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51話 転移者と転生者 1




『改めて自己紹介するね。私はお隣の国アケル生まれで、名前はサラ。歌姫とかって言われてるけど、平民だから苗字はないよ』


サラはステージ上とは違ってくだけた感じで話し始めた()()()()。先月十七歳になったばかりだって。

ある予想をつけて、私も自己紹介する。


『私は木崎優愛。一年前か三年前か微妙な感じだけど、突然こっちの世界に来ちゃった日本人だよ。体感的には同じ年の、今は十六歳』


サラは吹きだして笑いながら言った。


『うん。日本の歌を歌えて、何より黒髪黒目だもんね、すぐわかったよ。 ところで何?一年前とか三年前とか体感的とか曖昧な感じ』


あの後、サラたちが泊まっているという高級宿屋さんに連れてこられた。

ステージ下にいたジェイとラックも一緒に来たよ。アシュリーたちは人が多すぎて移動できなかったらしい。この二人はどうやって移動したんだろう?


とにかくまぁ、今は高級宿屋さんのサラの部屋にいる。

部屋の中には私とサラとジェイとラック。それから私を壇上にエスコートしてくれた獣人のお兄さんもいる。

銀色の髪の毛で、お耳も銀色の髪?の毛。フサフサの尻尾も銀色。後から聞いたところ、銀狼の獣人さんだとか。深い森色の綺麗な目の色で、かなりのイケメンさんだ。

うちのイケメン筆頭ラックといい勝負だな。どうも人外の方々は美形揃いのようだ。


「ユア……」


ジェイが困ったように見てくる。

話していてわかった事だけど、私とサラが話す時は日本語になるっぽい。こっちの世界の人が混ざれば、こっちの世界語になるっぽい。だから私とサラだけが話していると、ジェイたちにはさっぱりわからないのだ。ジェイが不安そうな顔をしてるけど、こればっかりはどうしていいかわからない。

サラも初めての事でわからないらしい。心なしか獣人のお兄さんも不安顔だ。


お互いの自己紹介を終えると、一緒にいる男子チームの紹介もする。

ジェイを紹介する時、恋人というのにかんでしまった。恋人って人に紹介するのは恥ずかしいもんなんだね!

獣人のお兄さんは年上に見えたけど同じ年だって。名前はウィル君。サラの恋人で護衛騎士さんなんだって!


恋人が護衛騎士!

何か、きゃ〜!ってなる!!


話を続ける。


『何となくわかってると思うけど、私は転生者みたい。優愛は転移者でしょ?』

『そうそう!!登校途中にいきなりこっちの世界に来ちゃったの!来てすぐ魔獣?に襲われてたところを、そこにいるジェイに助けてもらって、その後色々ありながら帰り方もわからないまま今に至る…… って感じ』

『高校生?』

『こんな事になってなかったら今は高二。現役JKだよ♪』

『高校生か〜。JKって言葉も懐かしいわ!私は大学三年生くらいで死んじゃったみたいなの。その辺はあまり憶えてないけど、はっきり憶えてるのもイヤだし、まぁいっかってね。生まれた時から前世の記憶があって、これはもう流行りの転生ものだ!って』


あら、お姉さんでしたか。


『今は同じ年だからタメ口でいいよ。敬語とか老けちゃう』


老けちゃうって!思わず笑ってしまう。

気さくなお姉さんでよかった。


『転生者ってさ、言ってもきっと信じてもらえないじゃない? 頭のおかしいヤツだって思われたらイヤだしさ。誰にも言えなかったから 大 解 放 感〜!!』


晴れ晴れとした顔で笑う。

こうやって見ると、お姉さんじゃなくて同じ年の女の子だ。


『家族にもウィル君にも言ってないの?』

『う〜ん……。言おうと思ったんだけどね……。いざとなると躊躇しちゃってね』


うん。まぁそうか。

転生者を知らなかったら、何それ?ってなるよね。

あ!


『知り合いに転生者いるよ!といっても、この世界からこの世界にだけど。その人も誰にも言えないでいるよ。会ってみる?』

『転生者いるんだ!!会ってみたい!!転生者苦労あるあるを話したい!!』


苦労してるんだ。

苦労あるあるって。笑ってしまった。


『その人にも聞いてみるね。サラはまだパエオーニアにはいるの?』

『来たばかりだよ!やっと仕事が終わったんだもん。大国の王都観光をしなくちゃ!!』

『そうだね!私も王都に来た時に観光に連れてってもらったけど、そりゃあもうすごかったよ!楽しんでね!』


私はレストランをしてる事、お店の場所も教えて『時間ができたら来てね〜♪』と、この世界の転生者はほぼ毎日来てるから、相手からオーケーをもらったら紹介するよと約束して別れた。




「ユア、さっきの歌姫との会話、まったく知らない言葉だったんだけど……。あれって何?」

「サラね、あの人私のいた世界からの転生者だったよ。あ、これ内緒ね!」


帰り道でジェイから尋ねられて、二人に口止めする。

転移者という事を知っている、私の家族(といっている人たち)には、秘密を守る事を条件にサラの事を言っていいとお許しをもらっている。じゃないと、私が一緒に歌が歌えた訳がわからないもんね。ウソを言うのもイヤだしさ。


「ユアの世界の人か……」


ジェイの声は低く沈んでいた。

はて?何でだろう?


「ジェイ?」

「うん、何でもない。アシュリーたちが心配してると思うから急いで帰ろう」


うん、そうだね。とりあえず急いで帰ろう。

心配もだけど、私的には今夜のジェイのお誕生会だ。夕方にはまだ時間があるけど、ご馳走の準備をしなくちゃ!




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