

「おもちではない白百合ちゃんだ」


どっちでもいいのだが、またわけわからんのが増えてる。

妖怪?怪異?そう言うのを集めているのかな?

惚れた人のためだとは思うけど、正直関わりたくないのだけど。


「で、お義兄さんと僕で捕まえればいいですか?」

「いや俺は捕まえないぞ。

幽霊でも女は無理だ」

「オッケーお義兄さん、他の皆さんも呼んで男だらけのパジャマパーティーしましょう。強制参加です」

「嫌だ」

「なんだーお義兄さんも幽霊怖いんですね。

いいですいいです隠さなくても。

怖くて泣いちゃいまちゅもんねー」

「違う、美琴の前で変なこと言うな。

俺が怖いのは女だ。

女がベタベタ触ってくるなら泣くが、幽霊では泣かん」

「それはそれでどうなんですか?

参加しないなら、捕まえた幽霊お義兄さんのベッドに入れますよ」


渋っていたが、脅すと顔を青くしてわかったと言ってくれた。

こうなればやけである。

碧さんじゃないことで僕に頼られても困る。

落とし前は恋人にとって貰おう。


「ねぇ、そろそろ」

「あー僕幽霊怖ーい」

「棒読みすぎるし、暑いからそろそろ離して」


心の中で舌打ちをして碧さんから離れる。

デレタイムが終わってしまった。

今回はそこそこ長かったので、よしとする。

さてじゃあ今回の問題は幽霊ですが、どうする?

幽霊って触れないってのが相場である。

触れないのを捕まえる?

何これ一休さんかな?僕は誰と知恵比べしてるのかな?

頭が疑問符がわくが、答えは見つからない。

それはそうだろう。

一般市民の僕には幽霊だー捕まえよーなんてぶっ飛んだ思考したことない。

さすがアリスさん、不思議さんからクレイジーさんに僕の中で進化した。


「幽霊に足あるのか目視するじゃ駄目ですか?」

「出てきた幽霊と一緒に住むのはちょっと」

「えんさんがどうにかしてくれますよ」

「えんさんじゃ無理と思うわ」


じゃあ僕にもどうしようもないのですけど?

神様が無理なら何回も言うけど一般人の僕に何ができると?

便利屋さんは至極普通のことをするだけで、幽霊討伐は行っておりません。

僕は神様でもなければ人間のしかも浮かれた高校生でしかない。

どうもこうもねーよ、諦めろと心の中で愚痴っていると一瞬で周りが寒くなる。

夏場なのに、凍てつくような寒さ。

絶対何かおかしい。


「      だ出てこい!

碧という下衆はさっさと出てきたらどうだ。

出てこないなら一匹ずつ殺す」


碧さんが名指しで誰からか呼ばれている。

フラフラと声のする中庭に行くものだから、手を引いて目を見ればどこか定まっていなかった。

お兄さんを呼び押さえてもらう。

海の時の人形と同じだ。人ならざるものの仕業。

葵様から頂いた刀を掴んで碧さんより前に出る。

窓を開ければ中庭には遠目でもわかるくらい背の高い大柄の綺麗な顔の赤い角がはえた男性が浮いていて手には抜いた刀を持っている。

これ人外じゃね。オッケーえんさん出番ですよ。

えんさんの方を向けば、額に汗をかきながら僕たちの前に出てくれた。


「      なんでここに?

