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【日本最強の裏方4人組、無能と捨てられた先で『地球ショッピング』を解禁する~善行を積むほど現代兵器も肥料も買い放題。  作者: 月神世一


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EP 7

始祖竜の奇跡と、ハーモニカの調べ

地獄での死闘を終え、一行は再びランドクルーザー70に乗り込み、リリスが開いたゲートを通ってポポロ村へと帰還した。

村の広場に戻ると、夜空には美しい満月が静かに輝いていた。

「お兄ちゃん、ここは……?」

龍魔呂の大きな腕の中で、ユウが不思議そうに周囲を見回す。

地獄から救い出されたとはいえ、ユウの体はまだ半透明な魂のままであり、その瞳には地下格闘場と地獄で味わった恐怖の記憶が色濃く残っていた。

「……これから、お前の痛かった記憶を全部消してやる。お前は、何一つ怖い思いなんかしないで、俺の隣でずっと生きてた事になるんだ」

龍魔呂が、ユウの頭を優しく撫でる。

そして、義正の背中に隠れていた見習い女神を鋭い眼光で見た。

「リリス。約束通り、始祖竜クロノの力で因果を書き換えるぞ」

「ひぃっ、は、はいぃッ! 35年ローンの初仕事、やらせていただきますぅ!」

リリスは慌てて分厚いハードケースに入った『エンジェルすまーとふぉん』を取り出した。

「えっと、時間を操作するには……始祖竜クロノ様の力が宿ったアイテムが必要です。天界の通販アプリ(神様Ama●on)で、『クロノの卵の破片』を検索、と……」

ポチポチと画面をタップするリリス。

「あ、ありました! でもこれ、とんでもなく高額のレジェンド級アイテムで……お値段、金貨一万枚(約一億円)ですぅ……!」

「……ルチアナのカードで決済しろ」

義正が、セブンスターの煙を吐きながら悪魔のような指示を出す。

「で、でも、ルチアナ様のカード、もう限度額が……」

「リボ払いにすりゃあ通るだろ。早くしろ」

「うわあああん、ルチアナ様ごめんなさぁぁいッ!」

リリスが泣きながら『一括』ではなく『リボ払い』のボタンをタップした。

『ティロリン♪』

間抜けな電子音と共に空宙が光り、手のひらサイズの虹色に輝く水晶のような欠片――【始祖竜クロノの卵の破片】がポンッと出現した。

「や、やりました! これをユウ君に振りかければ、彼の時間だけが巻き戻って、因果が再構築されます!」

龍魔呂はリリスから破片を受け取ると、そっとユウの頭の上に掲げた。

「……ユウ。もう二度と、一人にはさせねぇからな」

龍魔呂が破片を強く握り込むと、それはサラサラとした光の砂となってユウの体を包み込んだ。

『――ッ!』

眩い光が弾ける。

クロノの時を操る権能が、世界律のソースコードに直接アクセスし、ユウという存在の『ログ』を強引に上書きしていく。

地下格闘場での絶望、死の痛み、地獄の冷たい河原での恐怖。

それらの記憶が時を遡って消去され、代わりに「ずっと温かい場所で、兄と一緒に生きてきた」という新しい因果が、世界に定着していく。

光が収まった時。

龍魔呂の腕の中にいたのは、半透明の魂ではなく、血の通った温かい体を持った五歳の男の子だった。

泥だらけだった服は綺麗なものに変わり、その顔からは恐怖の影が完全に消え去っている。

「……あれ? お兄ちゃん? 僕、なんでお外で寝てたの?」

ユウが目をこすりながら、無邪気に首を傾げる。地獄の記憶など、欠片も残っていなかった。

「……あぁ。ちょっと、長い夢を見てただけだ」

龍魔呂は、その温かい小さな体を、今度こそ折れるほど強く抱きしめた。

「お、お兄ちゃん、苦しいよぉ」と笑うユウの声が、彼の心の奥底にこびりついていた深い氷を、完全に溶かしていく。

「……良かったな、大将」

信長が歩み寄り、龍魔呂の広い肩をポンと叩いた。

「えへへ、ユウ君、初めまして! 私はキャルルだよ!」

キャルルが笑顔でユウに話しかけ、輝夜も優しく微笑んでいる。

義正は「……これでまた、うちの村に食い扶持が一人増えちまったな」と悪態をつきながらも、その顔はどこか満足げだった。

龍魔呂はユウをそっと下ろし、キャルルたちに任せると、一人で少し離れた夜空の下へと歩き出した。

漆黒のレザージャケットのポケットから、古びたハーモニカを取り出す。

一人きりの時にだけ吹く、彼自身の哀愁の歌。

だが、今夜の調べは、決して孤独なものではなかった。

『ロンドンデリーのダニー・ボーイ

静かで、どこまでも優しい旋律が、ポポロ村の夜空に響き渡る。

かつて彼を修羅の道へと突き落とした絶望は、もう存在しない。

夜風が彼の前髪を揺らす。

見上げれば、満月が祝福するように村を照らしていた。

(……これで、俺の地獄は終わった)

無自覚なジゴロであり、冷酷なる処刑人であり、一人の不器用な兄である男、龍魔呂。

彼が奏でるハーモニカの音色は、新たな因果の始まりを告げるように、いつまでも優しく響き続けていた。

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