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46話 開店準備と画家さんもゲット 2




屋敷の改装工事と開店準備は進んでいる。

日々の変化は他にもあって……。


恋人、というのか、婚約者と言うのか。ジェイとの仲も、今までよりも恋人っぽい感じで、仲良しに、なっている。

お休みの日のデートとかね!

これが妙に照れくさい。何せお付き合いというものをした事がなかったし、あっちの世界とこっちの世界じゃ違いもあるかもしれない……。けど、そこからしてもうわからない。


手を繋いで歩いていると、デートみたいだな〜、なんて他人事のように思っている自分に気づく。

気づいて苦笑い。でも嬉しくなって、その後また照れ笑い。


手を繋ぐと、ジェイはとたんに無口になるか止めどなくしゃべりまくるかどっちかで。

ジェイも照れてるんだとわかると、ちょっと余裕になったり。

まぁ、楽しくやってます。はい。


デートはおもにランチの食べ歩き。とにかく色んな味やら種類?やらを食べてみようって感じだ。

アダムやトーイにも食べにいってもらっている。

しばらく前からお菓子作りで意気投合して仲良くなったアシュリーとワイアットさんも二人で食べ歩き。何やらいい雰囲気だと思うのは気のせいだろうか?

そうだったらいいな。恋バナっていうのをしてみたい!


ちなみにラックはリアンさんとお留守番だ。

元々あまり人の多いところに出たがらなかったし、ご飯は私が作るものが一番なんだって!イケメンの上に口まで上手い。ラックじゃなかったら口説き文句かと思っちゃうところだよ。


そんな感じでみんなの報告をまとめると、私たちの味で十分やっていけそうだ。

今更だけど、やっぱちょっと安心する。


ジェイたちも、まだあまり稼ぎが少ない若い冒険者さんに宣伝してくれてるし、貧民街のみなさんも、お金を貯めて食べに行くよ!と言ってくれてるし、工事してくれてるおじちゃんたちも現場が近かったら通うよ!と言ってくれてる。


そもそもガッツリ営利目的ではないからそんなに気負わなくていいのがいい。食材分くらいにはならないとさすがに困るけどさ。

アイザックさんは亡くなってしまったけど、アイザックさんの思いは残る。

あ、そうはいっても貧しい人たち専門店って訳じゃないよ?

一般人?でも富裕層でも、来ないとは(来たけど!)思うけど、お貴族様でも貴賎は問わずウエルカムだ。


ただ身分のある人に理不尽にされたらイヤだなぁとは思う。

他のお客さんを見下したり威張ったり、そんな事になったらどうしよう。

という心配はなくなったからよかった。

どういう事かというと、それはまた後での種明かし♪




三月になった。

今日はアシュリーのちょっと早いお誕生会。いつものように半日は普通に仕事をして、ラックとトーイとお買い物に行く。


今日はアシュリーが主役だから準備は私たちだけでしよう……、というか、アシュリーはワイアットさんからデートに誘われて朝からお出かけしちゃってる。

ニヤニヤしながら見送ると(いつものお返しだよ!)アシュリーは照れながらもワイアットさんにエスコートされて出て行った。


アシュリーさん、これもう決まりでいいですよね?恋バナしましょう!

いや、照れてできないか!

とりあえず夕方にはみんな帰って来るから、それまでに準備しなくちゃね!


メニューはいつものようにハンバーグとパンケーキ。

なんと!カキ氷器を作ってもらった金物屋さんに、ミンチ製作器を作ってもらったのだ!

なんでもっと早く気づかなかったかね〜。カキ氷が作れるならミンチの方も作れるよね……。

まぁ、そんな感じで作業時間が大幅に短縮したので、アシュリーをデートに出してあげられたのだ♪


それから、春野菜を使ったお料理はロールキャベツと、まだまだ夜は冷えるから温野菜サラダ。それとマカロニグラタンなんかどうでしょう?菅型は作れないから、真ん中をつまんでチョウチョ型の可愛いヤツにしてみた♪たっぷりチーズで熱々……。考えただけでもう美味しそう!早く食べたい!!


