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転生してもエンジニアだった(習作)  作者: 来須奏
新社人+会配信者編

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15/21

11話ある種の祭り当日

「そういえば、就職の合否がまだ来てないんですよね」


《お祈りは連絡なしのパターン?》


「合否にかかわらず連絡しますとは言われているので……人事の方に確認してみようかな」


《大変申し訳ございません。もし、この場でお伝えしてもよろしければ、ご連絡できます》


「人事いたw」


《えっ本物?》

《採用担当、配信見てるの?》


《面接を担当した部署の間で、配属先について少々調整がありまして。通常は配属が決まってから結果をお伝えする流れなのですが……》


「あー、まだ決まってない感じですか」


《いえ。率直に申し上げますと、採用です》


「……え?」


《おめでとう!!!!》

《本人が最後に知る採用結果》

《企業の人事フローを狂わせる主》

《主、TVデビューおめ》


「はい? 何の話ですか?」


《『転生者を自称する謎の青年・イクト氏を検証』って告知やってた》


「……え。すっごく困ります。両親には何も言ってないんですよ」


《ここまで大公開してるのに?》


「両親はネットに疎いので、テレビで報道されない限り問題ない設計だったんです。……最大の脆弱性でもあったんですが」


「皆さん、僕は今、冷や汗が止まりません」


イクトは画面の外に置いていたスマホを手に取った。


「着信履歴が……着信60件になってます。仕事中のはずなのに」


《60件!?》

《仕事どころじゃなくなってる》

《人事さん、これ見て来たの?》


《はい》


「ああ……採用連絡より先に、実家から障害通知が来てる……」

《音消えた》

《めっちゃ謝ってる》

《今まで見たことない角度で頭下げてる》

《人事さん、採用初日から大変ですね》

《まだ入社してません》

《反論失敗した》

《あ、また下がった》

《採用祝いと実家バレが同じ配信で起きるな》

父です。これから家族会議をするので、イクトの配信はここで終わらせます》


「……父さん、コメントしなくても、今電話で聞いたから」


《お父様いらっしゃいませwww》

《主、がんばれw》

《家族会議、配信しないんですか?》


「しません。」


《即答》

《今日いちばん強い否定》

「では……急ですが、今日はここで終わります。人事の方、採用のご連絡ありがとうございました。皆さんも、お祝いありがとうございます」


イクトは一度、コメント欄から目をそらした。


「……行ってきます」


《いってらっしゃいw》

《生還報告待ってる》

「えっと……母は、知ってました」


《え?》


「僕が生まれる前に、夢で何かいろいろ言われたらしいです。でも、子供を授かったときってそういうものなのかな、と思って、今日まで何も言わなかったそうで」


《母つよい》

《そこ流すところか?》


「父と一緒に『そんなわけあるか!』って突っ込みました」


少し笑ったあと、イクトは声を落とした。


「父には、『お前はちゃんと俺たちの息子なんだよな』って聞かれました」


「小学校のネットワーク障害をきっかけに、前世の記憶を思い出しただけです。それまでの僕も、それからの僕も、ちゃんと二人の息子ですよって伝えました」


《……よかった》

《お父さん、そこが一番怖かったんだな》

「……というわけで、両親とはちゃんと話せました」


イクトはほっとしたように笑った。


「それで、今回の番組を作った方々へ。ひとつだけ」


笑顔のまま、カメラをまっすぐ見た。


「僕への確認も、放送への承諾もありませんでしたよね。おかげで両親には、僕の口から話す前にテレビで知ってもらうことになりました」


《主、顔怖い》

《目が全然笑ってない》


「……何をどう確認して放送したのか、まずはお話を伺いたいと思っています」


《静かなのが一番怖い》

《主が珍しく本気で怒ってる》

「BPOってナンバンカナァァァ。弁護士の方がいいカナァァァ」


《声は軽いのに目が笑ってない》

《これがあまり怒ったことない人の本気の怒り……》

《とりあえず落ち着いて、主》


「落ち着いてますよ? どこに何を確認するか考えているだけです」


《それを笑顔で言うのが怖いんだよ》

「いや、でも……僕が話すきっかけを逃していたのは事実です」


イクトは笑みを消して、少し言葉を探した。


「ちゃんと、不安にさせない言葉を考えるのに時間がかかった――と言えば、それっぽい言い訳にも聞こえます。でも、今世の家族に心配をかけたくなかったのは、本当です」


「いつ、どう伝えるか。それだけは僕が決めたかった」


「……そこは、ぶち壊されましたけど」


《主……》

《それは自分の言葉で伝えたかったよな》

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