episode.4 〜初夜?〜
パーティーは終わった。
ファラン、アンナ、クリフトの三人は貴賓室に戻っていた。
クリフト「一体どういうことですか?ファラン様!」
ファラン「どういうことって……聞いてなかったのかお前」
クリフト「聞いてましたよ!なんですかこの奴隷を妻にするだなんて!」
クリフト「しかもさっき会ったばかりですよ?思いつきにも程がある!」
クリフト、アンナに釈明する。「お前、信じるんじゃないぞ?ファラン様はこういう冗談が好きなんだ」
クリフト「後で元老院の方々にも釈明に回らないと……って、騎士団の御老公方の耳に入ったら非常にまずい!私の首が飛ぶ!文字通りに!すぐに戻りましょ?ね?ね?」
ファラン「うるさいやつだな。爺さんたちなど放っておけ」
クリフト「リーデル王子の使者からも『部屋で待っている。とっとと来い』という王子様の怖い伝言を頂いております~!」
ファランは無視。「さて…アンナ」
ファラン「は、はい!」
ファラン「皆の前でああ言ったのだ。俺たちは夫婦ってやつだ」
クリフト「……ああ……めまいが……動悸が……」
ファラン「どうせ好きでもない女と結婚するなら俺が選んだ女の方がまだマシだからな」
アンナ「え?」
ファラン「元老院の策略で、どこぞの公爵の姫と結婚させられるとこだったのさ。俺の挨拶の後、元老院の爺さんが発表するつもりだったんだよ」
クリフト「そうだったのですか……」
ファラン「壇上下に爺さんたちが杖ついて集まってただろ?」
クリフト「私としたことが…気づかなかったです」
ファラン「まあいい。おい、娘」
アンナ「は、はい!」
ファラン「今更だが…名前ななんという」
アンナ「……アンナです」
ファラン「ほう、いい名じゃないか。ファミリーネーム(苗字)は?」
アンナ「え……(まずい)」
アンナ「ソ……」
ファラン「ソ?」
アンナ「ソ……ソ……」
ファラン「まあいい。どうせ俺の苗字になるんだ」
クリフト「ちょっと待ってください。本気なんですか?」
ファラン「当たり前だろ。王子や貴族たちの前で宣言したんだぞ?逆に嘘だったらまずいだろ」
クリフト「嘘でも本当でもまずいんですよ!」
ファラン「クリフト、王子には疲れているから明日朝行くと伝えに行け」
クリフト「は~……頭痛が……」
ファラン「まったく心配性なやつだ。お前の部屋は向かいにあるからな。明日迎えに来い」
クリフト「……叩き起こしますからね」
ファラン「おい、妻よ。着いてこい」
アンナ「え?は、はい!」
貴賓室の奥には寝室が。
ワインやフルーツが置かれたテーブル、大きな鏡。
そして……大きなベッドがある。
アンナ(まさか……え?……そういうこと?)
アンナはベッドに押し倒される。
ファラン「なんて言うんだっけな。そうだ、初夜だ」
アンナ「いや……その……結婚は形式上では……」
ファラン「何を言っている。形式が大事なのではないか。それともお前は奴隷のままがいいのか?」
「それは……んんっ…!」
ファラン、喋ろうとするアンナにキスをする。
ファラン「話なら後で紅茶でも飲みながらいくらでも聞いてやる」
アンナの服を脱がすと、白く美しい胸に顔を埋めた。
アンナ「あ……いや……!」
スカートを脱がせ足を広げアンナの股間に顔を埋める。
初めての行為にアンナは手で顔を隠す。
恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
しかし執拗に陰部を舐められて…。
何かがどんどん上がってくるのがわかる。
アンナ「だ、だめ……それ以上は……」
絶頂に達しそうになるのを必死に堪えているがもう我慢の限界だ。
「あ……ああ…!!」
足がピンとなる。アンナは達してしまった。
ビクビクと肢体が震える。人生で一度も経験のない感覚だ。
ファラン「おい、俺より先にイクなよ?」
アンナ「いく…?」
ファラン「気持ちよかったろ?」
顔が一瞬で真っ赤になる。
アンナ「ご、ごめんなさい…!」
