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こいこい荘はそこを曲がったところですよ  作者: 蜂蜜
Q.これはあなた(のorが)?

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16/30

いいえ、私の子ではありません

かりん視点

後書きは義嗣視点

遅めに朝起きてリビングに来たら、縁さんが三歳くらいの赤ちゃん抱いていた。

三歳は赤ちゃん?幼児?っと現実逃避する。

その子はほっぺたを碧ちゃんにムニムニされて嫌そう。


色々考えが巡ったが、どうせえんさんだという考えに落ち着いた。

うん、スルーしよう。

冷蔵庫から冷えた麦茶をコップに注ぐ。


「見てーかりんちゃん、赤ちゃん拾った。可愛いでしょー」


飲んでたお茶を吹くとこだった。

朝ごはんの準備している七海ちゃんと目が合えば、首を横に振ってきた。

えー嘘でしょ。

私だけでは無理だと頭の中で結論が出たので廊下に出て階段下から大声で叫ぶ。


「美琴さーん、アリスさーん

碧ちゃんがまたやらかしましたー」


慌てたのか些か乱暴にドアが開く音がしパタパタと美琴さんが降りてくる。


「何?何したの?」

「赤ちゃん誘拐してます」

「嘘でしょ」


美琴さんは着替え途中だったらしく、半分パジャマ姿だがそれどころではないのか急いでリビングに駆け込んだ。


「…碧君説明してくれるかな」

「朝五時何となーく散歩したくなってその辺歩いてたんですけど、橋の下でなんか鳴いてるなーと思って近づいたらこの子がいたんです。

ダンボールにご自由に拾ってくださいって書いてあったので拾いました。

可愛いでしょ、名前は白くてもちもちだからおもちちゃんです」

「いやいや拾いましたじゃないでしょ。

しかも名前までつけて」

「まぁまぁ、ほら美琴さんも抱っこすればメロメロですよー。

イライラも吹き飛びますよー」


碧ちゃんが美琴さんに赤ちゃんを渡す。

美琴さんは頭と赤ちゃんを抱えたところにアリスさんがきた。

不思議そうに美琴さんと赤ちゃんを交互に見た後、写真を撮って、何か打ち込んでいる。

誰に何を送っているのだろうか。


「アリス、誰に何送ったの?」

「…お兄さんに美琴の赤ちゃんって送った」

「嘘でしょ、あの頭カチカチ真面目君にそんな冗談通じるわけないじゃない」


碧ちゃんが頭カチカチ〜ってキャッキャ楽しそうに笑っているが、原因あなただからね。

そしてその頭カチカチは美琴さんの彼氏の前にあなたのお兄さんだからね。


「で、どうしますか?

警察に届けた方がいいと思うのですが」

「そうよね。そうしよう

あーごめんごめん泣かないでー」


私達の言葉はわからないだろうけど、雰囲気からか赤ちゃんが泣き出してしまった。

美琴さんが赤ちゃんの背中を優しくトントンする。

ガラガラと勢いよく玄関の戸が開く音とバタバタと廊下を走る音の後に、お兄さんが勢いよくリビングに駆け込んできた。


「美琴!あの時の子か?!」

「な訳ないでしょ!一週間でこんな大きな子産めるわけないじゃないですか!」

「じゃあ誰との子だ?」

「まず私が生んだ子ではありません。

それにこんな大きくて毛がふわふわの犬…え?犬?」


一瞬で人間から犬に変化した。

白いふわふわのなんだろうポメ?スピッツ?サモエド?

とりあえず真っ白で綺麗な犬がいた。


「うん、綺麗な子だな、名前は白百合にしよう。

よしじゃあとりあえずこの子のためにも美琴、結婚届を出しに行こう」

「いやいや意味がわかりません」

「俺と美琴の子だろう。結婚してから認知した方が良いと思ったが、認知してから婚姻届出すか?」

「だから私の生んだ子ではありません」

「美琴、それは見ればわかる。人から犬は生まれない。

でもこの子には親が必要だろう。

君と俺、ちょうど良いじゃないか」


おおっと、話通じないマンだ。


「兄さん何言ってんの、この子はおもちちゃんなの」

「おまえこそ何言ってる、白百合の方が高貴だろ。

まったく、食べることしか考えてないのだから

うちの子に変な名前をつけるな」

「おもちちゃんの方が可愛いですー

それに兄さんの子じゃないですー。

美琴さんに拒否されたくせにしつこいって嫌われたー」

「ほう、言ってはいけないこと言ったな。

歩君を呼んでもいいんだぞ」

「み、美琴さんも何か言ってください」

「おもちちゃんでも白百合でもどっちでも良いですが、私の子ではないので認知しなくて良いし、結婚もしません」


「チィ駄目か」とお兄さん。

いやいや結構大きな声でみんなに聞こえてますよ。

え?何かありましたって顔しても遅いと思う。


「まぁ何にせよ、警察に届け出た方がいいな。

あとあとトラブルになることは避けた方が良い」


あ、お兄さん真面目に戻った。

みんなそうだよねと納得する中で碧ちゃんだけでもーと駄々を捏ねている。

今回ばかりはお兄さんと同意見だけど、一つ疑問があったので手をあげ聞いてみる。


「あのーどっちで届けるんですか?