碧に何か用かい?主人である私がまず話を聞こう」

「          がその人間と逢瀬を重ねているとは本当か?」

「逢瀬ってほどじゃないよ、ただ一緒に買い物したり食べ物食べたりしてるだけ」

「それを逢瀬と言うのだ。話はここまでだ。

出てこい小僧。お前が持っている刀に似合う腕前か確かめてやる」


刀なんて掴むのではなかった。

殺気だっている相手を逆撫でしないように大人しく従う。

えんさんが首を横に振って止めたけど、相手の眼力がさらに増した気がした。

とりあえず話をしながらクールダウンしてくれないかと思案する。


「こんにちは、えっと下々の者には神様のお名前は聞き取れないものでしてなんとお呼びすれば」

「御託はいいさっそと抜け、我は気が短い」


それは見ればわかる。

でも刀を握るのなんて人生で二回目の人間に腕前もへったくれもないのはわかるだろう。

ただの高校生に真剣を向けないでいただきたい。

どうにか会話で解決しあわよくばさよならしてくれないだろうか。


「何を考えているか知りたくもないが、お前が抵抗するなら他の者を引きずり出すまでだ。

ちょうど術にかかりやすいやつもいるようだしな」


やっぱり碧さんに何かしたな。

手は震えているものの足は動く。

靴下のまま一歩進むと、えんさんに引き止められた。


「たかだか人間だ。      が相手するほどでもない」

「           、心配するな少し遊ぶだけだ。

なに、死にやしない」


その少しだけは本当に信じていいんですよね。

えんさんに何かあったら全力でカバーするからと言われたが、何か起こる前に全力出してくれ。

チラリと碧さん見ると、まだ術にかかったままなのかボーとした表情をしてる。

仕方なくないけど仕方ない。

僕が行かなければ碧さんに何かされる。


一歩一歩進むごとに地面が揺れてる気がするが、気のせいではなく僕の足が震えているのだろう。

捕食者を前にしたネズミはこんな気分だろうな。

あーネズミは逃げれるけど、僕は向かって行ってるので逃げ出せるネズミが羨ましい。


「構えろ、そのくらいの猶予はやる」


嫌々もったいぶって構えた瞬間体全体が吹っ飛ばされる。

何とか踏ん張るけど、次は右から剣先が来るのが見えたので持ってる刀で防いだ。

刀と刀がぶつかる独特の音がし、今度は横に薙ぎ倒された。

体勢は崩れたままだが、上から光る物が降ってくるのを感じ転がって避ける。

本当に構えるまでしか猶予くれなかった。短気にも程がある。

しかもどこが遊びだ。当たってたら死んでたぞ。


「ほう避けるのは上手いようだな」


上機嫌の相手が時間をくれたので立ち上がり構えると今度は左から衝撃がきた。

さっきと同様受け止めるが、前もって踏ん張っていたので吹き飛ばされずにすんだ。

刀越しに目があえば、楽しそうに相手は笑う。

右から蹴りが見えたので後方に飛ぶ。

しまった誘導か!たいしてなかった間合いを取られた。

動きが制御される中、伸びてるんじゃないかと思う太刀筋をかわし刀で剣先を弾き向きをかえる。

だが相手の方が何倍も手練れで体勢も戻せぬまま簡単に次がきた。

何とか刀で打ち返しているが一手一手が重く、自分の剣先が左右に振られてるのがわかる。

人を甚振って遊んでやがる。


「なんだ考えごとか?余裕だな」


うんな訳あるか!

一段と重たくなった太刀筋に受け止めるのが精一杯だ。

えんさん助けはまだですか!

助けて!ヘルプ!って言いたいが喋る隙もない。

黙っているのでイケると思われているのか誰も助けてくれない。

泣きそうだが泣いたら視界が見えなくなり、死ぬ。

必死にくらいついていたが打ち合いのすえ腕が痺れてきた。

それが原因か力を抜いたつもりがなかったが刀が持っていかれ、腕を伸ばしたところを斬られた。

一瞬何が起こっているのかわからなかったが、自分の腕が刀と一緒に宙を舞っているのが見えた。

痛いよりも先に熱いがきて、その後足にも衝撃があり立ってられなくなり座り込んでしまう。

こんなに血が出てるってことは死ぬんじゃと頭が追いつくと、今まで生きてきて味わったことない激痛を感じた。

座ってもいられなくて地面に倒れるも、当たり前だが痛みはひかない。痛すぎて変な汗が出てきた。


「なんだもう終いか。ああ可哀想にな。痛かろうて今楽にしてやるからな」


殺される!殺される!殺されるって!

