9話就職就職
あ~~~ムズイ!イクトのキャラを立てると脱線しまくので読みづらくなる。ちゃんと作品にしようと思うと無理がある部分が露呈するそれをいなしかながら形にするのむずい。※ちゃんと
小説という形にしようとするのは初めてです。
「では、この業界を目指したきっかけを教えてください」
「きっかけ……ですか」
イクトは少し考える。
「最初は、本当にただの趣味だったんです」
「趣味?」
「はい。パソコンをいじるのが好きで、そこからサーバーにも興味を持って。最初は余っていた機材を使っていたんですが、そのうち物足りなくなって、中古のラックマウントサーバーを買って――」
「ラックマウント?」
「はい」
「……ご自宅に?」
「自宅に」
「…………なるほど」
まだ序盤である。
「仮想化も面白そうだったのでProxmoxを入れて、VMを何台か動かして。そうなると今度は監視したくなるじゃないですか」
「……なりますかね?」
「なりますよ?」
「あ、はい」
「それで監視を入れる。バックアップも欲しくなる。ネットワークもちゃんと分けたくなる。そうすると今度はストレージも気になってくる」
イクトの口数が、明らかに増えていた。
「ESXiも触りましたし、いつかIsilonとかNetAppも使ってみたいんですよね。欲しいとは思ってるんですけど、今の規模だと完全にオーバースペックなので」
「…………」
「新しいものを知ると触ってみたくなるんです。それを自分で構築して、実際に運用してみる。障害が出たら原因を調べる。直す。また新しいものを入れる」
そこでイクトは、少し楽しそうに笑った。
「そうやって遊んでいたら、いつの間にかインフラエンジニアを仕事にしたいと思うようになっていました」
「なるほど」
「だから僕にとっては――」
少し考えてから、言葉を続ける。
「趣味だったものが、そのまま仕事になるんですよね。それって、すごく幸せなことだと思うんです」
「…………」
「仕事が終わったら、家でもサーバー触ってると思いますけど」
「仕事が終わってもやるんですか?」
「趣味なので」
「…………なるほど」
「では、少し話を変えましょう。これから社会に出ていくとして、どのような人生を送りたいと思っていますか?」
「そうですね……」
少し考えて、イクトは答えた。
「脳の病気だけはしないように生きたいです」
「…………」
「…………」
「ずいぶん具体的ですね」
「大変だったので」
「…………大変だった?」
「あっ」
一瞬、止まる。
「いえ……」
危ない。
一回目。
まだ誤魔化せる。
面接官は少し不思議そうな顔をしていたが、それ以上追及することはなかった。
「……では、技術的な質問に移りましょうか」
「はい」
手元の履歴書に目を落とす。
「こちらに、ご実家で使われている業務システムの構築経験があると書かれていますね」
「はい。父が酒蔵をやっていまして。もともとExcel中心で管理していたんですが……」
少し間を置く。
「許せなくて」
「許せなくて」
「はい」
技術担当者の口元が少しだけ緩んだ。
「それで、ご自身で?」
「はい。最初は小規模なものからですけど」
「いつ頃から?」
「小学――」
「小学生?」
「はい」
「…………」
また、妙な間が生まれた。
「そのシステムは、今も?」
「動いてますよ。僕がいなくても運用できるようにしてあります」
「というと?」
「手順書を残して、監視を入れて、バックアップを取って、復旧手順も定期的に確認しています。僕一人に依存するような構成にはしたくなかったので」
「なるほど」
「障害対応を特定の人間に依存させるのはダメです」
さっきまで柔らかかったイクトの表情から、
すっ――
と光が消えた。
「担当者が突然いなくなっても回るようにする。障害が発生したときに『あの人しか分からない』では遅いんです。手順を残す。監視する。バックアップを取る。復旧できることまで確認する。バックアップは取っただけではバックアップとは――」
「かなり強いこだわりがありますね」
「あります」
即答だった。
「何か、そう思うようになった経験が?」
「前の職場で――」
「前の職場?」
「…………」
「アルバイトですか?」
「…………」
二回目
「いえ……まあ……」
技術担当者が首を傾げた。
それでも面接は続く。
話題はネットワークへ、サーバーへ、仮想化へ。
当然のように古い技術の話にも枝が伸びた。
「昔はそれで苦労したんですよ」
「昔?」
「あっ」
三回目。
さらに――
「DCにいた頃も――」
「いた?」
「あっ」
四回目。
「…………」
「…………」
面接室が静かになった。
「生久人さん」
「はい」
「先ほどから……少し時系列がおかしくないですか?」
「…………」
「小学生の頃からシステムを構築していたことは、まあ、かなり珍しいですが分かります。ただ、『前の職場』や『昔は』、それに今『DCにいた』と……」
「…………そうですね」
さすがに無理がある。
脳の病気でポロリ。
前職でポロリ。
昔の技術でポロリ。
DCでポロリ。
このまま一つずつ嘘を重ねて、辻褄を合わせることはできる。
たぶん、そう難しいことでもない。
でも――それは違う。
面倒だとか、そういう話じゃない。
誠意とか、そういう根底の部分でダメだ。
これから働くことになるかもしれない会社の人たちを前にして、辻褄を合わせるためだけの嘘を重ねる。
それはしたくなかった。
それに――
もう、だいぶ漏れてる。
「…………分かりました」
「はい?」
姿勢を少し直す。
とはいえ、いきなり断言するにはあまりにも突拍子がない。
だから、一枚だけクッションを置くことにした。
「仮に、ですよ?」
「はい」
「僕に前世の記憶があると言ったら、皆さんは信じますか?」
「…………」
「…………」
「…………」
面接官たちの動きが止まった。
「まあ――」
困ったような笑みを浮かべる。
「仮にじゃないんですけどね」
「…………」
「…………」
「…………」
誰も、すぐには次の言葉を出せなかった。
やがて、人事担当者がおそるおそる口を開いた。
「……ご両親は、このことをご存じなんですか?」
「いえ?」
「え?」
「誰にも話してませんよ」
「…………」
「…………」
「ん?」
面接官同士が顔を見合わせる。
(採用面接で何を聞かされてるんだ、俺たちは。)
「えーっと。弊社で勤務形態について確認させてください」
人事担当者が、なんとか面接を本来の軌道へ戻す。
「業務内容次第ではリモートワークも可能でして。最初の1年は評価期間として必ず出社して居いただく必要がありますそのため地元を出頂く必要あると思っています。その点は大丈夫でしょうか。」
『ハイ、いつでもこちらに越してくる準備は出来ています。賃貸の戸建ても抑えています。』
「アパートでではないんですね。」「電気系統」と通信速度が担保できないので…あとはさすがにサーバー群は隔離しないと眠れないので。」
(うーん計画的そしてこっちでもラック生やす気なのね。)




