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53話 転移者と転生者 3



さて、お誕生日の次の日はお休みにしている。連休だけど、事前に告知したから大丈夫な筈。連休なんてお店を始めてから初めてだよ!


朝ご飯を食べるジェイをこっそり見ると、何だか復活したようで元気そうだ。

よかったよかった。


連休といっても、いつものお休みと変わらない。

午前中は家の事をやって、午後はお買い物をかねてお昼ご飯を食べに行く。


ワイアットさんは、どうせお休みの日は朝から来るんだからと思っているのか、お誕生会で飲み過ぎて帰るのが面倒だからか、アシュリーのお誕生日から泊まるようになっている。

その前のアイザックさんのお誕生会に飲み過ぎて泊まったから、何となくそんな感じにもっていってるような…。


ワイアットさん、ちゃっかりしてるな。

当たり前だけど、アシュリーの部屋にじゃないよ!

そんなのアダムが許しません!!

もちろん私たちもだけどね!


でもまぁ好きな人と一緒にいたい気持ちはわかる。

「ジェイはいいな〜」と言うけど、それならワイアットさん、簡単な方法があるじゃありませんか。ニヤニヤ。

アシュリーがいなくなっちゃうのは淋しいから、もう少し先でいいけどさ!




連休明け。また今日から頑張るぞ〜!と元気にお店を開ける。

二日ぶりのお客様の顔を見ながら、やっぱ働くのはいいなと思う。

好きな事を仕事にできて幸せだ。


二日ぶりのジェニファーたちも住居の方の食堂に来た。

あとでちょっと話があるから待ってて!と言いつつ、ご飯を出してお店の厨房に戻る。


今日も大盛況だったランチタイムを終えた私たちも、やっと遅いお昼ご飯になった。

みんなには先に食べていてもらって、私はちょっと大事な話!とジェニファーをリンゴ林に誘った。

ラックは私につきあってご飯を食べず、ルークさんと一緒について来た。

前と同じように離れたところでリンゴの手入れをしているのが笑える。

ラック、貧乏性だな。


ジェニファーにサラの事を話すと


「ユアの国の人?なのにこっちの世界に生まれ変わったの?興味深いわね!私もぜひ会ってみたいわ!」


快承してもらえた。

お店の場所は伝えてあるから、そのうち来ると思う。ジェニファーたちが来ている時にサラが来たら紹介するね!という事になった。


転生者あるあるとか聞きたい!

時間はあるかな〜。できたらランチイムが終わるまでいてほしい。私も混ざって話したいし、それとは別に、サラとはやっぱり色々話したい。


サラとジェニファーと話すのが楽しみだ♪




ジェニファーにサラの事を話した次の日には、もう二人は会えた。思ってたより早かったな。

サラはフロース祭の仕事と、せっかくだからと観光をするのに十日間くらい滞在する予定だそうで、少しは時間に余裕があるけど、何より私と話したいとさっそく会いに来てくれたみたいだ。


オーダーを通しにきたアシュリーが


「ユア、歌姫が来たよ!」


と、こっそり教えてくれた。


見るとサラは歌姫仕様ではなくて、普通の町娘さんに見える。

それらしい衣装を着てお化粧をして歌う時のオーラみたいなものがないと、本当にどこにでもいる普通の可愛い女の子だ。

イケメンのウィル君の方が目立ってるよ!


アシュリーに二人を家の方の玄関前に連れて行ってもらう。

私はちょっと抜けるね!と、トーイに任せて厨房から玄関に向かった。

ドアを開けて、サラとウィル君を迎え入れる。

いつものようにジェニファーたちが住居の方の食堂でご飯を食べているから、今なら会えるもんね。


『ちょうど、前に言ってた転生者さんがいるよ。あっちもサラに会ってみたいって。お店の方は人が多いから、家の食堂でゆっくり食べていって』

『え!わぁ!緊張する〜!』

『時間が大丈夫なら、ランチタイムが終わるまでいてほしいな。私も一緒に話したいわ』

『時間は大丈夫!でもお初の人と…、間が持つかな〜』


サラはちょっと不安そうだ。

でもそれ以上話す間もなく食堂に着いた。

ノックをする。


「ジェニファー、こちらアケルの歌姫サラね。私たちと同じ歳だから普通に話して! サラ、こちらジェニファー。冒険者さんであちこち旅の途中だから、色んな話が聞けるよ!」