痛みなのか恐怖かわからない感情と共にあいつから少しでも離れたくて地面に這いつくばった身体を頑張って引きずる。

えんさんカバーするからって話はどうした。

神様じゃねーのかよ。

えんさんを見ると、必死で何もないとこを叩いてる。

あーやってくれたよこいつ。

最初から俺を殺す気だったのかよ。嘘つき。

えんさんに邪魔されないように見えないけど壁か何か作っているのだろう。

あいつは嬉しそうに笑うとゴミ虫を見るような目を向け俺の頭上に刀を構えた。

ああ死ぬのか。でもこれが碧さんじゃなくて良かった。

痛い思いも、怖い思いも彼女じゃないと言う所だけが良かった面だと思う。


「やめい!妾の下僕ぞ!そなた勝手な真似をするでない!」

「いやこれはだな」

「五月蝿い!さっさと兄上達にかけた術も解かぬか!」


葵様の声が聞こえる。

下僕と聞こえたが気にするのはそこじゃない気がするなんてくだらないこと考えてないと痛みで飛びそう。

葵様とやつが言い合いをしたあとえんさん達が駆けつけてくれた。

あー俺の腕ありがとうございます。

今なら病院行ったらひっつくかな?

病院にはすぐつくだろうか。


「兄上、切り傷にはこれをお使いください。

断面に薬を塗って引っ付ければ大丈夫です」


それ本当に大丈夫?

薬じゃなくて接着剤じゃないよね。

えんさんがゴソゴソ何かやってるのが聞こえたがもうろくに見えない。


みんながわーわー何か言ってるのが聞こえるが言葉が理解できない。

だんだんと気も遠くなり、さっきまで感じてた痛みも感じなくなってきた。

葵様がきて助かったと思ったけど俺死ぬのかな?

あー碧さん幽霊苦手だからなー会いに行ったら嫌がられそう。

ただ今回の幽霊に足があるかという疑問だけにはこたえられそうだな。

って死ぬ前に考えるのをこれでいいのか?


