64話 結婚式と結婚ラッシュ? 2
お客様を全員お見送りしたら、お楽しみのみんなで打ち上げだ。
「「おめでとう!! お疲れさま!!」」
改めて乾杯する。スタッフはもちろん、主役二人もあまり食べられなかったし、ジェニファーたちもちょっと遠慮したみたいだ。
まぁこの打ち上げのために控えてたっていうのが当たりかもだけど。
エリーとノアにはサラとウィル君が色々食べさせてくれてたみたい。朝から緊張してた大仕事もあったし、今は二人ともソファで寝てしまっている。可愛らしいことにクッキーの小袋をしっかり握って。
割れたら大変と、そっと手から外してテーブルの上に置いておく。
ちびっ子二人の報酬は、そのクッキーとスタッフ衣装と銀貨一枚だ。初めて自分で稼いだお金。貴重だよね〜!
ちゃんと残しておいた料理の他に、別に作っておいた料理を食べながら内輪でのお祝い。二次会ともいう。
今日の感想とか反省なんかも言い合いながら、何度も色んな乾杯をする。
「そうそう!!ユアちゃん、歌姫登場は聞いてなかったっす!頭が真っ白になって一瞬予定が飛びましたよ!」
ソフィもこくこく頷いている。
今はもう親しんだみたいで、女子トークなんかしてるくらいだけどね。
「驚いたでしょ〜?こういうの、私のいた国ではサプライズっていうんだよ!」
サラと二人でニヤリと笑う。
「サプライズって心臓に悪いよな!俺も一度すごい驚かされた事があったよ!」
被害者同士?ジェイはショーンさんとこっちを見る。
「でもよかったでしょ〜?」
二人に笑いかけると、
「うっ…」 とつまって
「うん」 と頷いた。
ちょっと負けたような表情になってるのは何故なのよ〜!
「私も結婚式したいわ〜」
アシュリーが花嫁衣装のソフィを見ながら言う。
目がキラキラしてるよ!
そうだよね〜!私も綺麗な花嫁さんになりたい!
でもこのスタッフでやったら…… 私は埋もれちゃうな。ふっ
「あらアシュリー、もう求婚されたの?」
ブハッと吹き出す音がした。
ワイアットさん汚い!!
「まだだけど。してくれないから私からしちゃおうかな」
え。マジですか!急ですね!!
アシュリーは真っ直ぐワイアットさんを見た。
ワイアットさんの瞳が揺れる。
「ワイアットさん……」
「アシュリーまった!私から言わせてほしい!」
ワイアットさん、目が泳いでいるよ。
きっと急すぎる事とか公開プロポーズとか、頭がついていかないんだろうな。
でもこうなったらしょうがない!がんばれワイアットさん!男になるんだ!!
「私の時間と君の時間の進み方は違うけど、生涯君のそばにいさせてほしい。 ……結婚してください」
「はい!喜んで!!」
アシュリーがワイアットさんに飛びついて、歓声が上がる。
アダムを見ると、男泣きに泣いていた。隣にいって、よしよしと背中をなでる。
ずっと一緒に苦労して、守ってきた妹だもんね!お兄ちゃん、がんばったよ!!
ワイアットさんがアダムを見て、保護者へと結婚の願いを口にする。
「アシュリーから ……たくさん聞きました。必ず幸せにすると誓います。妹さんを任せてください」
「幸せに、してやってください。 ……お願いします」
涙を止めて、震える声で返事をするお兄ちゃん。
妹が先になっちゃったね。
でもアダムはいい男だから、きっといいご縁があるよ!心配もなくなったし、次はアダムの番だね!
私はアシュリーとアダムの幸せを祈った。
そんな訳で、次は年が明けた三月にアシュリーとワイアットさんの結婚式をする事になった。
アシュリーも三月で十七歳になるもんね。
「ウィル〜、私春には十八なんだけど〜。行き遅れにならないうちに決めてよね〜」
サラがニコニコとウィル君に言う。
ウィル君の耳は半分折れちゃってるし、しっぽは力なく揺れている。
ジェニファーも「こういうのもいいわね〜」なんて言ってるし。
ルークさんは表情に出さないようにしてるけど、ちょっと動揺してるのがわかっちゃった。
エリックの方は見なかった。
きっといつもの無表情だろうけど、見られたくないだろうから。
おぉ!これはもしや結婚ラッシュか?!
こうやって集まってお祝いできるっていいね!
なんて思いながら、私は何となくジェイを見た。
ジェイは私を見ていた。
熱のこもった視線に、顔が熱くなる。
そうだった!私もしっかりプロポーズされてるんだった!!
ああぁぁ!!
人を見てニヤニヤしてる場合じゃなかったよ!!
私は転げ回りたくなるような恥ずかしさの中、冷たい果実水をがぶ飲みしたのだった。
この日のショーンさんたちの結婚式と披露パーティーは、後々まで語られるようになった。
吟遊詩人が大陸中を歌い歩き、後から本にもなったほどだ。
噂を聞きつけた人たちから、ぜひ自分たちの結婚式をやってほしいと依頼も来た。
だけど私たちはお料理を楽しみにしてくれているお客様がいる。
サラはアケルの宮廷勤務だし(公務員は副業できないよ!)ジェニファーは自由人だから仕事になるのはイヤそうだ。本業もちゃんとあるしね!
私たちは友情と、結婚式をしてみたいという情熱でやったんだもんね。
ショーンさんとソフィはお料理だけならと、頼まれるとパーティーのケータリングをしているよ。
カメッリア領からは、すぐに結婚式と披露パーティーの権利の話がきた。
相変わらず早いな!使者さん以外にも見張りとかいるんじゃないだろか?
内容を詳しく説明したり、アシュリーの結婚式も見学したいそうだ。ご祝儀いっぱいくださいね!!
そのアシュリーの結婚式だけど、準備は順調に進んでいる。
仕事の合間にジェニファーと衣装の打ち合わせをしたり、ワイアットさんと新居の話をしたり、ウエディングケーキの相談をしたり!
主役なのにケーキ作るの?忙しいんじゃない?とも思ったけど、二人はやけに燃えているからお任せした。
サラもその日は空けてくれてるし(お代を支払わないからアルバイトにはならないよ!)もちろんジェニファーも司会をしてくれる。女神司祭再びだね!
ショーンさんとソフィも助っ人に来てくれるって!
毎日忙しく仕事をしながら、可愛いアシュリーの花嫁姿を楽しみにしている。
ちょっと淋しいけどね!




