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66話 続・結婚ラッシュ 2




なんと結婚した翌年から続けて三人、年子で娘も授かった。

長女はジェイのお母さんの名前をもらってルーシーと名付けた。

次女は私のお母さんの名前からアイ(愛子)

三女は、ラックのお母さんの名前はわからなかったから(百年も前の子供の頃に別れちゃってたし、ラックは自分の名前も忘れてたくらいだからね!)お母さんとラックの目の色からベニー(紅)と名付けた。

ネーミングセンスの事はいわないでいただきたい。本人わかってますから!


毎年三ヶ月ほど産休をもらって、その間はアシュリーがスイーツのサロンを開いたりしたよ。


魔法使いは子供ができづらいといわれているけど、うちの三人娘が落ち着いた頃にアシュリーたちも待望の子供を授かった。

男の子と女の子の双子ちゃんだ。


アシュリーは出産から育児に専念したから、代わりのホールスタッフを雇った。

求人には多数の応募があったよ。うちはピュアピュアホワイト企業だからね!

特にユニホームと賄いが魅力的なんだそうだ。


最初の産休から復活すると、調理場は危ないと、ラックが長女を背負って仕事をした。

イケメンがおんぶ紐で赤ちゃんをおんぶしての給仕……。

なかなかシュールだ。


絵面は置いといて。ラックは元々の身体能力の高さからか、赤ちゃんをおんぶしてもまったく危なげなくスイスイ動き回っていた。長女もラックの背中でご機嫌だったしね。

ありがたい事に、お客様も自分の子供や孫のように見守ってくれた。

そんな風にべったりだったからか、長女はママっ子パパっ子ならぬラックっ子になっていた。


次女はパパっ子に育った。

歩けるようになって自我も芽生えてくると、ギルドに出勤するジェイにくっついていくようになった。

危険のない薬草摘みなんかを一緒にやったり。お弁当を持っていって楽しく一日を過ごす。パパ大好きな次女に、ジェイもメロメロだった。これはお嫁にいく時は大変だな。


三女は料理に興味があるのか、物心がつく頃にはいつも調理場にいた。

危なくない端の方に置いた椅子に座って、飽きもせず一日中ずっと調理を見ている。

特に『ママ大好き〜!』というものは感じなかったけど、やっとママっ子が現れたかと密かに嬉しかった。

だってあんなに気持ち悪い思いをして、痛い思いをして産んでるのに、誰もママっ子じゃないなんて……、泣いちゃう。




毎日毎日、慌ただしくも充実した日々を過ごし、結婚してから十六年がたった。


今日はルーシーの十五歳の誕生日で、成人とダブルのお祝いだ。

そんなお誕生会の最中に、ルーシーが公開プロポーズをした!


「ラック、やっと成人したよ! 今までもらってきた何倍も愛情をお返しするから、結婚して!」


珍しく、ラックは固まった。

ずっと娘のように愛しんできたルーシーから、まさかの愛の告白は衝撃的だったんだろうなぁ。私は知ってたけどね!


やっと給仕ができるくらいの身体になって、すぐにホールの仕事をしたのは、ラックの側にいたかったからだもんね。

ラックは今だに二十代半ばくらいにしか見えないイケメンさんで、変わらずファンクラブも健在だ。ヤキモチ焼きのルーシーはいつでも近くにいたかったんだよね。


「ラック、聞いてる? 返事は?」


せっかちだな!

まだ三十秒もたってないよ!


ラックはまだ固まったままだ。

ちなみにジェイもアダムもトーイも固まっている。

アイちゃんとベニーは気にせずご飯を食べている。

ホールスタッフのメイちゃんは、グッとこぶしを握ってルーシーにエールを送っているようだ。


「ラック! 結婚して!」


せっかちだな!!


男子チームの封印は解けたけど、今度は何ともいえない空気が漂い始めた。

ジェイとアダムはソワソワキョロキョロしてるし、トーイは居心地悪そうにモゾモゾしている。すまないねぇ。


封印が解けたラックは、ルーシーをしっかり見た。


「ルーシー、ずっと娘のように育ててきたから結婚はできない」

「そう言われるのは想定内だよ!私あきらめないから!」


普段無口なラックも、きちんと意思表示をする時は喋るんだよ。

ルーシーはお断りの言葉を聞いてもまったくめげずに、強気でラックを見た。


微妙な感じだったけど、空気を変えようと?男子チームは何事もなかったかのように食事を再開した。

メイちゃんは、よし!と、こぶしに力が入った。ように見えた。

……よかったんだ?

メイちゃんの感性はちょっとわからない。


そうして、爆弾が落とされたお誕生会は何だかわからないうちにお開きになった。


いや〜!ルーシーの気持ちは知っていたけど、今日きたか!

長女はせっかちな気があるとは思っていたけど、これ程とは思ってなかったわ。

たぶん十五年、ずっとラックを好きだったんだもんね。でもそう考えたら、告白を十五年待ったんだからせっかちではないのかな〜。

なんて思いながら洗い物をしていると


「お母さん……」


ルーシーが来た。

うん。来ると思って一人で洗い物をしていたんだけどね。

私は一度振り向いてルーシーを認めると、何も言わず洗い物を続けた。


「ラック…… 結婚してくれないかな……」


あんなに強気で迫っていたのに、弱気につぶやく。


「生まれた時から育ててくれてたんだもん、やっぱ娘みたいにしか思えないかな……」


ぶつぶつ言ってるし。

しょうがないなぁ。


「ラックが君をどう思っているかなんてわかってた事でしょ?あきらめるの?」

「あきらめないよ!」


強気で言い切ったけど、一瞬後にはまた弱気に戻る。


「でもさ……。告白以外どうしていいかわからない」


私は洗い物の手を止めてルーシーに向き直った。


「お母さんはルーシーとラックのどっちか片方の応援はしないよ。どっちも大事な家族だからね。 でも、そうね……」


しっかりルーシーと目を合わす。


「ラックは半分ダークエルフの血が流れてるから、私たちよりずっと長生きをするよね。種族的に、私たちがラックをおいて先立つのはしょうがないんだけど、ラックは淋しがりさんだからその時とても辛い思いをすると思う。だからね、恋人とか奥さんとはいっぱい幸せになってほしいと思ってるんだ。もちろんルーシーにも幸せになってほしいと思ってるよ。幸せになってほしいと思っている二人が、ムリせず幸せになってくれたら…… お母さんは嬉しいなぁ」


ニッコリ笑って、遠回しに応援してみた。


ルーシーは、まだどうしていいかわからないと目が迷っていたけど『あきらめないし、絶対私が幸せにしてあげるんだ!』と、改めて決意したようだ。


「お母さんありがと!おやすみ!」


来た時と違って、足取り軽く出て行った。


洗い物は…… 手伝ってくれないのね。

あの子本当に結婚する気あるのかしら……。


それからゆっくり洗い物を終える。

さて。次のフォローにいきますか。


私はリンゴ林に向かった。




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