口の中にヌルってしたものと苦くて変に甘い液体が入ってきた。

吐き出そうとするが誰かが押さえて許してくれない。

仕方なく飲み込むと、一旦離れてまたきた。

飲みたくないが飲むしかないので少量ずつ嚥下する。


聴力が戻ってきたのか、「ほらしっかり飲め」と碧さんの言葉が聞こえる。

でも碧さんこれめちゃまずなんですよ。

うう碧さんの命令だから飲みますけど、そろそろお断りしたい。

ぼやけてた視界も徐々にクリアになると碧さんが口移しで何か飲ませてくれてるのがわかった。

体はまだ動かないので拒否できないが、碧さんとのファーストキスがこんなわけわからんうちに終わるとか最悪だ。

キスは嬉しいんですが、味最悪だし俺死にかけてるしでもう終わってる。

やっと微かだが力が入るようになってきたので億劫だが顔を動かしてささやかすぎる抵抗で拒否すると顔の向きを戻されまた苦甘いものを口にいれられる。


「拒否するな、ちゃんと飲めってば。

次で最後だから」


まだあるのか、今度はやっと動くようになった手で口をガードすると払い除けられまた口移しで液体を飲ませられる。

口の中に溜めていても地獄なのでゴクリと一気に飲みこめば苦甘いものがのどを通り過ぎる感触がして不快だ。

俺が吐き出さないことを確認したあと碧さんの唇は離れていった。

キスだけならいつでも歓迎なんですけどね。

痛みがひき感覚が戻ってきてるからなんかすごい薬なのはわかるが味が最悪すぎてありがたみが薄れる。


「自分の名前言えるか?」

「むとう…あゆ…む」


えんさんに聞かれて答えるが、なかなかしんどい。

次に碧さんが碧さんを指差して聞いてきた。


「自分がわかる?」

「あ…おさ…ん、俺…生きて…ま…す?」

「猫逃げ出してるけど生きてるよ」

「はは、やべ…連れ…もどさ…な…きゃ」


命の危機で優等生が剥げてしまったらしい。

やっぱどこまでいっても似非優等生だ。俺には一生なれないな。

まぁでも碧さんといる時は僕って言って可愛いこぶってないと甘やかしてくれないしな。

至急逃げ出した猫ちゃん帰っといで。

馬鹿馬鹿しいことも考えられるくらいには回復したらしい。


斬られた腕が気になって腕を上げて見てみると、綺麗に引っ付いていた。

おおーさすが神様。


「なにぶん生きた人間に使うのは初めてじゃ。

一週間ほど様子見じゃな。

何か生えてきたら急ぎ妾に伝えておくれ。

善処しよう」


何かって何?

俺どうなってんの?

帰ってきた猫がまた逃げ出したんですけど。


話をしようとえんさんがあいつに詰め寄ると「ふん話などない」と逃げ帰りそうになったので、近くにあった小石を投げる。

見事当たり、恐ろしい顔でこっちきたけど知ったもんか。

謝罪しろ謝罪。

人殺しにかかっといて逃げんじゃねーぞ、このヘタレサイコパスが。

今は恐怖より怒りが強い。

殺されかけた人外にまでこの負けん気の強さ、もう直らないだろうな。

高校生からは大人しい俺でいたかったのに。

力が戻ってきたので起き上がる。

うわーまだ頭クラクラする。

碧さんが支えてくれたので甘える。

えんさんが庇ってくれたようとしたが手で制した。

延長戦といきましょうよ。


「まだやるつもりか人間」

「いいんですか?葵様の下僕の僕にそんな口聞いて」

「…何が言いたい」

「ははっ何でしょうね。

ちなみにお探しの碧さんはこちらの女性ですよ。

僕はただ勝手に勘違いして早とちりで関係ない人を殺そうとして自分の過ちの謝罪もなく逃げ帰るのかなって思っただけです」

「言うじゃないか」

「言いますよ。刀なんて振ったことない高校生があなたの得意分野で戦ってやったんだ。

次は僕の得意分野で戦ってもらわないとフェアじゃないでしょう」

「漢なら態度で語れ、無駄口を叩くな」

「そんなんだから見向きもされないんですよ。

一人よがりで焦った策がこれですか。

嫌われたんじゃないですか?

ああ、もともと好かれてなかったかもしれませんね」


「うっ」って言って項垂れ黙った。

はは僕の勝ちだ。

まだまだ言いたいがオーバーキルは碧さんがいるのでやめた。

碧さんには可愛い僕だけ見て欲しい。


「      は、歩に謝罪しろよ。

今後こう言うのはよして欲しい。

いくら友とはいえ流石に看過できない」

「そういえばなんてお呼びすればいいですか?

暴力ヘタレさん?無口サイコさん?」

「歩もその辺でやめとけよ。

こいつはそうだな、祇園と呼ぶといい。一応私より神格が高い神だ」


神様が何だって言うんだ、えんさんの制止に心の中で舌を出す。

それを感じたのか碧さんに「歩君めっ」と可愛く怒られたのでやめることにした。


祇園様と呼んだ方がいいだろうが、気分じゃないのでやめる。

祇園が何かしてたらしく術?をおさめるとまた暑くなってきたので中に入ることになった。

その際、僕は血やら汗やら砂やらでドロドロになったのでシャワーを借りる。

好きな人の家の風呂と興奮していたがすぐ冷める。

何でか後ろに祇園がいた。

鏡越しに目が合ったので、笑顔で対応した。


「男の入浴シーン見て楽しむ趣味がおありだとは」

「御託はいい何故わかった」


皮肉ぐらい言わせろこの短気野郎。

ため息を吐きつつ、髪を洗う。


「何故ってわかりやすい態度でしたので。

どうせ一緒に出かけたということだけで色んな妄想膨らませた嫉妬だろうなとは思ってましたけどここまでするとは思わなかったです」

「後ろがガラ空きだな、我に斬られるとは思わないのか?」

「そんなことすれば、えんさんも葵様ももう貴方とは一生お会いにならないでしょうね」

「ふん虎の威を借る狐が。

まぁ威勢の良いのだけは認めてやろう」

「どうもありがとうございます。

そろそろ僕のことはいいですで本題は何ですか?

