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【日本最強の裏方4人組、無能と捨てられた先で『地球ショッピング』を解禁する~善行を積むほど現代兵器も肥料も買い放題。  作者: 月神世一


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EP 9

因果を撃ち抜く銃弾

義正と蘭が放った『自由市場ウイルス』によって、青龍のシステムは完全にパンク(倒産)した。

修復機能を失い、クレーターの底で力なく横たわるサファイアの巨龍。その頭部の装甲は剥がれ落ち、神の命そのものである中枢コアが、夜風の中に淡く脈打っていた。

「……龍魔呂さん」

魔力を使い果たし、座り込んでいたキャルルが、祈るように両手を握りしめる。

信長も特殊警棒を下ろし、ただ無言でその背中を見つめていた。

クレーターのふちに立つ、長身の男。

強化アーマーをパージし、血と泥にまみれた漆黒のレザージャケットを羽織る龍魔呂。

彼の左腕には、鈍く光るブロンズのTUDORチューダー。そして右手には、愛銃『Korth NXS』が握りしめられている。

『警告……致命的エラー……自己修復プロセス、応答なし……』

青龍のコアから、掠れた電子音が漏れ出す。

『特異点・龍魔呂……。我を破壊すれば、汝の罪は世界律に永遠に刻まれる。……汝の望む「平穏」は、二度と訪れぬ』

「……平穏だと?」

龍魔呂の低い声が、夜の静寂に響いた。

「俺は、そんな甘っちょろいもんの為に、ここまで血反吐を吐いて生き延びてきたわけじゃねぇ」

彼の脳裏に、先ほど青龍が見せた「幻影」が蘇る。

冷たい雨の中、ゴミ捨て場で泣き叫んでいた小さな弟、ユウ。

その絶望の幻影から彼を救い出してくれたのは、キャルルの不器用で温かい体温だった。

だが、龍魔呂の心に刻まれた『本当の地獄』は、誰の温もりでも消すことはできない。

死んだ弟を生き返らせたい、のではない。

それでは、ユウが味わったあの理不尽な苦痛と恐怖の「記憶」は残ってしまう。

(……俺がブッ壊すのは、あの雨の日の記憶ごとだ)

龍魔呂の右手に嵌められた『鬼王の指輪』が、静かに光り始めた。

先ほどのDEATH4状態のような、周囲の空間を無差別に破壊する暴走の嵐ではない。

極限まで研ぎ澄まされ、針の先のように圧縮された、赤黒い一本の『闘気の線』。それが、Korthの銃身を這うように包み込み、銃口の奥へと収束していく。

(神様。てめぇらが作ったこの理不尽な世界のソースコードを奪い取り……。俺の弟が『そもそも死ななかった事』にしてやる)

それは、世界そのものの因果律を書き換えるという、狂気にも等しいエゴ(反逆)。

だが、それこそが彼を冷徹な殺人鬼から繋ぎ止めている、唯一の人間としての「愛」だった。

『……対象の銃口から、未確認のエネルギーを検知。……これは、物理破壊ではない……歴史ログの……書き換、え……?』

青龍のシステムが、龍魔呂の放つ闘気の本質に気づき、初めて『恐怖』に似たノイズを上げた。

ただの暴力ではない。自分たちの存在意義ルールそのものを過去から否定し、上書きしようとする絶対的な意志バグ

「……地獄へ落ちろ」

龍魔呂の指が、Korthの引き金を絞り切った。

『ズドォォォォォォォォォンッ!!!!』

重厚な発砲音が、ポポロ村の夜空をつんざいた。

銃口から放たれた赤黒い閃光。それはもはや、ただの金属の弾丸ではなかった。

距離や空気抵抗といった物理法則を完全に無視し、放たれた瞬間に「すでに標的に命中している」という結果だけを世界に強制する、因果律の弾丸。

光の尾を引いた一撃が、青龍の無防備なメインコアの中心を正確に貫いた。

『ガ……ァ…………ッ!?』

青龍の巨体が、一瞬だけ不自然に静止した。

そして、コアの亀裂から赤黒い光が内側へと逆流し、神の体を構成していたサファイアのデータが、足元からボロボロと砂のように崩れ始めた。

『……世界律への……不正干渉……。ガオ、ガオン様……バグの、侵蝕、が——』

断末魔のノイズすらも途切れ。

第二の聖獣『青龍』は、光の粒子となって夜空へと霧散し、文字通りこの世界から「完全に消滅デリート」した。

空を覆っていた幾何学的な『青い亀裂』がパリンと音を立てて砕け散り、ポポロ村の上に、再び満天の星空と美しい満月が戻ってくる。

「……終わった」

離れた場所で、特殊警棒を地面に突き刺して寄りかかっていた信長が、安堵の息を吐き出して座り込んだ。

通信機からは、義正の「……ハッ、ざまぁみろ」という笑い声と、蘭の歓声が聞こえてくる。

「龍魔呂さんッ!」

キャルルがフラフラとした足取りで駆け寄り、龍魔呂の背中にギュッと抱きついた。

「勝ったよ……! 私たち、神様に勝ったんだよ……ッ!」

「……あぁ。お前のおかげだ、キャルル」

龍魔呂は短く答え、銃口から立ち昇る硝煙をフッと吹き消し、Korthをホルスターへと収めた。

彼の体は限界を超えていたが、その瞳には、これまでにないほど澄んだ光が宿っていた。

だが。

歓喜に沸くポポロ村の喧騒の中で。

龍魔呂の耳にだけ、死んだはずの過去から響くような、無邪気で残酷な『鈴の音』が聞こえた。

『——うんうん。龍魔呂、とっても頑張ったね!』

「……!?」

龍魔呂がハッと振り返る。

彼とキャルルの背後、月明かりが落ちる影の中に。

いつの間にか、豪奢な神衣しんいを纏った、一人の小さな『僕っ娘』がフワリと浮遊していた。

(……ユイ……!?)

龍魔呂の瞳が、驚愕に見開かれる。

かつて彼を救うために炎に飛び込み、今はガオガオンの側である『雷帝神』として君臨する少女が、妖しく微笑みながら彼を見つめていた。

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