EP 6
チート内政と、迫り来る略奪者
「輝夜様! 見てくだせぇ、芽が出ました!」
村の若者が、泥だらけの顔で笑う。
たった数日の出来事だ。
地球の『即効性化学肥料』と、私の農業経済学の知識。
それだけで、枯れかけていた畑は嘘のように蘇った。
「すごい生命力ね。これが『太陽芋』と『サンライス』……」
「これで飢えとは無縁になります!」
村人たちの目には、もう絶望はない。
希望と、私たちへの絶対的な信頼が宿っていた。
「輝夜、農業部門は順調みたいだな」
義正が、大量の紙束を持ってやってきた。
「義正君の方も、何か見つかった?」
「ああ。この村の特産になりそうな物だ」
義正が見せたのは、こんがりと焼けた異世界の肉だった。
「トライバードの肉を、地球の『塩』と『粗挽きコショウ』で加工した」
「名付けて『ポポロ・スパイシージャーキー』だ」
「味見したけど、ヤバいよこれ。脳が溶ける」
蘭がジャーキーをかじりながら親指を立てる。
「これを周辺都市に卸す。物流ルートの計算は終わってる」
五大商社のトップエースが本気を出したのだ。
利益が出ないわけがない。
『ピロンッ!』
【善行を確認:産業の創出と村の自立支援】
【ボーナスポイント:3000pt 獲得!】
「またポイントが増えたわね」
「これでさらに防衛設備に投資できる。完全な好循環だ」
村人たちは健康になり、笑顔を取り戻した。
だが、平和な時間は長くは続かない。
「……おい、輝夜」
村の外周から、信長が走ってきた。
その顔は、自衛隊員としての厳しい表情になっている。
「どうしたの?」
「ドローンのカメラが、妙な連中を捉えた」
蘭がタブレットを操作し、空中に映像を投影する。
そこに映っていたのは、武装した数十人の野盗団。
いや、その装備には見覚えがあった。
「あれは……私たちを追放した、ルナミス帝国の……」
「ああ。国章を隠しとるが、代官の私兵じゃ」
急に豊かになった村の噂を聞きつけ、略奪に来たのだろう。
村人たちが映像を見て、青ざめる。
「ひぃぃっ……! 悪徳代官の軍勢だ!」
「終わった……せっかく畑が戻ったのに……!」
絶望に染まりかける村人たち。
だが、私たちは誰も焦っていなかった。
「……義正。今のポイント残高は?」
「12000ptだ。現代兵器でも何でも買えるぞ」
「蘭ちゃん、迎撃システムの状況は?」
「赤外線センサー連動完了。いつでも起動できるよ」
私は村人たちを振り返り、優しく微笑んだ。
「みんな、心配しないで」
そして、信長を見る。
「信長君。彼らに、教えてあげて」
「おう」
信長は、ガチャで引いた対物ライフルを肩に担ぎ、獰猛に笑った。
「練馬の狂犬が、おどれらを歓迎しちゃるけぇの」
村を守るための、圧倒的な蹂虤戦が始まろうとしていた。




