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転生してもエンジニアだった(習作)  作者: 来須奏
学生編

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3/21

4話再会

申し訳ない!未の前に未投稿の話があった!

そんなこんなで、サーバーを弄ったり、ゲームをしたり、音楽に手を出したり。

 ひたすら趣味に没頭しているうちに、僕は高校生になった。

インドア趣味のおかげか肌は真っ白

日焼けの日の字もない。

スポーツするわけでもない体はいつでもなよなよしている。サーバーラックの上段にサーバーを設置できるくらいの力はある。

 少しずつ伸ばしてきた髪も、今では後ろでまとめるのに十分な長さになっている。

白い髪をポニーテールにして、鏡を見る。

「…………うん」

我ながら、正直に言おう。

性癖すぎる。にやけそう。推しの顔が自分に付いてる不思議な感覚だ

今世の僕は、いわゆる中性的な美男子というやつらしい。

前世の僕が見たら、間違いなくこう言う。

『物語だったら主人公サイドの人間だろ、こいつ』

残念ながら中身の半分くらいは、サーバーと車とゲームが好きなおっさんなのだが。

学校では、それなりに視線を感じる。

時には、子供じみた嫌がらせを受けることもあった。

けれど、そのあたりは内側に残っている『おっさんの部分』が妙に強かった。

――若いなぁ。

あ、僕も同い年でした。

心の中で鼻で笑って終わりである。

言葉にすると余計に面倒なことになりそうなので、もちろん口には出さない。

そんな学校生活とは別に、自宅のサーバー環境も順調に成長を続けていた。


というか、成長しすぎた。


今ではサーバー系統だけ、生活用とは別のブレーカーになっている。契約も別。

騒音もなかなかのものだ。

扉を開けると「ファーーーーーーwwwwwwwwwwwwwww」

という騒音が サーバールームの扉はいつの間にか分厚いものへ変わり、基本的に年中閉めっぱなし。

 エアコンは二24時間365日稼働。

父の元書斎はいまではファンの轟音の中で僕がぎじ技術書を読んで作業をする部屋になっている。最初のころは父の(´・ω・`)顔にごめんなさいの気持ちを持っていたけど。慣れた。

 最初は中古サーバー一台から始まったはずなのに。

「……どうしてこうなった」

 まあ、僕が増やしたからなのだが。

電気代や保守部品は僕の財布からている一部事業化しているので僕はこの年で少なからず所得がある確定申告の方は父さんの方が少々強いのでそこは頼らせてもらってる。だから一般家庭の友達よりはリッチな学士生活を送っているたいはんは技術書とパーツに飛ぶけど。