ファラン「ふ…。ところでお前、こういうことは初めてか?」
アンナ「え……あの……はい…」
ファラン「……続きはまた今度だ」
「俺のはでかいからな?覚悟しておけよ?」ニヤニヤするファラン。
「でかい…」
アンナは耳まで真っ赤になった。
ファラン「服を着ろ。飯に行くぞ」
アンナ「どこへ…」
ファラン「豆料理が食べたくなってな。それとワインだ。がっつり酸味の効いたやつをな」
ファラン「はやく着替えろ。置いてくぞ?」
アンナ「は、はい!」
(なんて勝手な人。でも今まで会ったどんな人とも違う…。
自由で風のような人…)
アンナは先ほどの余韻に浸る間もなく服を着た。
従者用の客人部屋に戻っていたクリフトは気配に気づき、慌ててファランたちを追いかけた。
三人で城内から街に向かう。
少し歩くと夜の店が立ち並ぶ場所に来た。
治安は少々悪そうだがファランはお構いなしに、賑やかな店のドアを開ける。
続いて二人も店内に入った。
ファラン「どうした?意外そうな顔だな」
アンナ「いえ…そんなことは」
クリフト「ファラン様はこういう場末の飲み屋が好きなんだよ。こういうところは柄の悪い客も多いから高級な店に行って欲しいんだけど…」
ファラン「なんだお前。今日は夫婦水入らずで食事に来たつもりだったが?」
クリフト「何かあったらどうするんです!私が怒られるんですよ?騎士団からも教会からも王室からもパトロン貴族たちからも!」
ファラン「わかったわかった。ほら、肉食え。肉食うと幸せな気分になるぞ?」
アンナ「ふふっ」
ファラン「お、笑ったな?」
じっとアンナの顔を見つめるファラン。
ファラン「よし、今日は徹底的にお前を笑顔にさせてやる。クリフト、この盆を持って踊れ」
クリフト「はあ!?無茶言わないでくださいよ!」
騒ぐ3人の後ろから見るからに悪そうな男たちが3人。一人は短剣を腰に刺している。
「姉ちゃん、俺たちと遊ぼうぜ?」
アンナ「え、いや…」
「ほら、立て」肩を抱いて連れ去ろうとする。
見ている客「おい、賞金稼ぎのディモンだ。絶対目を合わせるな」
アンナ「いや!」
ディモン、ファランたちを一瞥して「お前らは帰ってミルクでも飲んで寝てろ」
ワハハと笑う取り巻きの二人。
ファラン、カウンター向こうのマスターに「……マスター」
マスター「は、はい!」
ファラン「ここは家畜にも酒を出してるのか?珍しい店だな」
静まり返る店内。
ディモン「……なんだと…?」
「てめえ死にてえんだな?よしわかった」ディモンはジョッキをテーブルに乱暴に置くと、立ち上がった。
「ぶっ殺してやる!」巨体を揺らしナイフを抜いてファランに襲いかかってきた。
ファランはひょいとよけ強烈なボディブローを放った。
「ぶぐううっ……!!」ディモンは液体を吐いてその場に倒れ込み悶絶した。
客「おい、あのディモンが一撃で……」
客「嘘だろ…」
「俺の妻に触るんじゃねえよ」ファランは倒れ込んだまま声を出せないディモンに吐き捨てた。
恐れ慄いた他の二人は後退りする。
ファランは怖い顔で他の二人に警告した。「次にどこかで目が合ったら、バラバラにして牛の餌にするぞ?」
「ひ………!」
ディモンを抱えて逃げる二人。
ファラン「アンナ、怖い思いをさせたな」
アンナ「い、いえ…」
ファラン「クリフトが変な店を選ぶから…」
クリフト「はい!?」
クスッと笑うアンナ。
ファラン「………怖い思いをしたのにもう笑うか。……お前…」
アンナ「え……」
ファラン真面目な顔で「辛い思いをしてきたんだな」
ファラン「おい、マスター。この店の客にワインを配れ」
ファラン「みな悪かったな。飲め!騒げ!俺の奢りだ!」
「お~!!!!」盛り上がる店内。
何人かの客は盛り上がってファランと肩を組んでいる。
クリフトはヤケクソになって特大サイズのジョッキに注がれたワインを一気飲みしている。
「…………」
楽しそうに笑っているアンナを、愛しそうに見詰めるファランだった。




