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26話 プリュネ再び 2




すぐにでもリーリウムに行きたかったけど、何せ先立つものがない。

リーリウムまでは、ずっと駅馬車を乗り継げば十日程で着くらしい。

徒歩ならひと月くらい。そりゃあ駅馬車でしょ!でも先立つものがない。


ひと駅分ずつ働きながら行くより、ここで十日分の馬車代を稼いでから行った方が効率がいいよ!と言うエマちゃんの言う事を聞いて、ここで働いて旅費を貯める事にした。

ジェイを思うと気が急いてしまうけど、目標が決まれば今やる事をしっかりやるだけだ。


プリュネに着いた翌日は領館に行って事情説明をした。

ケイトさんはいなかったけど当時の事は記録されていて、保管されていた荷物も受け取れたし、すぐにプルヌスに知らせてもらえる事になった。

よかった。ケイトさんにもすごく心配させてしまったろうから。これで心置きなくリーリウムに旅立てるよ。

お金が貯まってからだけど!


それから冒険者ギルドに行ってラックの登録をして、守衛さんに身元証明をしに行った。これも懐かしい。


もちろん滞在はブレイディさんの宿だ。

ブレイディさんが、朝ご飯を手伝ってくれたら宿代はいいよと言ってくれたし、何よりプリュネにはエマちゃんとブレイディさんしか頼る人がいないからね。

太っ腹な事に、ラックとアシュリーとアダムも色々な手伝いを宿代にしてくれた。


ラックに、リーリウムに一緒に行こうと話していたら、アシュリーたちも一緒に行くと言う。

え。だって二人はここ、プリュネを目指していたんじゃなかった?


それはそうだけど、一緒に行くと言う。

そっかぁ。初めての友達と早々にお別れしなくてすんで嬉しいと笑顔になったら、アシュリーが抱きついてきた。


えへへ、アシュリーも喜んでくれて嬉しい。

アダムも嬉しそうに見える。妹思いのお兄ちゃんだ。私もそういう気持ち、よ〜くわかるよ!ほっこりする。


という事で、四人分の馬車代がいる事になった。それでブレイディさんの申し出だったのだ。

ありがたい。心を込めて働きます!




領館に行って、ギルドに行って、身元証明をしに行った夕方から、さっそく宿の厨房に立つ。

ブレイディさんに、砦で大好評だった枝豆と鳥唐を教える。夜の営業はお酒が出るから、こういうおつまみ系は喜ばれるだろう。


私には約二ヶ月前、ブレイディさんたちには約二年前、ちょうどお世話になった頃と同じで今は初夏。この時期は美味しい新モノがたくさんあるんだ♪


ビールに合うポテトメニューも提案する。

新じゃがなら、蒸し立ての皮つき熱々に十字に切れ込みを入れて、たっぷりバターをのせた定番のじゃがバターは外せない!バターだけじゃなくてマヨネーズも美味しいよね!個人的にはシンプルにお塩だけなんかも好き♪

くし切りにした皮つきポテトフライもいいね〜♪ ちょっと塩多目で♪

じゃが芋とベーコンとアスパラガスなんかをオリーブオイルで炒めて、塩コショウも美味しいよね〜!

おっと!バターとマヨネーズの作り方も伝授しておく。


あ。それと、私が教えたレシピはブレイディさんの宿の中だけ、他には秘密にしてもらう事を伝える。

今回教えたレシピと前回この宿で作った、なんちゃってオニオングラタンスープとかカリカリベーコンの半熟目玉焼きなんかはラヴィーニアさまにお譲りしているレシピになっている。

この世界に特許があるかはわからないけど、お料理のレシピも財産なんだそうだ。

ラヴィーニアさまという事は、このカメッリア領の財産という事らしい。


転移者の私は狙われているという話だったけど、レシピのやり取りでラヴィーニアさまの庇護下におかれる事になった。なので、それほど用心しなくてもよくなったと思われる。それに未だに信じられないけど二年もたってるしね。

とはいえこの黒髪黒目は目立つから、わかる人には転移者だとわかってしまう。契約しているより所有権?は弱いけど、私と契約するにはラヴィーニアさまに筋を通さなければならないくらいには効力があるらしい。

大陸一の大国パエオーニアの辺境伯の権力は強いのだ。


話は戻るけど、という訳で本当なら守秘義務があるんだけど、お世話になったブレイディさんの宿には、他には漏らさない事を条件に教えていい事になっている。というか、それは条件にしたしね。

それから、将来自分でお店を開いたとしたら自分のお店に出す事も。


どうも私の生業は料理関係がいいような気がする。他を試した事はないけど、冒険者で剣を使うような事はできそうにないし、お料理は好きだし楽しい。美味しいと言ってもらえれば嬉しい。

ジェイも褒めてくれて、二年?前それでやっていこうと思った事もあったしね。




さて。プリュネに着いて三日目、朝から張り切って厨房で朝ご飯の手伝いをする。

ブレイディさんがベーコンを薄〜く切る。カリカリベーコンの半熟目玉焼きは二年前からこの宿の定番朝ご飯なんだって。

特許?といっても、これは見れば誰でも作れるけどね。


朝ご飯は、毎日炊きたてご飯におみそ汁に納豆でも…… いや、毎日は飽きるか。ご飯とおみそ汁はいいけど、毎日納豆は飽きる。

きっと連泊のお客さんも、毎日ベーコンエッグは飽きるだろう。


という事で、甘くないフレンチトーストを提案する。甘くないのは朝ご飯だからね。

それに厚切りの熱々ベーコンをつけるのでどうでしょう?ウインナーとかあったらそっちでもいい♪

あとは、サンドイッチは朝から大変かな。だったらそれより手抜きな、ハムチーズのホットサンドなんかどうでしょう?

それをローテーションで日替わりにしたら連泊のお客さんも飽きないと思うし、ブレイディさんの宿屋の売りになると思う♪


私とアシュリーが朝ご飯の手伝いをしている間、ラックとアダムは宿の掃除や修理をしていた。

親子二人の経営だから、普段なかなか手が回らない所の掃除や、後回しになっていた壊れ物なんかの修理が結構あって、男子チームは意外にも器用にこなしていた。


エマちゃんという女手があるから、まぁまぁ清潔な宿ではあったけど、やっぱりできる事には限度があるもんね。シーツとかカーテンとか大物洗いは大変だし。男子チームは空室のそれらもやってくれた。

二人ともいいお婿さんになるよ!


宿で朝の仕事が終わると、日中はギルドの仕事だ。

私とラックとアシュリーは高額な依頼はできなかったけど、アダムは私たちより高給な依頼を受けていた。


ラックは私と一緒じゃないとイヤそうだった。見た目は大人になったけど、ちょっと前まで奴隷だったから人前に出るのはまだ怖いみたい。

私もアシュリーも初めて就職するので、不慣れな三人で受けられる依頼にした。


そのアシュリー、今でも精霊が寄ってくるようだけど前のようにされるがままにはならず強気でがんばっている。積極的にイキイキと仕事をしているよ。


早朝と日中めいっぱい働いてるから、夕方宿に帰るとご飯もお風呂もそこそこに倒れるように眠る。

そしてまた早朝から働く。そんな事を五日もしていたら必要な金額になった。


さぁ、十日間連続馬車の旅を始めるか!




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