お誕生日のお料理を一緒に作るトーイは真剣で楽しそう。

トーイは元々が器用なのか、包丁使いも上手いし覚えも早い。子供は吸収がいいね〜! 子供といってもすでに立派な働き手だったけどさ。

ほんとこの国の人たちは大人も子供も働き者だよ!定休日って考えがないから、みなさん年中無休だったりする。

週一のお休みが決まっているよと言った時のトーイの顔ったら!

私にとっては週休って二日だったから、無休の方が驚きなんだけどね


せっせとお料理していると、アシュリーたちが予定より早く帰って来た。


「やっぱり何もしないで遊んでいるのも気が気じゃなくて。落ち着かないから帰って来ちゃった!」


さすがアシュリー!ええ子や〜と、こういう時の謎の関西弁。

さっそくワイアットさんと参加してくれる。


「わぁ!何これ、初めてだね!」

「ロールキャベツっていうの。キャベツの中にお肉を入れて巻いて煮込むだけ!でもゴージャスに見えるでしょ?」

「手が込んで見えるね!また今度最初から教えて!」

「アシュリーもお嫁さんになったらダンナ様にご飯作るんだもんね〜♪」


わざと言うと、アシュリーは赤くなって「トーイは何をしてるのかな〜」なんて、トーイの方に行ってしまった。

ワイアットさんはと見ると、アシュリーを愛おしそうに見てニコニコしてた。ごちそうさまです。


その夜のお誕生会も美味しくて楽しくて、アイザックさんがいないのは淋しかったけど、みんな揃ってご飯が食べられる幸せを改めて感謝した。


お初のロールキャベツもマカロニグラタンも好評だった。チョウチョ型はチーズに埋もれちゃってわかってもらえなかったけど。もう次からはただの四角でいっか!


お誕生会二回目のワイアットさんとトーイもすごく喜んでくれている。

お初のオリバーさんは声もなく感動していた。見てわかるほど手が震えていたから心配したよ。


お誕生会は途中だけど、トーイは遅くならないうちにと帰す。

お土産にパンケーキを少しおすそ分けすると、今日一の笑顔になった。妹弟思いのお兄ちゃんに、つられてこっちまでホッコリ笑顔になったよ。


次は来月のアダムのお誕生会だね。

五月はジェイで、六月はワイアットさんで、七月はラックとリアンさんで……

ずっとずっとみんなのお誕生日をお祝いしていきたい。


あ、トーイとオリバーさんのお誕生日も聞いておかなくちゃね!

お祝いする人が増えていくのは嬉しい。ご縁を大切にしよう。




この国で暮らしているんだから、ここで幸せになる努力をしなくちゃ。

本当にそう思っているけど……

思おうとする心の中にはもうひとつ、後ろめたい思いもあって。


来た時と同じように、また突然元の世界に帰れる事があるかもしれないと、私はその願いをなくす事ができないでいる。

ジェイと結婚するには、そう願わないようになってからじゃないといけないよね。

しっかりこの世界で、ここの人たちと暮らしていく気持ちになってからじゃないと、ジェイに不実だと思う。

もちろん年齢的にもありえないんだけど、半分はそういう気持ちもあったりで……。


悩んでいても仕方ない!

私は行き詰まる時いつも思う、できる事をひとつずつ!と声に出した。




アシュリーのお誕生会がすんだら、いよいよお店のオープンだ。

お誕生会の次の日はお休みだから、今日はみんなでアイザックさんのお墓参りに来た。


「アイザックさん、とうとう開店します。多くの人に美味しいと思ってもらえるようにがんばりますね!」

「私、今からすでに緊張してます。アイザックさん、失敗しないように見守っていてください!」

「俺たちは家の方のサポートをするわ。アイザックさん、店の方よろしく頼みます」


それぞれの思いを告げて、それから静かに祈りをささげる。


アイザックさん、とうとうです。

アイザックさんの思いも一緒にお料理に込めますから!

食べた人の元気や希望になれるように見守ってください。




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