人間の子?それとも犬の子?

この子は人間から犬に変化するのか、犬が人間に化けているのかどっちなのでしょう」


みんな暗い顔して押し黙る。

そうなのだ、同じ命でも取り扱いがだいぶかわるのだ。

犬を拾って育てるのと、子どもを拾って育てるのではわけが違う。

それに三歳児を放置した親がいるかもしれない。

名前云々の前にそこ結構重要である。


「そうだわ!旦那様に診ていただきましょう。

旦那様は神様ですしどうにかしてくださいますわ」

「そうですよね、神様ですもんね」


縁さんとお兄さんは安心した顔しているが、私達は微妙な顔をしていた。

それもそのはず、面倒ごとを日々押し付けられている私達の中でえんさんの立ち位置は微妙になっている。

言っては悪いがセロテープより使える人くらいの位置である。

縁さんが張り切ってえんさんを呼びに行ったが、あまり期待しないでおこう。


「ってか何で兄さんいるの?

お祭りは夜だけど?」

「何故って会いたかったからだが?」

「何言ってるんですか、混む前に出店見ようってだけだよ。

人混みで倒れられても困るし」

「…花火見ないの?」


アリスさんの指摘に二人は固まる。

何かを察した碧ちゃんが二人に詰め寄った。

何?どこでみるの?ねーどこでみるの?

何故何故時期の子供のように聞いてくるので二人はタジタジ、私もちょっと興味あるが碧ちゃんほどがっつり聞けないので朝ごはんの用意を手伝いつつ聞き耳をたてる。


「…花火はホテルで見る」

「うわーやらしー」

「やらしくない。ホテルからならど迫力で見れるし、人に酔わない。

クーラーが効いた部屋なら熱中症の心配もないし、花火会場で場所代払うよりコスパが良い」

「じゃあ自分もそこから見ようかな」

「それは駄目だ。お前情緒がなくてうるさいから嫌だ。

それに歩君と行くんだろう。

隣で妹がイチャイチャしてるのどう言う感情で見ればいいのかわからん

あと、神様やら幽霊やら化け物やら巻き込まれたくない。

俺は美琴と気兼ねなくゆっくり花火を見たい」


カンカンカーン。

これは碧ちゃんの負け。

最後はもうほんとそれ。

最近の私達、変なことに巻き込まれすぎではなかろうか。ゆっくりしたい。

碧ちゃんも言い返せず、美琴さんに泣きついたが、お兄さんさんが引き剥がししっしっと追い払っていた。

……そうかホテルで見るって言うのもありだよね。

あの義嗣だ。変なことしないだろうし、暑い中で人混みに押されながら見るより良いかもしれない。

花火を上から見るって言うのも面白そう。

さっそく義嗣にLIMEすると、『まだ早くないか』ときた。

何を言ってるんだ。もう当日だ。

早くないどっちかと言うと遅いまである。


碧ちゃんが泣き真似してああーと大袈裟にアピールして無視されている時に縁さんがえんさんを連れて帰ってきた。

あまり…むしろ全然期待してないので忘れてた。


「どうですか旦那様!」


縁さんが興奮してえんさんに詰め寄るが、ちょっと待とうかと宥められてた。

美琴さんから犬を受け取り背中見たりお腹見たり頭見たりとじっくり色々見ているようだ。


「あ、女の子だ」


えんさんの一言に私達の視線が冷気を放つ。

誰かが最低と小さく呟いた。

もしかしたら無意識のうちの自分かもしれない。


「いやちょっと待って、確認って大切だと思う。

性別で結構かわるんだよ」


そうなのかもしれないがそうじゃない。

冷たい視線に何を言ってもかわらないと思ったのかコホンと咳払いして話をかえるみたいだ。


「犬のメスだね。

普通の犬だけど、磯香りと人魚の気配がする。

どう言うことかな碧、君まだ持ってるね。

どうやって手に入れたか知らないけど、人間がどうこう出来るものじゃない。

悪いことは言わないこちらによこしなさい」

「……」


碧ちゃんがだんまりでそっぽを向くも、えんさんも折れない。

「よこしなさい」とさっきより強めに言うと、渋々顔でポケットからキラキラ光るものを出した。


「じゃあ何かと交換してください」

「君はね、強欲は身を滅ぼすよ」

「葵様は欲しい物と交換してくれるって言いましたよ。

それだけ高価な妙薬だとも」

「あいつめ、さっさと取り上げてればいいものを。

はぁわかった。何が欲しいの?」

「えんさんの部屋にあるでっかい黒い石の犬の像ください」

「そんなので良いのかい?

