第2話 光の精オリオン初めてのお友達
物心ついたときの、わたしの世界は暗闇と寂しさだけだった。
「おとう様、おかあ様」
小さかった頃のわたしは、忌み子なんて難しい言葉も知らなかった。
扉のむこうに向かって何度も何度も、泣きながらお父様やお母様を呼んだ。
けれど、鉄の扉が開くことはなくたまに来る見張りの人は。
「静かにしろ、忌み子が」
冷たい声をかけるだけ。
暗闇の中でしくしくと声を殺して泣いた。
そんなときだった。
暗闇のなかで小さな音が聞こえた。
ぬれた目をこすりながら顔を上げると、そこには小さくてあたたかい光のたまが浮かんでいる。
大きさはおや指くらい。
淡い黄金色に光っていて、背中にすきとおった小さな羽が生えている。
わたしが息をのむと、光のこはゆっくりと近づいてきた。
あたたかい。
「泣かないで、ちいさな子」
心の中にやさしい声が響いた。
「だれ。光さん」
「光の精オリオンだ。リリアの寂しい心が、呼んだ。痛いことされてずっと辛かったね」
光の精オリオンさんは、涙をぬぐうようにちいさな羽をパタパタと動かした。
アリアーネお姉様に意地悪をされても叩かれても、誰も助けてくれないと思っていた地下牢にお話を聞いて心配してくれるオリオンさんが来てくれた。
嬉しくて嬉しくてまたぽろぽろと涙をこぼしてしまった。
「もうひとりじゃない。おいらも森の仲間たちもずっとリリアのそばにいる」
オリオンさんが一回転すると、石の壁のすき間から新しい光が集まってくる。
青い光、緑の光、赤い光、茶色い光が、地下室に舞い降りてきた。
暗かったお部屋がいろんな色でいっぱいになる。
光のこたちは、わたしの周りを回りながら痛む手をやさしく包み込んでくれた。
青い風の子がそよ風を送って涙を乾かしてくれる。
茶色い地の子が冷たい石の床をすこしだけあたたかくしてくれる。
「みんなきらきらしてきれい。ありがとう」
わたしが手のひらをおおきく広げると、精霊さんたちは嬉しそうに集まってきた。
お父様やお母様が抱きしめてくれなくても、お姉様がどれだけ酷いことをしてきても、精霊さんたちがいそばにいてくれる。
わたしはいきていける。




