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間話 ジェイ 4




やっと会えた。ずっと探していた女の子。

やわらかい身体を抱きしめて、心からユアがここにいるんだと実感できた。


あぁ、本当に会えたんだ

愛しい気持ちがいっぱいになって、俺はもう二度と離れないと思った。


その後は、俺の滞在している安宿に移動して、あれからの事を聞いたり話したりした。

変わらない不味い飯だけど、いつもよりマシに思えるほど俺は幸せな気持ちだった。

あれほど探したユアが目の前にいる。もうそれだけで他の事はどうでもいいくらいだ。


ユアが最初の一口を食べた時、わずかに眉をしかめたのには笑えたけど。

な?不味いだろ?


飯を食いながら、ここまで一緒に来たという三人とも話した。

アシュリーという同年代の女の子。同性の友達ができてよかったな。

そのアシュリーの兄だというアダム。こいつユアに気があるな。だけど自分の事より妹が一番という考えのようで、ひとまず安心る。


表情が読めないのはラックという男だ。

どう思っているかいまいちわからないけど、ユアを見る目に熱はない。だけど妙に距離が近いんだよな…。

後でちょっと話してみよう。


俺は笑顔で話しながら、そんな風に観察していた。

この二年でライバルができたなら、離れてた時間は不利だからな。慎重にもなるってもんだ。




さっそくその夜、ラックに俺の部屋に来てもらって話した。

どう見ても同年代だけど百歳超えだという。

面白い。世界はまだまだ知らない事ばかりだ。


「単刀直入に聞く。ユアとの関係は?」


感情の読めない表情。赤い目がジッと俺を見ている。

おっ。さっきと反対に、俺、観察されてる?


「ユアは生涯仕える主だ」

「主なのに呼び捨てなのか?」

「ユアがそう望むから。望みは全て叶えたい」


ふ〜ん……。 質問を変える。


「ユアを好きか? 俺は好きだ!」


そういった事を聞くのに聞きっぱなしはフェアじゃないと、自分の気持ちも言っておく。


「好きか嫌いかでいったら好きだ。だけど恋愛感情ではないから安心しろ」


ふっと笑われた気がした。

実際の表情は何も変わってないけどな。くそっ、これが百歳超えの余裕かよ。

俺が何と言えばいいかわからなくなると、それを察したのか


「オレが望むのはひとつだけ。ユアが幸せになる事。そのためには何でもする。……ジェイ、ユアが好きならユアを幸せにするか?」


できるか?じゃなくて、するか?ときたもんだ。

俺は強気で答えた。


「俺でいいならするよ!っていうかしたい!! ユアは転移者様だから、俺なんかが何かしていいのかわからないけど…。俺はユア以外いらないからな」


抱きしめて改めてわかった。ユア以外はいらない。

ユアが嫁じゃないなら生涯独身決定だ。

まぁ、独り者の男なんてゴロゴロいるし珍しくもないだろ。


「ユアはカメッリア領の庇護下にある。もう連れさらわれる事はないと思うけど、どこにでもバカはいる。オレは生涯仕えると決めているから、ジェイがユアを幸せにするなら一緒にユアを守るよ」


俺をジッと見たまま、ラックは淡々と言う。

あれ?何か認められてるっぽい?

いや、ラックが認めるも何もないけどさ。

でも何か、保護者に認められてるようでちょっと嬉しい。けど何で?


「初めて会ったばかりだっていうのに何か評価甘くない?俺にとっては嬉しいけどさ」

「ユアからジェイの話はたくさん聞いている。ユアの望みは、できるだけ叶えたい。

ユアを粗末に扱ったり、哀しませたり、不幸にしたら……」


語尾は切れたけど、続く言葉はわかった。凄まじい殺気。


目がマジだよ!!


そういやラックは戦闘奴隷だったとか。戦経験者の対人の殺気、半端ねぇ。

俺は知らず背筋を伸ばす。


「もしユアが俺を選んでくれたら、絶対粗末になんか扱わねぇ。哀しませ…ないように女心も勉強する! 幸せにする!! ように死ぬまで努力する!!」


ラックは納得したように部屋を出ていった。

俺は脱力して床にへたばった。ドッと汗が噴き出してくる。

ラックさん、半端ねぇ。ライバルよりこえぇよ!

何だ親父か?もしかしたら結婚の申し込みもお許しをいただかなくちゃならないのか?


ドキドキしていた心臓が落ち着いてくると、でもユアを守る人としては心強いと思う。

もう二度とユアを連れて行かれたくない。二人で守るなら二倍安心できる。

恋愛感情はないって言ってたしな!


明日から、あ、もう今日か。ユアと一緒にいられるんだ。

俺は二年ぶりに安らかに眠りについた。




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