 学校生活の方も、意外なほど楽しんでいた。


前世だったら登校の段階で大人見られないよう家に引き返してる。出勤する両親に見つからないように。

前世では不登校だった僕には、あまり馴染みのなかったものばかりだ。

正直に言えば――。

文化祭。

体育祭。

放課後の寄り道。

友達とくだらない話をしながら帰る時間。


めちゃくちゃ楽しい。

まさか人生を二周できるなんて、思いもしなかった。

 前世の記憶が戻ったからといって、すべてを『一度経験したこと』として感じるわけでもない。

むしろ、初めて経験することの方がずっと多かった。

こういうところは、今世の僕として育ってきた精神性に引っ張られているのかもしれない。

前世の僕も僕。

今世の僕も僕。

だったら、二周目の青春を楽しんだっていいだろう。

そういえば、学校そのものも随分変わった。

一周目の学生時代。

 冬になると、教室の前には石油ストーブがドンと置かれていた。

 近くの席を引いた日には大変だった。

 寒い。

 でも顔だけ熱い。

 というか熱い。

 顔面を炙られているような気分だった。

 それが二周目ではどうだ。


 夏も冬も、天井のエアコンが教室を適温に保っている。

「おぉ…………文明の利器だ」

「何が?」


「いや、なんでもない」

ノートや下敷きをうちわぐ代わりにすこともなく。

隣の席の友人に怪訝な顔をされた。

危ない危ない。

こういうところで油断すると、たまに年齢が漏れる。

人生二周目。


サーバーは増えた。

髪も伸びた。

友達もできた。

知らなかった青春も、それなりに楽しんでいる。

そして僕は、この頃にはもう思っていた。

二周目というのも。

案外、悪くない。

――この時の僕はまだ知らない。

前の人生に置いてきたものが。

もう一度、この人生の前に現れようとしていることを。

 その音を聞いた瞬間、足が止まった。

 ――パァン。

 近所の整備工場から聞こえてきた、クラクションの音。

 別に珍しい音じゃない。

 社外品なら、同じものを付けている車なんていくらでもある。

 それでも。

「…………え?」

 知っている。

僕は、この音を知っている。

商品名を知っているとか、そういう意味じゃない。

もっと変な感覚だった。

何度も鳴らした。

何度も聞いた。

バンパーを外して自分の手で取り付けた。

そんな、ありもしないはずの感覚。

気がつけば、工場の入口まで来ていた。

「すみませーん……」

「おう。どうした?」

「あの、今クラクション鳴らした車って……」

「ああ、あれか?」

工場のおじさんが指差した先。

リフトの近くに、一台の黒い車がいた。

低いボンネット。

二枚のドア。

 見慣れたはずのないリアフェンダーの膨らみ。

 なのに、一目見ただけで分かった。

 息が止まった。

「…………BRZ」

「お、よく分かったな。もう相当古い車だぞ」

足が勝手に動いた。

一歩。

また一歩。

黒いSUBARU BRZ。

ZD8。

何十年も前の車。

そして――。

「こいつ、どうしたんですか」

「それがなぁ」

 おじさんは困ったように頭を掻いた。

「距離も全然乗ってねえし、保管状態もいい。ちゃんと整備もされてたみたいでな。状態だけ見りゃ、こんな古い車とは思えねえくらいなんだ」

「…………」

「なのに、急にエンジンがかからなくなったんだと」

 胸の奥がざわついた。

「エンジン載せ替えてもダメ。ECU交換してもダメ。燃料も点火も見た。配線も全部追った。こっちでも一通り調べたけど、どこにもおかしいところがねえ」

「最後に……動いたのは?」

「確か――」

 整備記録をめくる。

「2095年5月30日」

「…………え」

 その数字だけが、妙にはっきり耳に残った。

 五月三十日。

 僕の――。

「……誕生日」

「ん?」

「いえ……」

 おじさんは車へ目を向けた。

「その日までは普通に動いてたってんだから、動かねえはずはないんだけどなぁ」

そして、冗談めかして笑った。

「まるでこいつが、走るのを嫌がってるみてえでな」

心臓が跳ねた。

「持ち主も困っててさ。そろそろ廃車にしちまおうかって話になってる」

「待って!」

自分でも驚くほど大きな声が出た。

「おじさん!」

「お、おう?」

「こいつの車台番号!」

「車台番号?」

「見せてください!5071とかじゃないですか!?」

「別にいいけど……」

 覗き込む。

 数字を追う。


 一桁ずつ。

 間違えるはずがない。

 何度も見た。

 書類でも。

 整備でも。

『師初年度登録2021/11/10』

『DBAZD-8』

そして、記憶の中でも。

『車台番号00005071』

「…………5071」

 喉が震えた。

 間違いない。

「これ……Sグレードじゃない」

「Rだ」


「ん?」


「ベースグレード……。シートも、内装も……あとから変えてる。これ、元はベースグレードですよね」


「……よく分かったな」


視界が滲んだ。

黒いボディがぼやける。

何十年も前。

もう二度と触れられないと思っていたものが。

そこにいる。

「おじさん」

「おう」

「僕が……試してみてもいい?」

「エンジンを?」

頷いた。

「まあ、いいけどよ。鍵はあるぞ」

 キーを受け取る。

「でも、かからねえぞ? こっちでも散々――」

 ドアを開ける。

 乗り込む。

 シートへ身体を沈める。


 ハンドルに手を添える。


シフトレバーに手をを置く。左右にカコカコと動かしてニュートラルであることを確認する

「…………」

知っている。

全部、知っている。

「ずいぶん乗り慣れてんなぁ」

 おじさんの声が遠く聞こえた。

 ブレーキとクラッチを踏む。

 スタートスイッチへ指を伸ばす。

「どうせかからねえから――」

押した。

キュ、キュ、キュ――。

ほんの一瞬。

そして。

ブロロロロロロロ――。

「!?」

何事もなかったかのようにエンジンが目を覚ました。

アイドリングが安定する。

アクセルを軽く煽る。

ブォン――。

ブォン――!

「…………は?」

おじさんが固まっている。

「かかった……?」

もう一度。

ブォン――!

「おいおいおい! 絶好調じゃねえか!?」

 僕には、その声がほとんど聞こえていなかった。

ハンドルを握る。

懐かしい振動が、指先から身体へ伝わってくる。

涙が落ちた。

「…………お前」

 声が震えた。

「まだ、いたんだな…………」

 何十年ぶりなのか。

 僕にとっては、一度人生を挟んでしまった。

 それでも。

 また会えた。

「おじさん!」

「お、おう!?」

「この車、廃車にしないでください!」

「は?」

「免許取ったら!」


 涙を拭う暇もなく、振り返る。


「僕、『この子』を買いに来ます!」


「いや、お前――」


「絶対来ます!」


工場の中に、FA24の音が響いていた。


前世で終わったはずの物語が。


もう一度。

動き始めていた。

『今度こそ廃車になるまで・・・・』

作者泣きながら書いてる。

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