第20話 偽りの輝き
王立魔法学園での学園生活が、幕を開けた。
この学園では、魔法の実技や学問、そして社交の基礎を網羅的に学ぶこととなる。
入学から数日後、魔法適性と測定が実技室で行われた。
「次は、特待生のミーナ」
教師に名前を呼ばれ、ミーナは誇らしげに中央の水晶の前へと進み出た。
見学スペースの上級生席には、皇太子の姿もある。
ミーナはちらりと皇太子へ視線を送ると、意図的に魔力を強く解放してみせる。
水晶が眩い白銀の光を放ち、教室全体を明るく照らし出す。
「おお。なんという純度の高い光魔法だ」
「やはり平民とはいえ、特待生として選ばれただけのことはある」
生徒たちから上がる歓声と拍手。
ミーナはうっとりとその歓声に酔いしれ、皇太子が満足そうに頷く姿を見て胸を張った。
自信満々に鼻を鳴らすと、貴族の生徒たちの中心にいるリリアへと視線を向けた。
リリアは嫌味や嫉妬を抱くどころか、心からの笑顔で小さく拍手を送っていた。
「ミーナさんの光、とてもあたたかくて素敵ですね」
穢れのない純粋な瞳で褒められプライドを強く逆撫でされた。
リリアの測定順が巡ってきたときは、水晶はほんの僅かな淡い光しか示さなかった。
リリアの、二重の隠蔽結界が機能したからだ。
お兄様と公爵家の魔導師たちが総力を挙げて施した。
公爵家以外の誰の目にも触れないように、真の力、精霊たちの加護と繋がる規格外の奇跡は完璧に隠されていたのだ。
「公爵令嬢と言っても、魔法の才能はたいしたことないのね」
ミーナはすれ違いざま、リリアにだけ聞こえるような小さな声で嘲笑を浮かべた。
「私なら、皇太子殿下のお役に立てるような強い光魔法が使えるわ。リリア様は、お屋敷で大人しく守られているのがお似合いなんじゃないかしら」
「リリアに向かってなんて口をきくんだ」
隠れていた光の精オリオンが激怒して突撃しようとしたが、リリアはそっと指先で精霊を制した。
「大丈夫。お兄様と約束したのよ。ここで静かに、勉強するのよ」
リリアは落ち着いた笑みを絶やさなかった。
地下牢の絶望を知り、お兄様の深い愛によって満たされたリリアにとって、ミーナの浅はかな煽りなど、痛くも痒くもなかった。
ミーナのリリアに対する謎の対抗心と、皇太子を巻き込んだ立ち回りは、これから始まる学園生活で、より陰湿かつ大胆なものへと変わっていくのだ。




