表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【日本最強の裏方4人組、無能と捨てられた先で『地球ショッピング』を解禁する~善行を積むほど現代兵器も肥料も買い放題。  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/39

EP 2

エリートたちの異世界適応力と、謎の『善行ポイント』

ポポロ村の宿屋兼食堂は、酷い有様だった。

屋根には穴が開き、隙間風が吹き込んでいる。

「すまねぇな、異邦人さんたち」

村長を名乗る老人が、力なく頭を下げた。

「出せるのは、この干びた芋のスープだけだ」

「いえ、助かります。ありがとうございます」

私は木の器を受け取り、スープを口に含んだ。

……塩気もない。ただ泥臭いお湯のようだ。

栄養状態は最悪と言っていい。

「輝夜、これカロリー低すぎ。脳が働かない」

蘭がテーブルに突っ伏した。

「義正、どう見る?」

「最悪だな。物流も経済も完全に死んでる」

義正は村を観察しながら、算盤を弾いていた。

「だが、悲観してる暇はないぞ」

信長がスープを一気飲みして、立ち上がる。

「まずは宿代と飯代じゃ。働いて返すぞ」

私たちは顔を見合わせて、頷いた。

日本の裏で激務をこなしてきた私たちだ。

現状を嘆いて立ち止まるような人間は、ここにはいない。

   ◆ ◆ ◆

「村長さん、お皿洗い手伝いますね」

「えっ? いや、お客人にそんな……」

「いいんです。私、こういうの得意なので」

私は厨房に入り、井戸水で木のお皿を洗い始めた。

冷たい水が、心地いい。

農林水産省の視察で、農家のお手伝いをしたのを思い出す。

「よし、これで全部ですね」

最後のお皿を拭き終わった、その時だった。

『ピロンッ!』

頭の中に、軽快な電子音が響いた。

「えっ……?」

私の目の前の空中に、半透明の光る板が現れたのだ。

【善行を確認しました:お皿洗い】

【善行ポイント:1pt 獲得】

【現在の累計ポイント:1pt】

「な、なにこれ……?」

私が固まっていると、背後から蘭がひょっこり顔を出した。

「輝夜、なにそのホログラム画面?」

「蘭ちゃんにも見えるの!?」

「見えるよ。システムUIだね。ちょっと触らせて」

蘭が空中の板を、指でスワイプする。

「おっ、反応する。……ええと、なになに?」

「……『地球ショッピング』?」

画面の端に、そんな見慣れた単語が表示されていた。

「これ、検索窓がある。……『塩』って入れてみるね」

蘭が空中のキーボードを叩く。

すると、ズラリと商品リストが表示された。

【食塩(1kg):5pt】

【高級岩塩(100g):10pt】

【業務用コンソメ(500g):20pt】

「嘘だろ。これ、地球のネットスーパーじゃないか」

いつの間にか、義正と信長も後ろから覗き込んでいた。

「どうやら輝夜の『善行』がトリガーになってるみたい」

蘭が目を輝かせて、分析結果を口にする。

「良いことをすればポイントが貯まる。そのポイントで地球の物が買えるんだ」

「なるほど。つまり……」

義正が、ニヤリと笑って算盤を鳴らした。

「俺たちがこの村のために働けば、地球の物資で無双できるってことか」

その瞬間、四人の間に電撃が走った。

私たちのような実務のプロにとって、これほど分かりやすいルールはない。

「おどれら、ぼやぼやしとる暇はないぞ!」

信長が腕まくりをして、厨房から飛び出していった。

宿の裏手へ行き、置いてあった斧を手に取る。

「おらぁっ!!」

信長の北辰一刀流の鋭い一撃が、薪を粉砕する。

『ピロンッ!』

【善行を確認:薪割り】

【善行ポイント:2pt 獲得】

「義正! もっと仕事を探せ!」

「言われなくてもやってる!」

義正は村の通りに出て、道端のゴミを拾い集めていた。

『ピロンッ!』

【善行を確認:ゴミ拾い】

【善行ポイント:1pt 獲得】

「ふふっ、みんな現金なんだから」

私は笑いながら、布巾を手に取って宿屋のテーブルを拭き始めた。

チリン、チリンと、ポイントが貯まる音が心地よく響く。

「まずは塩を買って、美味しいスープを作ろうか」

無能と追放された異世界で。

私たちのシュールで泥臭いポイント稼ぎが、幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