ああいいです時間かかりそうなので当てますね。

葵様との繋がりが欲しいですよね。

今お休みされてますが葵様婚活中ですのでお見合いでもセッティングしましょうか?」


返事がないので鏡越しににれば顔を真っ赤にして目を泳がせ何やら考えているようだ。

うわめんどくせ。体を洗いながら、腕と足の斬られたところを見る。

何もなかったようにつるんとして綺麗な皮膚だ。

動きにも問題ない。

泡を流してあがろうと立ち上がって振り向くとまだ祇園がいた。

無視して体を拭き服を着る。


「その話本当か?」

「どれですか?」

「見合いだ」


ああーそれ。まだ考えてたのか。


「してもいいですけど、今は振られるでしょうね」

「何故だ」

「何故ってそりゃあ、そうでしょうよ。

考えなくてもわかりますよ、自分の遊んでる最中の玩具壊されて良い気はしないでしょ。

貴方を見る目に怒気含んでましたし、今見合いなんて話しても拒否されて終わり笑い話になれば良い方でしょうね」

「そ、そんなにか」

「そんなにです。

僕のような人間が見てもわかるんです。

神様ならわかるでしょ」

「いやその聡さはおまえの能力だろう。誇っていい。

そうだなおまえの度胸も気に入った。

我の友としての地位をやろう」

「いやいり…ありがとうございます。

精進します」


刀に手をやり脅すとか反則だろ。

二人っきりになりたくなくて急いでみんなのいる部屋に戻った。

何かまた見えない力に引っ張られてびっくりして声にならなかったが歩に助けてって言ったのがいけなかった。

急に壁ができて何が起こっているのかわからないうちに壁が消え身体が言うこと効くようになった。

葵様がふよふよ浮いてるのが見えた後ろに歩が血だらけで倒れてるのが見えた。

訳がわからず周りを見ればかりんちゃん達は座り込んでまだボーっとしていた。

えんさんと兄さんが駆け寄るのを見て自分も走る。

どうしよう、自分が助けてって言ったからだ。

葵様の薬で腕ととれかけの足が引っ付いた。

一安心していたがまだ血の気がなく今にも死ぬのではと思った。

案の定血が足りてないらしい。

救急車!でも間に合うの?今にもどうにかなってしまいそうなのに。

幸いにも血を増やす薬を葵様が持っていた。

生きた人間に使うのは初めてでと言っていたが仕方ない。

歩が化け物になったら自分が面倒みる。

薬を受け取り飲みやすいように歩と地面に膝を入れ口に数滴垂らすが垂れて顎をつたうだけだった。

飲ませないとと思ったら体が自然と動いていた。

口移しでやっと飲ませるのに成功すれば、徐々に生気が戻ってきたのか薬を嫌がるようになった。

嫌なのはわかるこっちだってこんな変な味嫌だ。

でも今は飲まないと死んでしまう。

無理矢理口を開けさせ流し込めばゴクリと顔を顰めて飲み干した。


その後ちょっと良くなった歩は祇園様に喧嘩売ってた。

歩のメンタルどうなってるんだろう。

普通に圧勝してるし、ぎゅっと抱きしめれば「汚れますから」と何の心配してるんだって返事をもらいなんか気が抜けた。


まだボーとしているみんなに血だらけの歩を見せるわけにいかないのでシャワーを浴びてもらった。

心配で廊下で待っていると何故か浴室から祇園様と笑いを含みながら言い合いし出てくる。

さっきまであなた殺されそうになってたよね。

危機感ないのだろうか。

とりあえず歩の腕に抱きついて、祇園様との間に入る。

じーと見れば祇園様は気まずそうに目を逸らした。

歩は珍しく何も言わず自分にひっつかれながらリビングに入った。

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