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【日本最強の裏方4人組、無能と捨てられた先で『地球ショッピング』を解禁する~善行を積むほど現代兵器も肥料も買い放題。  作者: 月神世一


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EP 6

広島の狂犬、カウンターのスイング

上空に浮かぶ聖獣『青龍』の巨大な顎の奥で、膨大なエネルギーが収束していく。

空気を焦がし、空間を歪めるほどの極大の光弾。ポポロ村を地図から完全に消し去るための、神の荷電粒子砲だ。

魔力を使い果たしたキャルルと、限界を迎えた龍魔呂の前に、一人の男が立ち塞がった。

「……フゥーッ」

練馬の狂犬・坂上信長。

彼はゆっくりと足幅を広げ、愛用の特殊警棒を両手で握りしめ、肩の高さに構えた。

北辰一刀流の正眼の構えではない。それはどう見ても、野球の『バッターボックス』に立つ四番打者の構えだった。

『……特異点・信長。無意味な抵抗なり。神のエネルギーは、物理的な質量で弾き返せるものではない』

青龍の無機質な声が響く。

「抜かせや。質量が足りんなら、気合ガッツで埋めるんじゃい」

信長は、警棒のグリップをギリリと握り直した。

彼の脳裏に、海上自衛隊・出雲艦隊の総司令官である偉大な親父(真一)の顔が浮かぶ。

幼い頃から北辰一刀流の稽古と称してボコボコにされ、顔を合わせれば「オドレはまだ地獄に浸かっとらん、半人前や!」と怒鳴り散らされた。

親父の背中は、あまりにも遠く、デカすぎた。

だから彼は海を避け、陸(防衛大から陸上自衛隊)を選んだ。陸で一番の男になって、いつかあの偉大な親父を超えてみせるために。

(……親父。あんたの言う通り、俺はまだ青二才の半人前じゃ)

信長の口角が、獰猛に吊り上がる。

(じゃがな。今、俺の背後には……俺の大事なダチと、守るべきタマがあるんじゃい!)

『排除を実行する』

青龍の顎から、極太の光の奔流が放たれた。

ポポロ村を一瞬で灰にする、圧倒的な破壊の光。

それが信長に到達する、ほんのコンマ数秒の世界。

甲子園の準決勝、最終回裏で150キロの剛速球を待っていたあの夏の日と同じ、極限の集中力が彼を支配した。

「兵士が地獄浸かって進まんと、国民は守れんのじゃァァァッ!!」

広島弁の咆哮と共に、信長が大きく踏み込んだ。

北辰一刀流免許皆伝の『受け流し(いなし)』の絶技と、甲子園4番打者の下半身から生み出される完璧な『キネティックチェーン(運動連鎖)』。

二つの全く異なる理論が、信長の肉体の中で奇跡的な融合を果たした。

「プレイボールじゃァァァァァァッ!!!」

神の光弾に対して、信長が特殊警棒をフルスイングで叩きつける。

『ガガガガガガガガガガガッ!!!!!』

警棒と光弾が衝突し、太陽が爆発したような閃光と、鼓膜を破る衝撃波が村を覆い尽くした。

信長のブーツが石畳を深く抉り、腕の筋肉がはち切れんばかりに膨張する。警棒の表面から火花が飛び散り、高熱で皮膚が焼ける。

だが、狂犬は一歩も引かない。

「オラァァァァッ! センター前へ持っていかんかァァァッ!!」

『……物理法則の破綻を検知。エネルギーのベクトルが、強制的に上書きされていく……バカな』

青龍のシステムが、初めて「狼狽」に近いエラー音を吐き出した。

信長の気迫と狂気が、神の物理法則を凌駕したのだ。

『カァァァァンッ!!』という、まるで金属バットでボールを捉えたような快音が響き渡る。

「ホームランじゃいッ!!」

信長が警棒を振り抜く。

巨大な光弾の軌道が完全にひしゃげ、上空へ向けて鋭角に跳ね返された。

自らが放った光弾をカウンターで浴びた青龍の巨体が、空中でのけぞり、その強固な防壁バリアに巨大なヒビが入る。

光弾が空中で爆発し、凄まじい爆煙が青龍の周囲を覆い隠した。

『エラー……装甲の一部破損。特異点の再スキャンを実行——』

青龍が煙の中でセンサーを再起動させようとした、その瞬間。

「……よそ見しとる場合か、デカブツ」

煙を突き破り、青龍の巨大な瞳の真ん前に、跳躍した信長が姿を現した。

陸上自衛隊・レンジャー訓練で培われた、異常なまでの潜入技術と立体機動。

彼は光弾を打ち返した直後の爆煙をカモフラージュ(煙幕)として利用し、飛び散る瓦礫を足場にして、一瞬で青龍の懐まで肉薄していたのだ。

『ガリア戦記』や『呉子』の兵法を完全に体現した、大胆にして緻密な強襲。

『——ッ!?』

青龍のカメラアイが、目の前に現れた人間の男を捉える。

信長の眼には、親父から受け継いだ本物の『修羅』の凄みが宿っていた。

無数の死線を潜り抜け、絶望を食い破ってきた軍人の、純粋で底知れぬ殺気。

「神様よォ……。オドレ、本当の『地獄』を見たことあるんか?」

信長の全身から放たれる圧倒的な『威圧感』が、青龍のシステムセンサーに直接干渉する。

神のAIが、目の前の人間が放つ「生物としての本能的な恐怖」を演算しきれず、瞬時に処理落ち(フリーズ)を引き起こした。

『……演算、エラー……対象の脅威度が、規定値を……』

「隙だらけじゃァァァッ!!」

青龍のシステムが完全に硬直した一瞬の隙を突き。

信長が、渾身の力を込めた特殊警棒を、青龍のカメラアイ(監視の目)の中心へと、容赦なく深々と叩き込んだ。

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