あれは人間が作った、なんてことないただ水晶の像。

貰い物で思い入れもないし、別に良いけど。

言っとくけど、値打ち物でも神の作った物でもないからね。

本当に良いんだね、後から取り消しはできないよ」

「ええ、あれが良いんです」

「わかった。交渉成立だ。ほら頂戴」


碧ちゃんは嬉しそうにキラキラした物をえんさんに渡していた。

えんさんでも一応神様だ。

何の神様か知らないし自称神様しれないけどそんな人と交渉とは危ないことするな。

案の定お兄さんに怒られてるけど、上の空でニヤニヤ嬉しそうにしてる。


「で、何でこの子から人魚の気配がするのかな?

人間が人魚の鱗の使い方知ってるはずないし」

「親父殿が教えてくれました。

自分悪くないですよ、親父殿の指示ですもん。

なので責任は全部、親父殿が近いうちにとります」

「その親父殿って何者なのかな。

はぁー指示出す前に鱗取り上げてくれないかな親父殿。

良いかい、もう人魚とは関わらないこと。

あいつらは楽しい事しか考えてない残虐性を持った生き物だ。

言葉がわかるなんて思わないことだね。

で、話は戻るけど、この子は確かに普通の犬だ。

碧が怪我か何かを人魚の鱗を使って治したんだろう。

人間になるのは副作用と言ったところかな。

ただの犬だったら人間の法律を重視し警察に届けた方が良いけど、この状態だと無理だね。

神や人魚なんて今時の子が信じるわけないし、捕まるのもごめんだ。

このままこの子はここに置いておくことにするよ」

「じゃーえんさんがお父さんで、縁さんがお母さんですね」


アリスさんの爆弾発言に二人が固まり、そろーと見合った。

何故か二人照れてるけど、これ満更でもないのでは?

照れてる二人は置いといて、こっちの机で朝ごはんを食べ始める。


「名前はおもちちゃんですよねお父さん」

「いや白百合ですよねお母さん」


兄妹がまだ言い合っているが無視する。

関わると碌なことないのは学習した。

義嗣から『一応とったが本当にいいのか』と訳のわからないLIMEがきたので、いいよ花火楽しみだねと送った。

花火大会行きたいって言ったのは義嗣の方ではないか。

どうせ行くのに今更いいのかと言われてもどうしろと。


「くそーおもちちゃんが負けた」

「ははは、やっぱりな。一目見た時より思ってたんだ白百合が似合うって」


名前はお兄さんに軍配があがったらしい。

あー味噌汁美味しい。

いいのか?本当にいいのか?

今日俺達は大人の階段登るのか?


と頭の中が忙しかったが、いざホテルに入ったら甘い雰囲気も何もない。

花火しか見てない。

手を繋いでもキャッキャと花火花火と楽しそうにするだけ。

これは俺の純情弄ばれたのでは?

いや、普通に考えてそっち方面に疎いかりんがこんな高度な誘い文句出る訳ない。

期待した俺が悪い。


「義嗣今日はありがとう花火綺麗だった」

「どういたしまして」

「また見ようね」


かりんが笑顔でそう言うから俺の下心はスッと消える。

彼女かが笑顔なら何でもいいじゃないか。


「ああ」と返事をしキスすると珍しく手を離しても受け入れてもらえて。

消えた下心が戻ってくる。

少しあいた口に舌を入れたら身体が緊張したのがわかった。

でもビンタが飛んでこないのをいいことにかりんの口の中を探る。

口も小さくてよく飯が食えるな。

肉とか噛みきれないんじゃないか?

苦しそうな喘ぎ声が聞こえたので口を離すとトロンとした目で俺を見上げている。

これいけるのでは?


期待してお姫様抱っこでかりんをベッドに運び押し倒すと、思いっきり怯えられた。

ゆっくり後ずさる姿に加虐心をくすぐられるが、グッと我慢する。

絶対後から避けられるパターンだ。


「悪い、今日はもうしない」


そう言うと明らかにホッとした顔をした。

かりんお前はそう言うやつだよ。

まぁそこが可愛いのだけど。

進展のなかった頃を考えると、今はだいぶいい方だ。

出てきた加虐心と下心と諸々をしまう。

はぁーまた次回か。

こっそりとついたため息ぐらい見逃して欲しい。

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