第14話 精霊の庭で芽生えた奇跡
フェルディナンド公爵邸で暮らし始めて一年が過ぎようとしていた。
すっかりお肉がついて健康的になったわたしは、レオンさんの見守りとお兄様に優しく教わり、文字や作法、精霊術の基礎を教わり学び始めていた。
「リリア、焦らなくていいんだよ。精霊術は心を通わせることが大切だからね」
お兄様の声に頷きながら、わたしは庭園の枯れかけた小さな薔薇の苗木にそっと手をかざす。
地下牢にいた頃からずっと寄り添ってくれている光の精オリオンや風の精だけでなく、お庭の土の精や水の精たちが、わたしの周りに一斉に集まってくる。
「リリアの優しい気持ちお花に届けてあげる」
「おいらたちも手伝う」
わたしの手のひらから溢れ出た柔らかな金色の光が、精霊さんたちの光と混ざり合い、苗木を優しく包む。
枯れかけた苗木は、一瞬で芽をだし、色鮮やかな大輪の薔薇の花を咲かせたのだ。
周りの枯れ草も一面に、緑へと変わり庭全体に甘い香りが満ちあふれた。
「これは、リリアお前の精霊力は精霊と話せるだけでなく、生命そのものを呼び覚ます創世の加護かもしれないな」
目の前の光景にお兄様は目を見張り、感銘を受けたようにわたしを抱き上げた。
物陰で見守っていたレオンさんも、感涙しながら深く頭を下げている。
創世の加護は、王国の初代大聖女が持っていたと言われている伝説のものだ。
「お兄様、お花さんたちがリリアちゃんありがとうと笑ってるよ」
「ああ、素晴らしいよリリア。だがこれほどの才能だ。お前が成長し、外の世界へと踏み出す時には相当な準備と守りが必要になるだろうな」
お兄様はわたしの頭をなでながら、未来を見据えるような眼差しで遠くを見つめた。
5歳で公爵家に引き取られたわたしは、令嬢としての教育を受け、やがて王立学園に入学や、貴族社会への最初のお披露目となるデビュタントを迎えることになる。
精霊さんたちとあたたかい家族に囲まれた未来への第一歩を進歩いていた。