男子チームの紹介はお互いに任す。

サラとジェニファーはお互いを見て軽く会釈をした。


『優愛!こんな綺麗な子初めて見たよ!女同士なのに、何か興奮するわ〜!!』


私は吹き出してしまった。

吹き出した私と、通じない言葉で三人は怪訝な顔をする。


「サラが、ジェニファーを綺麗だって。綺麗すぎて興奮するって言うから」


笑って教えてあげた。

真っ赤な顔をしたサラには『優愛ったら!』と睨まれてしまったけど。


「じゃあ、サラたちの分もこっちに運ぶから。ちょっと待ってて!」


私は厨房に戻って、通されていたオーダーを出してからサラたちの分を作ると、またちょっとだけいってくる!と料理を運ぶ。

二人分は一人じゃ持てないけど、ひとつはいつの間にかラックが持ってくれている。さり気にいつも気が回るんだよね。

ラックが女の子ならさぞかしいいお嫁さんになるだろう。


ノックをして、サラとウィル君の前にご飯を置くと、サラが歓声を上げる。


『唐揚げ!ポテトサラダ!!』


今日のメニューは、大皿の半分にたっぷりの葉野菜のサラダとポテトサラダ、もう半分には鳥の唐揚げをこれでもかと盛ってある。

それから根菜のスープと自慢のパンだ♪


『和食じゃないけど、懐かしい和風の味だよ!』


サラは食べ始めてそう言うと、ホロホロ涙を流した。

泣きながら食べている…。器用だな。


「泣きながら食べないの。後でデザートも持ってくるから! ジェニファーたちも一緒でいいかな?」

「いいわよ。忙しいのに何回も運ぶの大変でしょ?」

「ありがと!お客さんにさせちゃうのも悪いけど、よかったらそこのお茶を淹れて飲んでて」


大急ぎで厨房に戻ると、すでにオーダーが入っていた。素早く出して、しばらくお店の仕事に集中する。

全部のオーダーを出し終えると、四人分のデザートと飲み物を持って、行ってくる!とまたまた厨房を出る。


『プリン!!またプリンが食べられるとは…』


サラは今度は見ただけで泣き出した。

そうだね。日本で食べていたご飯に比べると、この世界のご飯はイマイチだもんね。

美味しいというのもあるでしょうけど、何より懐かしい味に、きっと涙が出るほど嬉しいんだろな。わかるよ。


サラはプリンを一匙すくって口に入れた。


『美味しい…。 帰りたい…』


思わずといった風に零れた言葉。


言い終えた途端サラの身体が淡く輝いて、まるで虹が消えるように、すうっと消えた。


「サラ!!」


焦ったウィル君が手を伸ばしたけど、何もない空間を空振りしただけだった。


え?! 何? 何が起きた??

その場にいた全員が呆然とした、次の瞬間


「あー、びっくりした!!」


消えた時と同じく、突然現れたサラ。


「サラ!!」


サラはちょっと離れた空間から唐突に現れた。ウィル君は直前にその下に走りこんで、落下するサラを抱き止めた。

野生の勘?さすが獣人さん?すごーい!!


どうしたのかとか色々聞きたいところだけど、とりあえず私はまだお店がある。

時間が大丈夫だったら待っててね!と、仕事に戻った。




クローズになって、今日もお疲れ様〜!と遅いお昼ご飯を家の方の食堂に持って行ってみんなで食べる。

食べながら、サラとジェニファーと話す。

さっきの突然消えちゃったあれは、


「懐かしくてね、ふっと帰りたいな〜って思ったの。思った瞬間、フワ〜って身体が軽くなったんだけど、あ、これ何かまずい!って思って。帰らない、ここにいる!って強く思ったら戻れたの。私、もうこっちの世界に馴染んじゃってるんだわ。別れたくない人たちもいるしね」


ウィル君を見る。いや、見つめ合う。

……こっちが照れるんですけど。


そっか〜……。

私もそういう風になっていくのかな……。


「私はこっちに生まれ変わったから、ユアとはまた違うと思うわ。ユアも十七年もいたら変わってくるかもしれないけどさ」


そうだね。先の事はわからないよね。うん。

それからサラとジェニファーの、転生あるあるを聞きながら笑ったり、苦労話に同情したり。


ちなみにサラは私たちが初めて会ったあの日、ウィル君に自分が転生者だと話したそうだ。

ユアの家族(といっている人たち)に話すっていう事になって、自分が身近な恋人に話さない訳にいかないと思ったんだって。話すきっかけになったっていうかね。

ジェニファーは、また別の理由から最近ルークさんに話していたんだって。


ウィル君もルークさんもきちんと受け入れてくれたって。

サラもジェニファーも普通の人とはちょっと違っていたでしょし、受け入れやすかったかもね。って、失礼か。


まぁそんな感じで、親睦会?はすんなり、楽しく過ごしたのでした。




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